旭化成と東レは「多角化の総合企業」か「素材技術の世界トップ」か
総合化学・素材大手の旭化成と東レ。素材・住宅・ヘルスケアの3領域で多角化する旭化成、炭素繊維など先端素材で世界トップシェアを持つ東レという対比が基本です。どちらも技術力に定評のあるBtoB優良企業です。本記事では公開情報をもとに5軸で比較します。
就職難易度・年収の比較
| 項目 | 旭化成 | 東レ |
|---|---|---|
| 就職偏差値 | 63 | 61 |
| 平均年収(有報・2026年3月期) | 848.4万円 | 838.4万円 |
| 初任給(学部卒・公式) | 公式ページで取得できず | 288,500円(2026年度) |
| 2026年の大卒採用(公式) | 公式ページで取得できず | 技術系120名・事務系42名 |
※就職偏差値は当サイトの目安。平均年収は2026年3月期の有価証券報告書の提出会社単体の平均。東レの初任給・採用人数は公式採用ページ(2026年10月12日取得)の記載です。研究・生産(理系)と事務系(文理)で採用区分が分かれます。
有価証券報告書で比べる会社の大きさと5年の業績
平均年収は旭化成848.4万円、東レ838.4万円で、差は10万円ほどしかありません。平均年齢(41.9歳と40.8歳)も平均勤続年数(17.1年と17.4年)もほぼ同じで、社員の待遇と定着ぶりは「そっくり」と言っていい2社です。違いが出るのは、会社の大きさと業績の動きです。
| 項目(連結) | 旭化成 | 東レ |
|---|---|---|
| 売上(2026年3月期) | 3兆745億円 | 2兆5,851億円 |
| 売上(2022年3月期) | 2兆4,613億円 | 2兆2,285億円 |
| 純利益(2026年3月期) | 1,588億円 | 795億円 |
| 5年でいちばん低かった純利益 | −919億円(2023年3月期) | 219億円(2024年3月期) |
| 研究開発費 | 1,105億円 | 759億円 |
| 設備投資 | 2,223億円 | 1,487億円 |
| 従業員数(提出会社/連結) | 8,233人/47,895人 | 7,027人/46,294人 |
※各社の有価証券報告書(2026年3月期・金融庁 EDINET)。旭化成は日本基準の売上高、東レはIFRSの売上収益です。
売上は旭化成が約3.1兆円、東レが約2.6兆円で、旭化成のほうが一回り大きく、5年前と比べた伸びも旭化成のほうが大きくなっています(約1.25倍と約1.16倍)。ただ、旭化成は2023年3月期に919億円の純損失を出していて、利益の振れ幅は大きめです。東レは赤字にはならなかったものの、2024年3月期の純利益は219億円まで下がりました。素材の会社は景気や市況の影響を受けやすいので、志望動機で将来性を語るときは、1年だけでなく5年分の数字を見ておくと説得力が出ます。
お金の使い方にも性格が出ます。研究開発費は旭化成1,105億円・東レ759億円で、売上に対する割合は旭化成が約3.6%、東レが約2.9%です。設備投資は旭化成2,223億円・東レ1,487億円でした。東レの有価証券報告書によると、グループは東レと関係会社308社(子会社269社・関連会社等39社)で構成されていて、公式採用ページでも勤務地に国内外の関係会社が挙がっています。
東レの新卒採用を公式の数字で見る
東レは採用ページで中身をかなり細かく公開しています。2026年の大卒採用は技術系120名・事務系42名で、技術系が全体の約74%です。技術系の職種は研究開発、技術開発・商品開発、生産技術、エンジニアリング、分析評価のほか、臨床開発や薬事、情報システムまで並び、事務系は営業と管理部門(総務・法務・人事・経理・購買など)です。
選考の流れは「プレエントリー → 会社説明会・社員懇談会 → エントリーシート提出・Webテスト → テストセンターでの適性検査 → 面接 → 内々定」の順です。2027年度新卒のエントリー受付は2026年8月27日に終わっていて、2028年度向けのマイページ登録は2026年3月23日に始まっています。勤務地は東京・大阪の本社に加えて、滋賀・愛媛・名古屋・千葉・石川など各地の工場・研究所と関係会社に広がっています。
働き方の公表値と、化学業界の定着率
厚生労働省の職場情報総合サイト「しょくばらぼ」では、東レが組合員(GコースとSコース)の2025年度の月平均の残業時間を5.0時間(法定労働時間ベース)、旭化成が正社員で22.1時間と公表しています。対象の範囲がまったく違うので、この2つの数字をそのまま比べるのは避けたいところです。
業界全体で見ると、化学工業(石油・石炭製品を含む)の大卒の3年以内離職率は15.3%(厚生労働省・2022年3月卒)で、製造業の中でもとくに低い水準です。全産業の33.8%の半分以下なので、化学メーカーは入った人が辞めにくい業界だと数字が示しています。当サイトの就活判定(加点なし)でも2社の判定は同じで、大学群1〜3段目は文理とも「十分射程」、4段目は文系「対策次第」・理系「十分射程」でした。理系が一段有利に出るのは、技術系の採用が多い業界らしい結果です。
事業・社風の違い
| 項目 | 旭化成 | 東レ |
|---|---|---|
| 強み | 素材・住宅(ヘーベル)・ヘルスケア | 炭素繊維・繊維・フィルム(世界トップ) |
| 事業構造 | 3領域に多角化・安定 | 素材特化・技術深耕 |
| 社風 | 多様・挑戦・変革 | 堅実・技術志向・research |
| 向く人 | 多角的な事業を経験したい | 素材技術を深く極めたい |
タイプ別おすすめ早見表
| こんな人 | おすすめ |
|---|---|
| 多角化×住宅・ヘルスケアも | 旭化成 |
| 炭素繊維など世界トップ素材 | 東レ |
結論として、多角化の旭化成、素材技術の東レが選び方の軸です。どちらもBtoB優良企業で技術志向の人に向きます。逆求人PRサイトで自分の市場価値を測り、早期に選考対策PRを進めるのが有効です。化学業界は化学業界就職難易度ランキング、隠れ優良は隠れ優良企業ランキングもご覧ください。
この記事のデータの出典
- 旭化成・東レの有価証券報告書(2026年3月期・金融庁 EDINET)
- 東レ公式採用ページ「新卒採用」(2026年10月12日取得)
- 職場情報総合サイト(しょくばらぼ)(https://shokuba.mhlw.go.jp)のデータ(2026年10月16日更新)を加工して作成
- 厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」

