内資製薬3強は「グローバル化の進度」で個性が分かれる
内資製薬業界トップ3「武田薬品工業・第一三共・アステラス製薬」は、同じ製薬でもグローバル展開の進度・主力薬の領域・研究開発体制が大きく異なります。武田はシャイアー買収で完全グローバル化、第一三共はエンハーツ等の抗がん剤で急成長、アステラスは細胞医療・遺伝子治療への構造転換中という構図です。本記事では、各社の有価証券報告書と公式採用ページ、厚生労働省の公表データ、当サイトの就活判定をもとに比べます。
平均年収の比較
| 項目(有報・2026年3月期) | 武田薬品 | 第一三共 | アステラス |
|---|---|---|---|
| 平均年収(提出会社単体) | 1,144.5万円 | 1,097.7万円 | 1,131.5万円 |
| 平均年齢 | 44.0歳 | 45.0歳 | 42.5歳 |
| 平均勤続年数 | 14.8年 | 19.9年 | 15.4年 |
| 従業員(単体) | 4,792人 | 8,009人 | 4,081人 |
※各社の有価証券報告書(金融庁 EDINET)。MR・研究を含む全社員の平均で、年齢別の年収は公表されていません。
3社の平均年収の差は46.8万円で、最も若いアステラス(42.5歳)が2番目に高い形です。第一三共は平均勤続が19.9年と3社でいちばん長く、単体の従業員も8,009人といちばん多い会社です。
事業ポートフォリオ・社風の比較
| 項目 | 武田薬品 | 第一三共 | アステラス |
|---|---|---|---|
| 主力薬 | 消化器・希少疾患(シャイアー由来) | 抗がん剤エンハーツ・心血管 | 泌尿器・がん免疫 |
| 売上(連結・2026年3月期) | 4兆5,057億円 | 2兆1,230億円 | 2兆1,392億円 |
| 研究開発費(同) | 6,759億円(売上の15.0%) | 4,660億円(22.0%) | 3,148億円(14.7%) |
| 純利益(同) | −1,524億円 | 2,599億円 | 2,915億円 |
| 社風 | グローバル・実力主義 | 研究重視・伝統 | 挑戦・転換 |
| 月平均の残業(しょくばらぼ) | 18.0時間(社員・契約社員) | 17.4時間(正社員) | — |
※売上・研究開発費・純利益は各社の有価証券報告書(IFRSの売上収益)。残業は職場情報総合サイト(しょくばらぼ)のデータ(2026年10月16日更新)を加工して作成。アステラスは同サイトで公表値を確認できませんでした。主力薬と社風は編集部の見方です。
売上に対する研究開発費の割合は、第一三共が22.0%と3社で最も高く、売上の5分の1以上を研究に回しています。武田薬品は売上が2社の2倍以上ある一方、2026年3月期は純損失でした。製造業でフルタイムで働く人の残業の平均は月14.7時間(毎月勤労統計調査・2025年)なので、公表のある2社はそれより長めです。一方で、医薬品製造業が入る「化学工業、石油製品・石炭製品製造業」に大卒で就職した人の3年以内の離職率は15.3%(2022年3月卒)と、全産業の33.8%の半分以下で、長く働く人が多い業界です。
4年間で見る3社の伸び方
| 連結(有報) | 武田薬品 | 第一三共 | アステラス |
|---|---|---|---|
| 売上(2022年3月期) | 3兆5,690億円 | 1兆449億円 | 1兆2,962億円 |
| 売上の伸び(→2026年3月期) | 1.26倍 | 2.03倍 | 1.65倍 |
| 純利益(2022年3月期) | 2,301億円 | 670億円 | 1,241億円 |
4年間で売上を2倍以上に伸ばしたのは第一三共だけで、アステラスも1.65倍です。武田薬品は規模が大きいぶん伸び率は1.26倍にとどまり、純利益は2,301億円から2026年3月期の純損失1,524億円へと落ち込みました。同じ「内資大手」でも、いま勢いのある会社と、立て直しの局面にある会社では、入社後に任される仕事の色合いが変わります。
公式の募集職種
第一三共は公式採用ページで、研究職・データサイエンス・開発職・ファーマコビジランス職・サプライチェーンスタッフ・MR・コーポレートスタッフに分けて募集しています。武田薬品の新卒採用ページでは、製剤設計やバイオプロセス開発などの研究技術職を、光工場(山口県)・大阪工場・湘南の研究拠点(神奈川県藤沢市)などの勤務地とあわせて案内しています(いずれも2026年10月12日取得)。アステラスは当サイトで公式の募集要項を確認できていないので、応募する場合は同社の採用ページで最新の職種を確かめてください。
研究開発と将来戦略
3社の研究開発戦略は明確に異なります。武田はシャイアー買収後の希少疾患・消化器が柱で、巨額の研究開発投資を維持。第一三共は抗がん剤「エンハーツ」が世界的大ヒットとなり、業績・株価が急上昇中。アステラスは2026年3月期に純利益が2,915億円と、前の期の507億円から大きく戻しました(有価証券報告書)。「グローバル安定=武田、急成長=第一三共、構造転換=アステラス」が3社の現在地です。
タイプ別おすすめ早見表
| こんな志向 | 第一候補 | 理由 |
|---|---|---|
| グローバル・海外駐在 | 武田薬品 | 売上4兆5,057億円の規模とグローバルな事業展開 |
| 急成長・抗がん剤 | 第一三共 | エンハーツの世界的成功 |
| 細胞医療・新領域 | アステラス | 細胞医療・遺伝子治療の構造転換 |
| 研究職志望(基礎) | 第一三共 | 研究開発費が売上の22.0% |
| MR(医薬情報担当) | 3社とも | 募集の有無と配属は各社の採用ページで確認 |
| 年収・実力主義 | 武田薬品 | グローバル基準の実力主義 |
結論として「グローバル=武田、急成長=第一三共、転換=アステラス」が3社の核となる差です。3社とも有価証券報告書の平均年収は1,000万円を超え、研究・MR・経営企画など多様なキャリアがあります。当サイトの就活判定(経験の加点なし)では、第一三共とアステラスは文系でも大学群の目安の3段目まで「十分射程」ですが、武田薬品は文系の3段目から「対策次第」になり、入口が一段狭く出ます。化粧品・食品との比較は資生堂・コーセー・カネボウ対決、味の素・キッコーマン・サントリー対決を参照してください。
この記事のデータの出典
- 武田薬品工業・第一三共・アステラス製薬の有価証券報告書(2026年3月期・金融庁 EDINET)
- 武田薬品工業・第一三共の公式採用ページ(2026年10月12日取得)
- 厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」
- 職場情報総合サイト(しょくばらぼ)(https://shokuba.mhlw.go.jp)のデータ(2026年10月16日更新)を加工して作成
- 厚生労働省「毎月勤労統計調査 2025(令和7)年分結果確報」
- 当サイトの就職偏差値データ・就活判定(/tools/hantei)
訂正(2026年10月22日):この記事の以前の版では、見出しを「年収カーブの比較」としていました。載せているのは有価証券報告書の平均年収(提出会社の社員全体の平均)で、年齢ごとの年収は載せていないため、「平均年収の比較」に直しました。

