電力・ガスは「生活に不可欠なエネルギーインフラ」、安定と変革の両面
電力・ガス業界は、生活と産業に不可欠なエネルギーを供給する社会インフラです。安定性の高さで人気がある一方、自由化・脱炭素(GX)で大きな変革期にあります。電力(東京電力・関西電力等)、ガス(東京ガス・大阪ガス等)の大手が中核です。本記事では公開情報をもとに就職難易度を整理します。
電力・ガス業界 就職偏差値ランキング
当サイトに掲載している電力・ガス会社のうち、有価証券報告書のデータがある9社を就職偏差値の高い順に並べました。平均年収・平均年齢・平均勤続年数は有価証券報告書(2026年3月期)、初任給は各社の公式採用ページの記載です。
| 企業 | 就職偏差値 | 平均年収(有報) | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 初任給(大卒・公式) |
|---|---|---|---|---|---|
| JERA | 66 | 980万円(2026年3月期) | 43.4歳 | 16.4年 | — |
| 東京ガス | 62 | 784万円(2026年3月期) | 43.3歳 | 19.5年 | 280,000円 |
| 大阪ガス(ダイガス) | 62 | 846万円(2026年3月期) | 44.3歳 | 16.1年 | — |
| 九州電力 | 62 | 842万円(2026年3月期) | 42.1歳 | 20.8年 | 265,000円 |
| 東北電力 | 62 | 873万円(2026年3月期) | 44歳 | 19.8年 | 253,000円 |
| 北海道電力 | 61 | 828万円(2026年3月期) | 41.3歳 | 18.2年 | 250,000円 |
| 関西電力 | 60 | 939万円(2026年3月期) | 42.4歳 | 19.4年 | — |
| 中部電力 | 60 | 945万円(2026年3月期) | 42.5歳 | 19年 | 270,000円 |
| 東京電力HD | 59 | 883万円(2026年3月期) | 45.1歳 | 22.1年 | — |
※就職偏差値は当サイトの目安(公開情報をもとにした編集部の推計)。有報の値は提出会社単体で、東京電力HDは持株会社の数字です。初任給は公式採用ページ(2026年10月12日取得)の大卒の月給で、「—」は取得できなかった社です。事務系(文理)と技術系(理系)で採用区分が分かれます。
まず目を引くのは、平均勤続年数の長さです。9社すべてが16年を超え、九州電力20.8年、東京電力HD22.1年と20年を超える会社もあります。電気・ガス・熱供給・水道業の大卒の3年以内離職率は12.4%(厚生労働省・2022年3月卒)で、全業種のなかでいちばん低い数字です。入った人がほとんど辞めない業界だということが、2つの統計から重なって見えてきます。
平均年収は784万〜980万円で、火力発電・燃料調達のJERAが980万円、中部電力945万円、関西電力939万円が上位です。いっぽう東京ガスは784万円と、偏差値では上位なのに年収では9社で最も低い数字でした。偏差値と年収の順番は、この業界ではそろっていません。
公式の募集要項で見る採用人数と初任給
電力会社は採用人数を公表している会社が多く、技術系の大きさがよく分かります。東北電力の2027年度の採用計画は、総合コース30名程度・技術コース240名程度・DX・情報コース10名程度で、技術系が8割を超えます。北海道電力は事務系職52名・技術系職161名(大学から高校卒までの全学歴)、東京ガスの2025年度の実績は文系26名・理系78名・高専本科14名でした。
初任給(大卒)は中部電力270,000円、東京ガス280,000円(予定)、九州電力265,000円、東北電力253,000円、北海道電力250,000円で、25万〜28万円の間に収まります。中部電力の選考には配線識別検査などの「実技検査」があると募集要項に書かれていて、九州電力は事務(エリア指定なし)・技術・事務(エリア指定コース)でエントリーシートの締切日が違います(2027年卒は2026年3月16日〜4月13日)。
働き方の公表値
厚生労働省の職場情報総合サイト「しょくばらぼ」では、各社が月平均の残業時間を公表しています。東京ガス3.5時間(2024年度)、中部電力6.8時間(基幹的な職種)、九州電力18.4時間、関西電力20.1時間(専門分野職員を除く正社員・2025年度)、大阪ガス22.4時間、東北電力23.0時間(2025年度)、JERA23.1時間(2025年度)、東京電力HD24.2時間(2025年度)、北海道電力28.1時間でした。有給休暇の取得率は中部電力83.9%、東京ガス79.8%、東京電力HD75.6%、JERA73.6%です。
※出典:職場情報総合サイト(しょくばらぼ)(https://shokuba.mhlw.go.jp)のデータ(2026年10月16日更新)を加工して作成。対象の範囲と数え方は会社ごとに違います。
統計で見た電気・ガス業の残業は、フルタイムで月16.9時間と全業種で2番目に多い数字です(厚生労働省「毎月勤労統計調査」2025年)。それでも有給の取得率は75.2%で全業種で最も高く、離職率も最も低い。「忙しい時期はあるけれど、休みは取れて、長く働ける」業界と言えそうです。ただ、同じ業界でも残業は月3.5〜28.1時間と大きく違うので、志望先の数字は1社ずつ確かめてください。
電力・ガス業界の将来性と就活戦略
電力・ガスは安定したインフラでありながら、脱炭素(GX)・電力自由化・再生可能エネルギー・水素など大きな変革期にあります。各社は再エネ・海外発電・電力小売・新規事業へ多角化中。安定だけでなく「エネルギー転換」という社会的に重要なテーマに携われるのが魅力です。理系(電気・機械・化学)は発電・設備・技術、文系は営業・企画・トレーディング・新規事業で活躍できます。「インフラで社会を支えたい」「脱炭素に貢献したい」人に向く業界です。
3社比較は電力3社の比較、インフラ業界はインフラ業界ランキング、隠れ優良は隠れ優良企業ランキングもご覧ください。
この記事のデータの出典
- 各社の有価証券報告書(2026年3月期・金融庁 EDINET)
- 各社の公式採用ページ(2026年10月12日取得)
- 職場情報総合サイト(しょくばらぼ)(https://shokuba.mhlw.go.jp)のデータ(2026年10月16日更新)を加工して作成
- 厚生労働省「毎月勤労統計調査 2025(令和7)年分結果確報」「令和7年就労条件総合調査」「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」

