JAL/ANAは「コロナを経て事業構造が大きく変わった」
就活人気企業ランキング上位の常連である国内航空2強「JAL(日本航空)」と「ANA(全日本空輸)」は、コロナ後の事業構造再編を経て、キャリアパス・主力事業の比重が大きく変わりました。JALは経営破綻からの復活で財務体質が強化され、ANAはLCC(Peach)統合・貨物事業強化で多角化が進行。本記事では、各社の有価証券報告書、厚生労働省の公表データ、当サイトの就活判定をもとに比べます。
平均年収の比較
| 項目(有報・2026年3月期) | JAL(日本航空) | ANA(全日本空輸) |
|---|---|---|
| 平均年収(提出会社単体) | 1,011.2万円 | 1,172.1万円 |
| 平均年齢 | 40.2歳 | 41.3歳 |
| 平均勤続年数 | 14.9年 | 14.9年 |
| 従業員(単体) | 14,627人 | 14,983人 |
※各社の有価証券報告書(金融庁 EDINET)。ANA(全日本空輸)は自社では有価証券報告書を出しておらず、数字は、持株会社ANAホールディングスの有報の「従業員の状況」に載っている全日本空輸の欄のものです。年齢別の年収は公表されていません。
2つの数字は、どちらも航空会社そのものの社員全体の平均で、パイロットや客室乗務員も含みます。JALは日本航空(単体1万4,627人)、ANAは運航を担う全日本空輸(1万4,983人)です。平均年収はANAが約161万円高く、平均年齢(JAL40.2歳・ANA41.3歳)と平均勤続年数(JAL・ANAとも14.9年)はほぼ同じです。差が出る理由は有報からは分からず、職種ごとの水準や、総合職だけの年収も載っていません。
事業構造・社風の比較
| 項目 | JAL | ANA |
|---|---|---|
| 主力事業 | 国際線+国内線+貨物 | 国際線+国内線+LCC統合+貨物 |
| マーケット | ビジネス・プレミアム | 幅広い・LCC含む |
| 社風 | 稲盛改革後の堅実 | サービス重視・名門 |
※主力事業・マーケット・社風は編集部の見方です。
有価証券報告書で見る4年の回復
| 連結 | JAL | ANAホールディングス |
|---|---|---|
| 売上(2022年3月期) | 6,827億円 | 1兆203億円 |
| 売上(2026年3月期) | 2兆125億円 | 2兆5,392億円 |
| 純利益(2022年3月期→2026年3月期) | −1,776億円→1,376億円 | −1,436億円→1,691億円 |
| ROE(2026年3月期) | 12.2% | 12.9% |
| 自己資本比率(2026年3月期) | 40.3% | 37.7% |
※各社の有価証券報告書(連結の経営指標等の推移)。JALはIFRSの売上収益。
4年で売上はJALが2.95倍、ANAホールディングスが2.49倍になり、どちらも赤字から1,000億円を超える黒字に戻りました。ROE(株主から預かった資本に対して、どれだけ純利益を上げたかの割合)は2社とも12%台で、利益の稼ぎ方の差は小さくなっています。自己資本比率はJALが40.3%とやや厚く、財務の体力ではJALが少し上です。
働き方の公表値と、判定で見た2社
厚生労働省の職場情報総合サイト「しょくばらぼ」では、月平均の残業時間が日本航空11.3時間(基幹的な職種)、全日本空輸9.1時間(正社員・運航乗務職と客室乗務職を除く・2025年度実績)と公表されています。全日本空輸は有給休暇の取得率82.3%も公表しています(2026年10月16日更新のデータを加工)。航空会社が入る運輸業,郵便業の平均は、フルタイムで月24.1時間の残業(毎月勤労統計調査・2025年)、有給の取得率65.3%(令和7年就労条件総合調査)なので、2社とも業界の平均よりかなり働きやすい側の数字です。
当サイトの就活判定(経験の加点なし)で総合職を見ると、2社は1段も違わない結果でした。文系は大学群の目安の3段目まで「十分射程」、4〜5段目が「対策次第」、6段目が「挑戦枠」で、理系は4段目まで「十分射程」、5〜6段目が「対策次第」です。
人の採用も戻っています。有価証券報告書の連結の従業員数は、JALが3万5,423人(2022年3月期)から3万9,076人(2026年3月期)へ10.3%、ANAホールディングスが4万2,196人から4万7,826人へ13.3%増えました。JALの公式採用ページでは、総合職にあたる業務企画職をコーポレートコース・オペレーションコース・ビジネス・マーケティングコースの3つに分けて募集していて、自社養成パイロットのインターンシップも実施しています。志望する場合は、どのコースで応募するかを先に決めておくと、志望動機を具体的にしやすくなります。
コロナ後の事業構造変化
コロナ禍を経て両社の事業構造は大きく変わりました。JALは経営破綻からの稲盛改革で財務体質を立て直し、ANAはLCC(Peach)や貨物事業を含めた多角化を進めています。2026年3月期の売上はJALが2兆125億円、ANAホールディングスが2兆5,392億円で、どちらも4年前の2倍を大きく超えました。両社の総合職には「事業企画・グローバル戦略・データ活用・SDGs/カーボンニュートラル」などの新しい仕事が拡大しています。
タイプ別おすすめ早見表
| こんな志向 | 第一候補 | 理由 |
|---|---|---|
| 財務体質・安定性重視 | JAL | 自己資本比率40.3%(2026年3月期) |
| 多角化・LCC・貨物 | ANA | Peach統合・貨物事業強化 |
| ビジネス・プレミアム | JAL | ビジネスクラス重視 |
| サービス・名門ブランド | ANA | サービスの伝統的強さ |
| パイロット・CA志望 | 両社とも | 募集の有無と条件は各社の採用ページで確認 |
| 総合職で経営企画志向 | 両社同等 | 事業企画・戦略の幅広いキャリア |
結論として「財務体質=JAL、多角化=ANA」が現在の2社の核となる差です。航空2社は赤字から1,000億円を超える黒字に戻り、ROEも12%台まで回復しています。JR3社対決、物流業界の就職偏差値と合わせて運輸業界全体を理解してください。
この記事のデータの出典
- 日本航空・ANAホールディングスの有価証券報告書(2026年3月期・金融庁 EDINET)
- JALの公式採用ページ(2026年10月12日取得)
- 職場情報総合サイト(しょくばらぼ)(https://shokuba.mhlw.go.jp)のデータ(2026年10月16日更新)を加工して作成
- 厚生労働省「毎月勤労統計調査 2025(令和7)年分結果確報」「令和7年就労条件総合調査」
- 当サイトの就職偏差値データ・就活判定(/tools/hantei)
訂正(2026年10月22日):この記事の以前の版では、紹介文・冒頭・見出しで「年収カーブ」を比べると書いていました。この記事に載せているのは有価証券報告書の平均年収(提出会社の社員全体の平均)で、年齢ごとの年収は載せていないため、「平均年収」に直しました。
訂正(2026年10月22日・2回目):この記事の以前の版では、ANAの年収・平均年齢・平均勤続年数・従業員数を、持株会社ANAホールディングスの社員286人だけの数字(770.9万円・46.2歳・2.9年)で載せ、JALとは比べられないと書いていました。企業ページに合わせて、持株会社の有報にある全日本空輸の欄の数字(1,172.1万円・41.3歳・14.9年・14,983人)に直し、2社の比べ方の説明も書き直しました。

