履歴書は、応募者の基本情報と意欲を採用担当者へ正確に伝えるための書類です。本記事の要点は次の3つです。(1)日付・氏名・学歴職歴・志望動機などの基本項目を、決まったルールに沿って正確に書くこと。(2)西暦か和暦かを書類全体で統一し、入学・卒業や入社・退社を省略せず記載すること。(3)履歴書は職務経歴書とは別物であり、履歴書では基本情報と意欲を簡潔に示すこと。以下、項目別の書き方と注意点を順に解説します。
履歴書の基本項目と書き方の全体像
市販やダウンロードの履歴書には、共通する基本項目があります。まずは全体像を押さえ、どの欄に何を書くかを理解しておくと、書き間違いや空欄を防げます。記入は黒のボールペン(手書きの場合)で行い、修正液の使用は避けるのが一般的なマナーとされています。
| 項目 | 書く内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 日付 | 提出日(郵送は投函日、持参は持参日) | 作成日ではなく提出日を書くのが目安 |
| 氏名・ふりがな | 戸籍どおりの氏名とふりがな | ふりがなは欄の表記(ひらがな/カタカナ)に合わせる |
| 住所・連絡先 | 都道府県から正式表記、つながる電話番号 | 建物名・部屋番号まで省略しない |
| 学歴・職歴 | 入学卒業、入社退社を時系列で | 西暦か和暦を全体で統一 |
| 免許・資格 | 正式名称で取得年月順に | 略称や通称は避ける |
| 志望動機 | 応募先への意欲と理由 | 使い回しの汎用文は避ける |
| 本人希望欄 | 連絡可能時間や勤務上の希望 | 特になければ貴社規定に従いますと記載が目安 |
厚生労働省は、応募者の適性・能力に関係しない事項を含めない配慮の観点から厚生労働省 公正な採用選考に関する考え方を示しており、新たな履歴書様式例も公表しています。様式選びの参考にするとよいでしょう。
学歴・職歴の正しい書き方(入学卒業・西暦和暦の統一)
学歴・職歴欄は、採用担当者が経歴を確認する中心的な部分です。1行目の中央に「学歴」と書いてから記入を始め、入学と卒業を1行ずつ省略せずに書くのが基本です。職歴は学歴の後に「職歴」と見出しを立て、入社・退社を時系列で記載します。年の表記は西暦(2026年など)でも和暦(令和8年など)でもかまいませんが、書類全体でどちらかに統一します。
| 区分 | 書き方の例(表記方法) | ポイント |
|---|---|---|
| 学歴の開始 | 1行目中央に学歴と記載 | 高校卒業からが一般的な目安 |
| 入学 | ◯◯高等学校 入学 | 正式名称で、高校は高等学校と記載 |
| 卒業 | ◯◯高等学校 卒業 | 入学と卒業を別行に |
| 職歴の開始 | 学歴の次行中央に職歴と記載 | 会社は正式名称、入社で記載 |
| 退職 | 一身上の都合により退職 など | 在職中は現在に至ると記載 |
| 最終行 | 右下に以上と記載 | 記入の終わりを明示 |
新卒の就職活動では職歴がない場合が多く、その際は職歴の見出しの下に「なし」と書き、次行に「以上」と記すのが目安です。学校名・会社名は(株)などの略記を避け、正式名称で書きます。
志望動機・自己PR欄の書き方
志望動機欄は、なぜその会社・職種を選んだのかという理由と、入社後にどう貢献したいかを、応募先に合わせて具体的に書く欄です。複数社に同じ文章を使い回すと、内容が抽象的になりがちで意欲が伝わりにくくなります。結論(志望理由)を先に述べ、根拠となる経験や強みを添える構成が読みやすいとされています。
- 結論から書く: 最初の一文で志望の核心を示す
- 具体性を持たせる: 経験・実績・関心を会社の特徴と結びつける
- 貢献の方向を示す: 入社後に何をしたいかを簡潔に添える
- 欄の大きさに合わせる: 空白が目立たない分量を意識する
なお、履歴書の志望動機欄は限られたスペースです。職務経歴や実績を詳述したい場合は、後述のとおり職務経歴書という別書類で補うのが一般的です。履歴書では要点を簡潔にまとめます。
証明写真のマナーと貼り方
証明写真は第一印象に影響する要素です。サイズは縦4cm×横3cm程度が一般的で、撮影から時間が経っていない最近のものを使用します。スピード写真でも問題ありませんが、表情・服装・背景を整えることが大切です。写真の裏面に氏名を記入しておくと、はがれた際に取り違えを防げます。
| 確認項目 | 望ましい状態 | 避けたい状態 |
|---|---|---|
| サイズ | 縦4cm×横3cm程度 | 欄からはみ出す・小さすぎる |
| 服装 | 応募先に合った清潔感のある服装 | しわや汚れの目立つ服装 |
| 背景・表情 | 無地背景・自然な表情 | 濃い影・極端な角度 |
| 撮影時期 | 直近(目安として3か月以内) | 髪型や印象が大きく違う古い写真 |
| 貼り方 | のりでまっすぐ貼付 | 傾き・テープでの仮留め |
写真は採用担当者が必ず目にする部分です。サイズや向きを欄に合わせ、丁寧に貼ることが、書類全体の印象を左右します。
手書きとパソコンの選び方
履歴書を手書きにするかパソコンで作成するかは、応募先の指定や業界の慣習で判断します。指定がある場合はそれに従うのが最優先です。指定がなければ、どちらでも基本的には問題ないとされており、それぞれに利点があります。
| 作成方法 | 向いている場面 | 留意点 |
|---|---|---|
| 手書き | 手書き指定・丁寧さを伝えたい場面 | 書き損じ時は新しい用紙に書き直す |
| パソコン | 複数社応募・修正や使い回しの効率重視 | 誤字脱字を印刷前に確認 |
- 手書きの利点: 丁寧さや意欲が伝わりやすいと感じる担当者もいる
- パソコンの利点: 修正・複製が容易で、読みやすく整う
- 共通の注意: 文字の大きさをそろえ、誤字脱字を防ぐ
大手の就職・転職サービスでも、応募先の指定がなければどちらでもよいとする解説が一般的です(リクナビ 履歴書ガイド、マイナビ 履歴書の書き方)。迷う場合は、応募先の雰囲気や募集要項を確認するとよいでしょう。
新卒(就活)と転職での書き方の違い
同じ履歴書でも、新卒の就職活動と転職とでは重視される欄や書き方が異なります。新卒では学歴・志望動機・自己PRが中心になり、職歴は基本的にありません。一方、転職では職歴の内容や退職理由、即戦力としての強みが重視されます。
| 観点 | 新卒(就活) | 転職 |
|---|---|---|
| 職歴欄 | なしと記載が一般的 | 入社退社を時系列で詳細に |
| 重視されやすい欄 | 学歴・志望動機・自己PR | 職歴・志望動機・スキル |
| 補足書類 | 原則として履歴書中心 | 職務経歴書を併用するのが一般的 |
ここで重要なのは、履歴書と職務経歴書は別物という点です。履歴書は基本情報と意欲を一定の様式で示す書類、職務経歴書は職務内容・実績を自由度の高い形式で詳述する書類です。本記事は履歴書に特化しているため、職務経歴書の詳しい書き方には立ち入りませんが、転職では両方を求められることが多い点を覚えておきましょう。
不採用につながる履歴書のNG
内容が良くても、形式面のミスで印象を損なうことがあります。提出前に、以下のような避けたいポイントを確認しておきましょう。
- 西暦と和暦が混在している(全体で統一されていない)
- 学歴・職歴で入学卒業や入社退社が省略されている
- 志望動機が抽象的で、どの会社にも当てはまる内容になっている
- 誤字脱字や修正液の跡が目立つ
- 証明写真が古い、サイズが合っていない、傾いている
- 空欄が多く、本人希望欄などが未記入のまま
- (株)などの略記や、会社名・学校名の通称表記
こうしたミスは、見直しの時間を確保すれば多くを防げます。提出前に一度声に出して読み返す、第三者に確認してもらうといった方法が有効です。
提出前チェックと実践ステップ
最後に、書き終えてから提出するまでの実践的な流れを整理します。次の順に進めると、抜け漏れを減らせます。
- 様式を決める: 応募先の指定や厚労省様式例などを参考に用紙を選ぶ
- 下書きする: いきなり清書せず、内容を一度整理する
- 表記を統一する: 西暦か和暦か、ふりがなの種類をそろえる
- 写真を準備する: 直近の証明写真をまっすぐ貼る
- 全体を見直す: 誤字脱字・空欄・略記がないか確認する
ハローワークでも応募書類の作成相談を受け付けています(ハローワークインターネットサービス)。書き方に不安がある場合は、こうした公的窓口や就職・転職サービスの解説も活用するとよいでしょう。
まとめ
履歴書は、決まったルールに沿って基本情報と意欲を正確に伝える書類です。日付・氏名・学歴職歴・志望動機などの各欄を正しく埋め、西暦和暦を統一し、入学卒業や入社退社を省略しないことが土台になります。証明写真は直近のものをまっすぐ貼り、手書きかパソコンかは応募先の指定を優先して選びましょう。新卒と転職で重視点は異なりますが、履歴書は職務経歴書とは別物である点を押さえ、履歴書では要点を簡潔にまとめることが大切です。提出前の見直しを習慣にして、丁寧で読みやすい一枚を仕上げてください。
