日立と三菱電機は「IT×社会インフラの変革」か「堅実なものづくり」か
総合電機の日立製作所と三菱電機。事業ポートフォリオ改革とIT(Lumada)で高収益企業に変貌した日立、FA機器・重電など堅実なものづくりで安定する三菱電機という対比が基本です。就職難易度は日立がやや上。本記事では、有価証券報告書・各社の公式採用ページ・厚生労働省の公表データをもとに5軸で比較します。
就職難易度・偏差値の比較
日立製作所が就職偏差値で1ポイント上回ります。両社とも技術職(理系)中心で、事務職は採用数が絞られます。
| 項目 | 日立製作所 | 三菱電機 |
|---|---|---|
| 就職偏差値 | 63 | 62 |
| 採用の中心 | 技術系(理系)中心 | 技術系(理系)中心 |
| 初任給(公式) | 学部卒287,000円・修士312,000円(2026年4月実績) | 学部卒287,000円・修士314,000円(2026年度) |
| 採用予定(公式) | 2027年度850名(大学・大学院・高専卒) | 公式ページで確認できず |
| 選考の流れ(公式) | ES提出・適性検査→書類選考→面談(複数回)→内定 | 公式ページで確認できず |
※就職偏差値は当サイトのデータ(公開情報をもとにした目安)。初任給・採用予定・選考の流れは各社の公式採用ページ(2026年10月12日取得)の記載です。
年収の比較
有価証券報告書の平均年収は、日立製作所が81.5万円上回ります。ただし平均年齢も日立のほうが1.7歳上です。
| 項目 | 日立製作所 | 三菱電機 |
|---|---|---|
| 平均年収(有報・2026年3月期) | 995.0万円 | 913.5万円 |
| 平均年齢 | 42.2歳 | 40.5歳 |
| 平均勤続年数 | 18.1年 | 15.3年 |
| 従業員(単体) | 25,934人 | 29,949人 |
※各社の有価証券報告書(2026年3月期・提出会社単体・金融庁 EDINET)。
日立の公式採用ページには、研究開発・設計開発・生産技術・品質保証・システムエンジニアといった技術系から、営業・経理財務・調達・人事総務・法務・知的財産マネジメント・事業企画まで、14以上の職種が並んでいます。850名の採用予定は大学・大学院・高専卒を合わせた数なので、自分の専攻に近い職種を先に絞っておくと、ESの書き分けがしやすくなります。
入口の初任給は、学部卒が2社とも287,000円でまったく同じでした。平均年収の差は、勤続が2.8年長く年齢も高い日立の社員構成を含んだ差なので、「入ってから同じ年次でどれだけ違うか」とは分けて考えるのが正確です。
有価証券報告書で見る4年の変化
2社の歩みは、5年分の数字を並べるとはっきり分かれます。
| 項目(連結) | 日立製作所 | 三菱電機 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 10兆2,646億円→10兆5,868億円 | 4兆4,768億円→5兆8,947億円 |
| 純利益 | 5,835億円→8,024億円 | 2,035億円→4,078億円 |
| 連結従業員 | 368,247人→287,901人 | 145,696人→150,386人 |
| ROE | 14.8%→12.9% | 7.1%→9.7% |
| 研究開発費(2026年3月期) | 2,903億円 | 2,359億円 |
| 自己資本比率(同) | 43.7% | 60.9% |
※各社の有価証券報告書(2022年3月期→2026年3月期・IFRS)。
日立は売上がほぼ横ばいのまま、連結の従業員が8万人減り、純利益は1.38倍になりました。冒頭で触れた事業の整理が、人数の減り方にも表れています。三菱電機は反対に、従業員の数をほぼ保ったまま売上を1.32倍、純利益を2倍に伸ばしました。日立は「絞って稼ぐ」、三菱電機は「広げて伸ばす」4年間だったと言えます。自己資本比率は三菱電機が60.9%と高く、財務の厚みでは三菱電機に分があります。
働き方の公表値と、判定で見た2社
厚生労働省の職場情報総合サイト「しょくばらぼ」では、月平均の残業時間が日立製作所8.7時間(正社員)、三菱電機24.3時間(基幹的な職種)と公表されています(2026年10月16日更新のデータを加工)。製造業でフルタイムで働く人の平均は月14.7時間(毎月勤労統計調査・2025年)なので、日立は平均より短く、三菱電機は長めです。ただし対象の範囲が違うので、目安として読んでください。業界全体では、電機を含む機械関係の製造業に大卒で就職した人の3年以内の離職率が16.8%(2022年3月卒)と、全産業の33.8%の半分ほどです。
当サイトの就活判定(経験の加点なし)では、2社の結果はまったく同じでした。大学群の目安の1〜3段目は文理とも「十分射程」、4段目は文系「対策次第」・理系「十分射程」、5段目は文理とも「対策次第」、6段目は文系「挑戦枠」・理系「対策次第」です。偏差値1ポイントの差は判定を分けるほどではなく、どちらを本命にしても併願の組み方はほぼ同じで大丈夫です。
事業構造・社風と将来性
日立は不採算事業を整理し、IT(Lumada)×社会インフラ(鉄道・エネルギー)でグローバルに高収益化。三菱電機はFA(工場自動化)機器・重電・空調などで世界的な強みを持つ堅実なものづくり企業です。社風は日立が「変革・グローバル・論理」、三菱電機が「堅実・チーム・安定」と対照的です。
| 項目 | 日立製作所 | 三菱電機 |
|---|---|---|
| 主力 | IT×社会インフラ(Lumada) | FA機器・重電・空調 |
| 収益性 | 高い(改革で向上) | 安定 |
| 社風 | 変革・グローバル・論理 | 堅実・チーム・安定 |
| 向く人 | IT×社会変革に挑みたい | ものづくりで安定したい |
タイプ別おすすめ早見表
| こんな人 | おすすめ |
|---|---|
| IT×社会インフラ×グローバル変革 | 日立製作所 |
| FA・重電など堅実なものづくり | 三菱電機 |
| 高収益・処遇改善を重視 | 日立製作所 |
| 安定・チームワークを重視 | 三菱電機 |
結論として、IT×社会変革・高収益の日立、堅実なものづくり・安定の三菱電機が選び方の軸です。難関メーカーを目指すなら、逆求人PRサイトで企業からのスカウトを受けて自分の市場価値を測り、早期選考の機会を活かすのが有効です。3社比較はソニー・日立・パナソニックの比較、半導体は半導体業界の就職もご覧ください。
この記事のデータの出典
- 日立製作所・三菱電機の有価証券報告書(2026年3月期・金融庁 EDINET)
- 日立製作所・三菱電機の公式採用ページ(2026年10月12日取得)
- 職場情報総合サイト(しょくばらぼ)(https://shokuba.mhlw.go.jp)のデータ(2026年10月16日更新)を加工して作成
- 厚生労働省「毎月勤労統計調査 2025(令和7)年分結果確報」「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」

