介護士の転職は「施設タイプ」と「身体負担」で考える
介護職は求人がとても多い職種です。厚生労働省「一般職業紹介状況」の2025年12月の数字(常用・パート含む)では、「介護サービス職業従事者」の有効求人は20万1,675人、有効求職者は4万9,183人で、有効求人倍率は4.10倍(有効求人÷有効求職で当サイトが計算)と、職業全体の1.17倍の3倍を超えていました。一方で施設タイプによって介護度・夜勤の有無・身体的負担が大きく異なるため、自分の体力やライフスタイルに合う職場選びが長く続けるカギになります。本記事では施設タイプ別の比較、年収相場、転職の5ステップ、失敗回避のポイントを2026年の公開情報をもとに整理します。表の年収は、厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査の数字から当サイトが算出したものです。
施設タイプ別の特徴を比較する
施設のタイプで、利用者の介護の必要度と夜勤の有無が変わります。国の統計には介護職の年収を施設のタイプ別に分けた数字がないため、ここでは働き方の違いを整理します。
| 施設タイプ | 主な利用者・役割 | 夜勤 |
|---|---|---|
| 特別養護老人ホーム | 入所は原則として要介護3以上の人 | あり |
| 介護老人保健施設 | 在宅復帰を目指すリハビリと介護。リハビリ職と連携 | あり |
| 有料老人ホーム | 介護の必要度は施設ごとに違う | 施設による |
| デイサービス | 日中に通う人の入浴・食事・機能訓練など | なし(日勤) |
| 訪問介護 | 利用者の自宅を訪ねて1対1で介護 | 事業所による |
※施設のタイプごとの一般的な違いを編集部で整理したものです(特別養護老人ホームの入所は2015年4月から原則要介護3以上)。実際の夜勤の回数や人員配置は、施設ごとに必ず確認してください。
介護士の年収相場
厚生労働省の賃金構造基本統計調査(令和7年)によると、施設などで働く介護職員(推計116万5,930人)の全国平均年収は388.0万円です(平均年齢45.3歳・平均勤続9年)。令和7年6月分の「きまって支給する現金給与額」を12倍し、令和6年の1年間の賞与などを足した金額で、残業代や深夜手当などの割増賃金を含みます。職業情報サイト job tag の賃金(年収)と同じ調査・同じ計算です。同じ調査の訪問介護従事者は381.9万円(平均年齢51.2歳)、介護支援専門員(ケアマネジャー)は441.3万円(平均年齢53.1歳)でした。
年齢別の年収
| 年齢 | 年収 | 推計人数 |
|---|---|---|
| 〜19歳 | 250.5万円 | 6,450人 |
| 20〜24歳 | 316.3万円 | 6万8,310人 |
| 25〜29歳 | 357.6万円 | 10万1,230人 |
| 30〜34歳 | 384.2万円 | 10万8,540人 |
| 35〜39歳 | 414.4万円 | 12万910人 |
| 40〜44歳 | 414.2万円 | 14万9,080人 |
| 45〜49歳 | 413.9万円 | 16万280人 |
| 50〜54歳 | 416.4万円 | 16万3,670人 |
| 55〜59歳 | 394.3万円 | 12万3,200人 |
| 60〜64歳 | 366.0万円 | 10万600人 |
| 65〜69歳 | 314.6万円 | 4万870人 |
| 70歳〜 | 291.6万円 | 2万2,780人 |
※厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」第5表(職種(小分類)、年齢階級別)から当サイトが計算(確認日2026年10月22日)。年収は「きまって支給する現金給与額(6月分)×12+年間賞与その他特別給与額」で、全国・企業規模10人以上・男女計の平均です。残業代や深夜手当などの割増賃金を含みます。推計人数が1,000人に満たない年齢階級は載せていません。
会社の規模別の年収
| 会社の規模 | 年収 | 推計人数 |
|---|---|---|
| 1,000人以上 | 400.3万円 | 16万4,210人 |
| 100〜999人 | 397.1万円 | 61万9,670人 |
| 10〜99人 | 367.8万円 | 38万2,040人 |
※厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」第1表(職種(小分類)、性別。企業規模別の列)から当サイトが計算(確認日2026年10月22日)。年収は「きまって支給する現金給与額(6月分)×12+年間賞与その他特別給与額」で、全国・企業規模10人以上・男女計の平均です。残業代や深夜手当などの割増賃金を含みます。
大きな会社・法人ほど高く出ています。男女別では男性が418.4万円、女性が371.3万円で、差は47.1万円です。推計の労働者数で見ると、施設などで働く介護職員の64.6%が女性です。年齢・勤続年数・勤務時間の違いも含んだ平均なので、同じ条件で比べた差ではありません。ケアマネジャー(介護支援専門員)の全国平均は介護職員より53万円高く出ていますが、平均年齢が53.1歳と45.3歳で開いているため、同じ条件で比べた差ではありません。
働き方を国の統計で見る
介護施設が入る「医療,福祉」の業種全体では、フルタイムで働く人の月の残業(所定外労働時間)は6.7時間(毎月勤労統計調査・2025年)、有給休暇の取得率は68.4%(令和7年就労条件総合調査)です。2022年3月に大学を卒業して就職した人のうち、3年以内に辞めた人の割合は40.8%で、全産業の33.8%を上回ります。業種全体の平均なので、夜勤の回数や1回の夜勤の長さは表れません。見学や面接では、夜勤の人数と月の回数、夜勤明けの休みを確かめておきましょう。
介護福祉士の国家試験の結果(公式)
資格を取って年収や担当できる仕事を広げたい人は、介護福祉士PRの国家試験の数字も見ておきましょう。社会福祉振興・試験センターの発表によると、第38回(2026年1月25日実施)は受験者7万8,469人、合格者5万4,987人で、合格率は70.1%でした。直近5回の合格率は72.3%(第34回)、84.3%、82.8%、78.3%、70.1%(第38回)と推移しています。受験資格の区分では、社会福祉施設などで働きながら受けた人が4万8,612人で、合格者の61.6%を占めました。全体の総得点が合格基準に届かなくても、パートごとの基準を満たせば「パート別合格」となり、翌年・翌々年の試験では合格したパートの受験が免除されます。
転職を成功させる5ステップ
| ステップ | やること |
|---|---|
| 1. 不満の整理 | 身体負担・夜勤・人間関係・給与のどれが課題か明確化 |
| 2. 施設タイプの選定 | 特養・老健・デイ・訪問から方向性を絞る |
| 3. 情報収集 | 求人サイト・エージェントで人員配置・夜勤体制を確認 |
| 4. 見学・面接 | 必ず施設見学で職員の様子・利用者の雰囲気を確認 |
| 5. 円満退職 | シフトに配慮し引き継ぎを計画的に |
よくある失敗と対策
| 失敗 | 対策 |
|---|---|
| 見学せず入職 | 必ず施設見学で人員配置・雰囲気を確認 |
| 体力に合わない施設を選ぶ | 介護度・移乗の頻度・夜勤回数を確認 |
| 給与だけで選ぶ | 夜勤手当・処遇改善・通勤も含めて判断 |
転職を進める前のチェックリスト
応募前に次の点を整理しておくと、ミスマッチを減らせます。サービスの選び方は介護・保育の求人サービス比較、未経験から始める人はクリックジョブ介護の評判(未経験の扱いを整理)もあわせてご確認ください。
| 確認項目 | ポイント |
|---|---|
| 譲れない条件 | 身体負担・夜勤・給与の優先順位を3つに絞る |
| 施設見学 | 必ず見学し、人員配置と利用者の雰囲気を確認 |
| 処遇改善の運用 | 手当が給与に反映されるかを確認 |
| 資格取得支援PR | 介護福祉PR士など取得支援の有無を確認 |
介護士向け転職サービスの選び方
介護職専門の転職サイト・エージェントは求人が非常に多く、施設の内部事情(人員配置・離職率・夜勤体制)に詳しいのが強みです。2〜3社に登録して比較し、体力やライフスタイルに合う施設を提案してくれる担当者を選びましょう。働きながら資格を取る方法はかいご畑の評判(0円で介護資格の制度の条件)で整理しています。他の資格職は資格・専門職キャリアまとめから辿れます。
この記事のデータの出典
- 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」第1表(職種(小分類)、性別 きまって支給する現金給与額・年間賞与その他特別給与額)と第5表(職種(小分類)、年齢階級別。いずれも産業計・企業規模10人以上)
- 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和7年12月分及び令和7年分)」参考統計表(職業別・常用(パート含む))
- 厚生労働省「毎月勤労統計調査 2025年分結果確報」「令和7年就労条件総合調査」「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」
- 社会福祉振興・試験センター「第38回介護福祉士国家試験の合格発表について」

