税理士は独立も狙える代表的な士業
税理士は税務・会計の専門家として独立開業も狙える代表的な士業です。日本税理士会連合会によると、税理士の登録者は82,343人(2026年8月末)です。科目合格者の段階から会計事務所で実務を積めるのが特徴です。本記事では、国税庁が公表している税理士試験の結果をもとに、資格取得ルートの実際と、働き方・転職の進め方を整理します。
働き方別の年収と特徴
| 働き方 | 特徴 |
|---|---|
| 会計事務所(科目合格) | 実務を積みながら受験 |
| 税理士法人(有資格) | 大型案件・専門特化 |
| 一般企業(経理・税務) | 事業会社の社員として税務に関わる |
| 独立開業 | 顧問先の数と単価で収入が決まる |
※以前の版に載せていた働き方別の「年収目安」は、税理士だけを取り出した公的な年収の統計が見当たらず根拠を示せないため削りました。求人を比べるときは、求人票で基本給・賞与・残業代の扱いを分けて確かめてください。
登録者82,343人を税理士会ごとに見ると、東京税理士会が24,786人、近畿税理士会が15,580人で、2つの会で全体の約49%を占めます。最も少ない沖縄税理士会は540人です(日本税理士会連合会、2026年8月末)。税理士法人は主たる事務所が5,330あります。求人の数も大都市に集まりやすいので、地方で働きたい人は地元の会計事務所の求人を早めに調べておきましょう。
資格取得ルート
税理士試験は会計2科目+税法3科目の計5科目に合格する必要があり、1科目ずつ受験できる「科目合格制」が特徴です。働きながら数年かけて合格を目指す人が多く、会計事務所で実務経験を積みながら受験するのが王道です。会計系の他資格との比較は公認会計士・USCPA・税理士の比較もあわせてご覧ください。
国税庁の発表では、令和7年度(第75回、2025年8月5〜7日実施)の受験者は36,320人で、そのうち5科目を達成した人は527人、一部の科目に合格した人は7,320人でした。合格者の合計7,847人の割合(合格率)は21.6%で、前年度の16.6%から上がっています。科目ごとの合格率は次のとおりです。
| 科目 | 受験者数 | 合格者数 | 令和7年度 | 令和6年度 |
|---|---|---|---|---|
| 簿記PR論(会計) | 18,466人 | 2,058人 | 11.1% | 17.4% |
| 財務諸表論(会計) | 15,629人 | 4,980人 | 31.9% | 8.0% |
| 法人税法 | 3,606人 | 488人 | 13.5% | 16.4% |
| 相続税法 | 2,413人 | 333人 | 13.8% | 18.7% |
| 消費税法 | 7,064人 | 712人 | 10.1% | 10.3% |
| 所得税法 | 1,120人 | 146人 | 13.0% | 12.6% |
※国税庁「令和7年度(第75回)税理士試験結果表」(科目別・試験地別・学歴別・年齢別)。表は主な科目のみ。
会計科目の合格率は年によって大きく動き、財務諸表論は前年度の8.0%から31.9%に、簿記論は17.4%から11.1%に変わりました。税法科目は10〜14%前後で、消費税法は2年続けて約10%です。年齢別の合格率は20歳以下が35.4%、21〜25歳が29.4%、26〜30歳が25.5%と若いほど高く、41歳以上は11.5%でした。受験者のうち41歳以上が11,632人と最も多い年代で、働きながら長く挑戦している人が多いことが分かります。
表に載せなかった税法科目では、国税徴収法が受験者1,671人・合格率13.8%、固定資産税が928人・15.5%、酒税法が590人・12.2%、住民税が439人・17.8%、事業税が310人・12.3%でした。全科目を合わせた延べ人数では、受験52,236人に対して合格9,280人で、合格率は17.8%(前年度13.5%)です。国税庁の試験の概要では、税法3科目に所得税法か法人税法のどちらか1つを必ず含める決まりがあり、消費税法と酒税法、住民税と事業税はそれぞれどちらか一方しか選べません。こうした組み合わせのルールを踏まえて、受験者の多い法人税法と、合格率の高い科目をどう組み合わせるかを、実務で扱いたい分野とあわせて考えましょう。
学歴・試験地・男女で見た受験者
| 区分 | 受験者数 | 合格者数(一部科目を含む) | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 大学卒 | 25,893人 | 5,377人 | 20.8% |
| 大学在学中 | 2,811人 | 896人 | 31.9% |
| 専門学校卒 | 3,049人 | 448人 | 14.7% |
| 高校・旧中卒 | 3,179人 | 786人 | 24.7% |
※国税庁「令和7年度(第75回)税理士試験結果表(学歴別・年齢別)」。表は主な区分のみ。
受験者の7割以上は大学卒で、大学在学中に受ける人も2,811人います。在学中の人の合格率は31.9%と高く、時間を取りやすい学生のうちに会計科目を済ませておく進め方が数字にも表れています。高校・旧中卒の人も3,179人が受け、786人が合格しています。税理士試験は、令和5年度から会計科目(簿記論・財務諸表論)に受験資格が要らなくなっていて、学歴に関係なく会計科目から始められます(税法科目は、学識・資格・職歴のいずれかの受験資格が引き続き必要)。
試験地別では東京都の受験者が15,531人で全体の約43%を占め、大阪府6,523人、愛知県3,541人、埼玉県・群馬県2,571人が続きます。女性の受験者は10,439人、合格者は2,254人で、合格者の約29%が女性でした。
年収を上げる方法
勤務税理士は税理士法人や事業会社の税務ポジションへの転職で条件を見直す人が多く、独立すれば顧問契約の数と単価で収入が決まります。資産税・国際税務・組織再編など専門特化すると単価が上がります。
転職を成功させるポイント
科目合格の段階か有資格かで求人が変わります。実務経験の幅(法人税・所得税・相続など)と志向(独立か企業内か)を整理して臨むことが大切です。士業・会計特化の転職エージェントPRを2〜3社使い、求人を比較しましょう。
他の士業は社労士・行政書士の記事や、資格・専門職キャリアまとめから辿れます。
この記事のデータの出典
- 国税庁「令和7年度(第75回)税理士試験結果表」(試験地別・学歴別・年齢別・科目別)
- 国税庁「受験資格について」(税理士試験Q&A)
- 日本税理士会連合会「税理士登録者数」(2026年8月末日現在)

