ANAとJALは「規模・チャレンジのANA」か「再建後の堅実なJAL」か
航空大手のANA(全日空)とJAL(日本航空)。国内最大の規模とチャレンジ精神のANA、経営破綻からの再建を経て収益性・堅実さを重んじるJALという対比が基本です。航空業界は就活人気が高く、特に総合職・パイロットは難関です。本記事では公開情報をもとに5軸で比較します。
就職難易度・年収の比較
| 項目 | ANA | JAL |
|---|---|---|
| 就職偏差値(総合職) | 63 | 62 |
| 平均年収(有報・2026年3月期) | 1,172.1万円※ | 1,011.2万円 |
| 就活人気 | 非常に高い | 非常に高い |
| 主な職種 | 総合職・客室・運航・整備 | 総合職・客室・運航・整備 |
※就職偏差値は当サイトのデータ(公開情報をもとにした目安)。平均年収は、JALが日本航空の2026年3月期有価証券報告書の単体平均(平均40.2歳・14,627人)、ANAが持株会社ANAホールディングスの有報の「従業員の状況」に載っている全日本空輸の欄の数字(平均41.3歳・14,983人)で、どちらもパイロットを含む全職種の平均です。総合職・パイロット・客室乗務員・整備など職種で採用・難易度が分かれます。
公式の募集要項で比べる新卒採用(2027年4月入社)
就活でいちばん気になるのは、やはり「どう採用されるか」だと思います。2社の公式の募集要項から、総合職にあたる職種(ANAはグローバルスタッフ職、JALは業務企画職)の条件を並べました。
| 項目 | ANA(全日本空輸) | JAL(日本航空) |
|---|---|---|
| 総合職にあたる職種 | グローバルスタッフ職(セグメント別採用・専門採用) | 業務企画職(コーポレート/オペレーション/ビジネス・マーケティングなどのコース) |
| 初任給(大卒) | 月額273,490円(2026年度予定) | 273,000円(2026年3月27日時点) |
| 初任給(大学院) | 院卒 月額286,155円 | 修士 300,983円/博士 336,939円 |
| 採用予定数 | 公式ページでは確認できず | 業務企画職 合計100名程度(障がい者選考を含む) |
| 応募の期限 | セグメント別採用の締切は2026年3月16日13:00 | 選考は春タームのみ(日程はマイページで案内) |
| 既卒の扱い | 卒業後3年以内で、他社に就業していない人も応募できる(新卒II) | 既卒も可(正社員としての就業経験がない人) |
| 選考の特徴 | 2つの採用コースに併願できる | 1次選考でオンライン選考とAI面接(AI面接だけで合否は決めない) |
| 勤務時間 | 常日勤部門は9:00〜18:00(シフト勤務の部門あり) | 8:45〜17:45(シフト勤務の職場あり) |
| 賞与 | 年3回(2024年度実績) | 年3回(2024年度実績) |
※ANAは公式採用サイトの新卒募集要項、JALは新卒キャリア採用サイトの職種別募集要項(いずれも2026年10月16日に確認)。2027年4月入社の募集はすでに締め切られているので、次の年度の条件は各社の発表で確かめてください。
大卒の初任給はANAが273,490円、JALが273,000円で、差は490円しかありません。ここはほぼ同じと見てよさそうです。違いが出るのは大学院卒で、JALの修士300,983円に対してANAの院卒は286,155円でした。
もうひとつ見ておきたいのが締切の早さです。ANAのセグメント別採用は3月16日に締め切られ、JALも選考は春の1回だけです。航空2社を両方受けるなら、大学3年生の冬までにESの準備を終えておくと安心です。
有価証券報告書で見る2社のグループの規模と回復
次は会社の体力です。2社の有価証券報告書(連結)から、直近の決算と5年前の決算を並べました。
| 項目(連結) | ANAホールディングス | 日本航空 |
|---|---|---|
| 売上(2026年3月期) | 2兆5,392億円 | 2兆125億円 |
| 純利益(2026年3月期) | 1,691億円 | 1,376億円 |
| 売上(2022年3月期) | 1兆203億円 | 6,827億円 |
| 純利益(2022年3月期) | −1,436億円 | −1,776億円 |
| 従業員数(連結・2026年3月期) | 47,826人 | 39,076人 |
| 自己資本比率 | 37.7% | 40.3% |
| ROE | 12.9% | 12.2% |
※各社の有価証券報告書(ANAホールディングスは日本基準の売上高、日本航空はIFRSの売上収益)。会計基準が違うので、細かな差より大きな流れを見てください。
5年前の2022年3月期は、2社とも純損失でした。そこから売上はANAが約2.5倍、JALが約3倍に戻り、直近はどちらも1,000億円を超える純利益を出しています。規模はANAが一回り大きく、従業員数もANAのほうが8,750人多い形です。
なお、有価証券報告書の平均年収は、ANA(全日本空輸)が1,172.1万円、JAL(日本航空)が1,011.2万円で、ANAが約161万円高い数字です。平均年齢(ANA41.3歳・JAL40.2歳)と平均勤続年数(どちらも14.9年)はほぼ同じです。ただし全職種の平均なので、総合職の水準はこれと分けて考える必要があります。
働き方の公表値(残業と有給)
厚生労働省の職場情報総合サイト「しょくばらぼ」には、2社が公表した働き方の数字が載っています。全日本空輸は正社員の月平均の残業時間が9.1時間(2025年度実績・運航乗務職と客室乗務職を除く)、有給休暇の取得率が82.3%です。日本航空は基幹的な職種の月平均の残業時間が11.3時間でした。JALの業務企画職の募集要項にも、2024年度の所定時間外労働は月平均10.2時間と書かれています。
※出典:職場情報総合サイト(しょくばらぼ)(https://shokuba.mhlw.go.jp)のデータ(2026年10月16日更新)を加工して作成。対象の範囲が2社で違う点に気をつけてください。
どちらも月10時間前後で、航空業界が入る運輸業,郵便業の平均(フルタイムで月24.1時間・厚生労働省「毎月勤労統計調査」2025年)よりかなり短めです。ただし、パイロットや客室乗務職、空港・整備の現場はシフト勤務なので、総合職の数字とは分けて考えるのがおすすめです。
社風・事業の違い
| 項目 | ANA | JAL |
|---|---|---|
| 強み | 国内最大規模・チャレンジ精神 | 再建後の高収益・堅実経営 |
| 社風 | 挑戦・規模・現場力 | 堅実・フィロソフィ・収益意識 |
| 経営 | 規模を活かした成長 | 破綻を教訓に収益性重視 |
| 向く人 | 規模×チャレンジ | 堅実×収益意識 |
タイプ別おすすめ早見表
| こんな人 | おすすめ |
|---|---|
| 国内最大規模×挑戦の社風 | ANA |
| 再建後の堅実×収益意識 | JAL |
結論として、規模・挑戦のANA、堅実・収益のJALが選び方の軸です。航空は人気で職種別に対策が異なります。逆求人PRサイトで自分の市場価値を測り、早期に選考対策PRを進めるのが有効です。航空2社比較はJAL vs ANA 年収比較、インフラ業界はインフラ業界ランキングもご覧ください。
この記事のデータの出典
- ANA公式採用サイト「新卒採用 募集要項」、JAL新卒キャリア採用サイト「職種別募集要項(業務企画職)」(2026年10月16日確認)
- ANAホールディングス・日本航空の有価証券報告書(2026年3月期、金融庁 EDINET)
- 職場情報総合サイト(しょくばらぼ)(https://shokuba.mhlw.go.jp)のデータ(2026年10月16日更新)を加工して作成
- 厚生労働省「毎月勤労統計調査 2025(令和7)年分結果確報」
訂正(2026年10月22日):この記事の以前の版では、ANAの平均年収を「同じ形の公開値なし」とし、持株会社ANAホールディングスの社員286人だけの数字(771万円・平均勤続2.9年)を、JALと比べられない数字として説明していました。企業ページに合わせて、持株会社の有報にある全日本空輸の欄の数字(1,172.1万円・平均41.3歳・平均勤続14.9年・14,983人)を載せ、JALとの比べ方の説明も書き直しました。

