内定承諾書は、企業からの内定を受けて入社の意思を示す書類です。提出前に押さえるべき要点は次の3つです。第一に、署名・押印を正確に行い、訂正は二重線と訂正印で対応すること。第二に、添え状を同封し、折り方と封筒の書き方のマナーを守って返送すること。第三に、提出期限を守りつつ、難しい場合は早めに採用担当へ相談することです。本記事では書き方の手順から返送マナー、複数内定の扱いまで、実務に沿って解説します。
内定承諾書とは何か(法的な位置づけ)
内定承諾書は、内定を受諾し入社する意思を企業に示すための書類です。提出により、企業と内定者の間に始期付・解約権留保付の労働契約が成立すると一般に解されています。一方で、承諾書を提出した後でも、入社前であれば内定を辞退することは可能です。民法第627条は、期間の定めのない雇用について、労働者はいつでも解約の申入れができ、原則として申入れから2週間の経過によって雇用が終了する旨を定めています。つまり、承諾後も労働者には退職・辞退の自由が認められており、承諾書が辞退を一律に禁じるものではありません。ただし、辞退は企業に迷惑をかける行為であるため、誠実かつ早期の連絡が前提となります。
内定承諾書の書き方と必要書類
承諾書は同封の案内に従って記入します。署名欄は自筆、押印は認印で問題ない場合が多いですが、案内に指定があればそれに従います。一般的に同封・準備する書類は次のとおりです。
| 書類 | 役割 | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 内定承諾書 | 入社意思の表明 | 日付・氏名・押印を漏れなく記入 |
| 添え状(送付状) | 同封書類の案内と挨拶 | A4一枚にまとめる |
| 返信用封筒の宛先 | 送付先の明示 | 「行」は「御中」に直す |
| その他指定書類 | 身元保証書など | 案内の指示に従う |
署名・押印と訂正の正しい方法
記入は黒のボールペンを使い、消えるペンは使用しません。氏名は楷書で丁寧に書き、日付は提出日または案内の指定日を記入します。押印はかすれないよう、まっすぐ押します。書き損じた場合は修正液を使わず、該当箇所に二重線を引き、その上に訂正印を押して正しい内容を書き直します。大きく書き損じたときは、無理に直さず採用担当へ連絡し、再発行を依頼するのが確実です。
添え状(送付状)の書き方と例文
添え状は、書類を郵送する際に同封する挨拶状です。右上に日付、宛名(会社名・部署名・担当者名)、自分の氏名と連絡先を記し、本文で同封書類を案内します。以下は例文です。
- 頭語・結語は「拝啓」「敬具」で揃える
- 同封書類は箇条書きで部数を明記する
- A4用紙一枚に簡潔にまとめる
例文: 拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。このたびは内定のご連絡を賜り、誠にありがとうございます。つきましては、内定承諾書を同封いたしますので、ご査収のほどよろしくお願い申し上げます。末筆ながら、貴社のますますのご発展をお祈り申し上げます。敬具 記 一、内定承諾書 一通 以上
返送の封筒マナーと郵送方法
封筒は案内された返信用封筒があればそれを使い、無い場合は白い長形3号などを用います。宛名の「行」は二重線で消して「御中」に直し、封筒表の左下に「内定承諾書在中」と赤字で記します。重要書類のため、追跡できる方法での郵送が安心です。
| 項目 | マナー | 備考 |
|---|---|---|
| 宛名の敬称 | 「行」→「御中」に訂正 | 個人名なら「様」 |
| 添え書き | 「内定承諾書在中」 | 赤字・左下 |
| 切手料金 | 規定額を貼付 | 110円〜目安(重量で変動) |
| 郵送手段 | 追跡可能な方法推奨 | 特定記録など |
提出期限と承諾を待ってもらう連絡
承諾書には提出期限が設定されているのが一般的です。期限内の返送が基本ですが、他社の選考結果を待ちたいなど事情がある場合は、放置せず早めに採用担当へ相談します。下記は一般的なスケジュールの目安です。
| タイミング | 目安日数 | 行動 |
|---|---|---|
| 内定通知の受領 | 0日 | 内容と期限を確認 |
| 回答・返送 | 7日以内が多い | 期限に従い返送 |
| 期限延長の相談 | 期限の2日前まで | 電話やメールで連絡 |
延長を相談する際は、感謝を伝えたうえで、いつまでに回答できるか具体的な日付を示すと誠実な印象になります。無断で期限を過ぎることは避けましょう。
複数内定での扱いと内定承諾書でやりがちなNG
複数社から内定を得た場合、最終的に入社するのは一社です。承諾は入社意思のある企業に対して行い、辞退する企業へはできるだけ早く連絡します。よくある失敗を以下にまとめます。
- 期限を過ぎても連絡しない: 企業の採用計画に影響するため厳禁
- 修正液で訂正する: 正式書類では避け、訂正印を使う
- 添え状を付けずに書類だけ送る: 挨拶の一枚を同封する
- 「御中」「様」の使い分けを誤る: 宛先を確認して敬称を整える
- 承諾書を出したから辞退できないと思い込む: 入社前は辞退可能だが、辞退時は速やかに誠実な連絡を行う
まとめ
内定承諾書は、署名・押印を正確に行い、添え状を添えて封筒マナーを守って返送することが基本です。提出期限は守り、難しい場合は早めに相談しましょう。承諾後も入社前なら辞退は可能ですが、企業への配慮として誠実で早い連絡を心がけることが大切です。出典: 厚生労働省、e-Gov法令検索 民法、厚生労働省 人材開発関連情報。
