薬剤師の転職は「職場タイプの理解」から始める
薬剤師は資格職のなかでも転職市場が活発で、職場の選択肢が幅広い職種です。一方で職場タイプによって年収・残業・キャリアの伸びしろが大きく異なるため、安易に求人票だけで決めると後悔につながります。本記事では職場タイプ別の比較、年収相場、転職の5ステップ、失敗回避のポイントを2026年の公開情報をもとに整理します。年収は、厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」の公表値から当サイトが計算した数字です。
職場タイプ別の特徴を比較する
職場のタイプで、仕事の中身と応募前に確かめたい条件が変わります。なお、国の統計(賃金構造基本統計調査)には、薬剤師の年収を職場のタイプ別に分けた数字はありません。年収は次の節で、経験年数と会社の規模から見ていきます。
| 職場タイプ | 仕事の中心 | 応募前に確認したいこと |
|---|---|---|
| 調剤薬局 | 処方箋の調剤・服薬指導 | 1日の処方箋枚数と、薬剤師の人数 |
| ドラッグストア | OTC医薬品の販売・相談、調剤併設店では調剤 | 調剤併設かどうかと、品出しやレジなど店舗業務の割合 |
| 病院 | 入院患者の調剤・病棟業務・チーム医療 | 当直・夜勤の有無と、担当する病棟 |
| 製薬企業(MR/開発等) | 医薬情報の提供・臨床開発・品質管理など | 職種ごとの募集の有無と、勤務地・転勤 |
| 在宅・訪問 | 患者宅・施設での服薬管理 | 移動の手段と、夜間・休日の対応の有無 |
※「仕事の中心」と「応募前に確認したいこと」は、職場のタイプごとの一般的な違いを編集部で整理したものです。
薬剤師の年収相場
厚生労働省の賃金構造基本統計調査(令和7年)によると、薬剤師(推計9万4,850人)の全国平均年収は566.8万円です(平均年齢40.1歳・平均勤続8.6年)。令和7年6月分の「きまって支給する現金給与額」を12倍し、令和6年の1年間の賞与などを足した金額で、残業代や深夜手当などの割増賃金を含みます。職業情報サイト job tag の賃金(年収)と同じ調査・同じ計算です。
年齢別の年収
| 年齢 | 年収 | 推計人数 |
|---|---|---|
| 20〜24歳 | 408.4万円 | 2,810人 |
| 25〜29歳 | 494.8万円 | 2万3,020人 |
| 30〜34歳 | 533.2万円 | 1万7,240人 |
| 35〜39歳 | 598.0万円 | 9,100人 |
| 40〜44歳 | 595.2万円 | 1万1,600人 |
| 45〜49歳 | 675.8万円 | 9,990人 |
| 50〜54歳 | 643.0万円 | 8,370人 |
| 55〜59歳 | 657.5万円 | 6,020人 |
| 60〜64歳 | 550.1万円 | 2,970人 |
| 65〜69歳 | 612.0万円 | 1,810人 |
| 70歳〜 | 447.0万円 | 1,940人 |
※厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」第5表(職種(小分類)、年齢階級別)から当サイトが計算(確認日2026年10月22日)。年収は「きまって支給する現金給与額(6月分)×12+年間賞与その他特別給与額」で、全国・企業規模10人以上・男女計の平均です。残業代や深夜手当などの割増賃金を含みます。推計人数が1,000人に満たない年齢階級は載せていません。
会社の規模別の年収
| 会社の規模 | 年収 | 推計人数 |
|---|---|---|
| 1,000人以上 | 564.9万円 | 5万2,890人 |
| 100〜999人 | 562.7万円 | 3万610人 |
| 10〜99人 | 586.8万円 | 1万1,350人 |
※厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」第1表(職種(小分類)、性別。企業規模別の列)から当サイトが計算(確認日2026年10月22日)。年収は「きまって支給する現金給与額(6月分)×12+年間賞与その他特別給与額」で、全国・企業規模10人以上・男女計の平均です。残業代や深夜手当などの割増賃金を含みます。
規模による差は小さい職種です。男女別では男性が605.7万円、女性が539.4万円で、差は66.3万円です。推計の労働者数で見ると、薬剤師の58.7%が女性です。年齢・勤続年数・勤務時間の違いも含んだ平均なので、同じ条件で比べた差ではありません。
求人の多さの目安として、厚生労働省「一般職業紹介状況」の2025年12月の数字(常用・パート含む)では、薬剤師を含む「医師,歯科医師,獣医師,薬剤師」の有効求人は9,016人、有効求職者は4,527人で、有効求人倍率は1.99倍(有効求人÷有効求職で当サイトが計算)でした。職業全体の1.17倍より高い水準です。ただしハローワークを通した求人だけの数字で、転職サイトの求人は含みません。
働き方を業種の統計で比べる
薬剤師が働く場所は、病院なら「医療,福祉」、調剤薬局やドラッグストアなら「小売業」(調剤薬局は医薬品小売業)に分類されます。国の統計で2つの業種を比べると、次のとおりです。薬剤師だけの数字ではなく、業種全体の平均です。
| 指標 | 医療,福祉 | 卸売業,小売業 |
|---|---|---|
| フルタイムの月の残業(2025年) | 6.7時間 | 11.3時間 |
| 有給休暇の取得率 | 68.4% | 59.9% |
| 大卒の3年以内の離職率 | 40.8% | 40.4%(小売業) |
※残業は厚生労働省「毎月勤労統計調査 2025年分結果確報」(一般労働者の所定外労働時間・事業所規模5人以上)、有給は「令和7年就労条件総合調査」、離職率は「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」。
残業と有給の数字では、病院を含む医療,福祉のほうが休みを取りやすい側に出ます。一方で、病院には当直や夜勤がある職場もあり、月の残業時間だけでは負担を比べきれません。応募先では、残業の時間とあわせて、当直・夜勤の回数と、休日の取り方まで確認しておきましょう。
転職を成功させる5ステップ
| ステップ | やること |
|---|---|
| 1. 目的の明確化 | 年収・スキル・働き方のどれを優先するか決める |
| 2. 職場タイプの選定 | 調剤・DgS・病院・企業から方向性を絞る |
| 3. 情報収集 | 求人サイト・エージェントで相場と非公開求人を把握 |
| 4. 応募・面接・見学 | 処方箋枚数・残業・人員体制を確認 |
| 5. 円満退職 | 引き継ぎと退職時期を計画的に進める |
よくある失敗と対策
| 失敗 | 対策 |
|---|---|
| 年収だけで決める | 処方箋枚数・残業・通勤も含めて判断 |
| 職場見学をしない | 必ず店舗・病棟を見て人員体制を確認 |
| 1社だけに応募 | 2〜3社を比較して相場感を持つ |
転職を進める前のチェックリスト
応募前に次の点を整理しておくと、ミスマッチを減らせます。調剤薬局が中心の求人を扱うサービスの例は、ファルマスタッフの評判で、派遣PRの条件や研修まで公開情報で整理しています。
| 確認項目 | ポイント |
|---|---|
| 譲れない条件 | 年収・残業・勤務地の優先順位を3つに絞る |
| 処方箋枚数 | 業務量の目安を必ず確認 |
| 年収の内訳 | 基本給・賞与・各種手当を総額で比較 |
| 人員体制 | 一人薬剤師かどうかを確認 |
薬剤師向け転職サービスの選び方
薬剤師専門の転職サイト・エージェントは求人数が多く、職場の内部情報や非公開求人を持っています。2〜3社に登録して比較し、希望条件に合う求人を提案してくれる担当者を選ぶのが王道です。他の資格職は資格・専門職キャリアまとめから辿れます。
この記事のデータの出典
- 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」第1表(職種(小分類)、性別 きまって支給する現金給与額・年間賞与その他特別給与額)と第5表(職種(小分類)、年齢階級別。いずれも産業計・企業規模10人以上)
- 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和7年12月分及び令和7年分)」参考統計表(職業別・常用(パート含む))

