「AIの普及で新卒採用が減る」——2026年7月、この手の見出しが立て続けに報じられています。全国求人情報協会の集計では、求人広告の件数が2025年4月の275万件から7月には225万件へと4ヶ月連続で減少し、なかでも事務職は約16%減。一方で人材紹介大手doda調べのIT・通信分野の求人倍率は3.35倍と高止まりし、経済産業省は2040年時点でAI関連人材が340万人不足すると推計しています。
「採用が減る」と「人が足りない」が同時に報じられ、就活生・転職者は何を信じればいいのか混乱しがちです。本記事では、報道されている外部データを整理したうえで、当サイトが持つIT・Tech業界61社の就職偏差値・年収レンジという独自データと突き合わせ、AI時代に何が本当に起きているのかを検証します。
結論:先に3行で
- 「新卒採用が減る」のは事務職・定型業務が中心。求人広告は4ヶ月で約50万件減少し、事務職は約16%減(全国求人情報協会集計)。一方でIT・通信の求人倍率は3.35倍で高止まりしており、採用が絞られているのは職種によって大きく偏っている
- AI関連人材は「減る」どころか構造的に不足。経産省は2040年に需要782万人に対し供給443万人、340万人の不足を推計。AIエンジニアの年収は平均629万円で日本の給与所得者平均478万円より31.6%高い(厚労省jobtag・国税庁データ)
- 当サイトのIT・Tech業界61社データでも、偏差値と年収の分布は「事務系総合職」より明確に高いレンジにある。ただし全てのIT企業が安泰なわけではなく、職種・企業選びの解像度がこれまで以上に問われる
報じられている数字を整理する
まず、報道の元になっている調査データを一次情報ベースで整理します。数値はいずれも各調査機関の公開情報にもとづく目安で、確認日は2026-07-16です。
| 指標 | 数値 | 出典 |
|---|---|---|
| 求人広告件数の推移 | 2025年3月275万件→7月225万件(4ヶ月で約50万件減) | 全国求人情報協会 |
| 事務職求人の減少率 | 約16%減 | 全国求人情報協会 |
| IT・通信分野の求人倍率 | 3.35倍 | doda転職求人倍率(2025年度) |
| 組織的にAI活用する企業の新卒戦略見直し | 約9割が見直し、約6割が採用人数を削減 | アカリク調査 |
| AI関連人材の需給ギャップ(2040年推計) | 需要782万人/供給443万人(340万人不足) | 経産省「2040年の就業構造推計(改訂版)」2026年3月 |
| AIエンジニアの年収 | 629万円(給与所得者平均478万円比+31.6%) | 厚労省jobtag/国税庁「令和6年分民間給与実態統計調査」 |
| AI関連求人数 | 2017年度比 約6.6倍 | インディード リクルートパートナーズ |
並べて見えるのは、「採用全体が縮んでいる」のではなく、定型的な事務処理を中心に採用が絞られ、AI・データ・専門スキルを扱える人材への需要はむしろ拡大しているという二極化です。人事担当者779人を対象にした「企業の新卒採用実態調査2026」でも、6割超が「今のやり方を変える必要がある」と回答し、AI活用で採用人数が減少すると予測する担当者は約4割にとどまります(減らないと見る担当者が過半という点も見落とされがちです)。
当サイトの実データで裏取りする:IT・Tech業界61社の偏差値・年収
外部の統計は業界単位の集計ですが、実際に就活・転職で向き合うのは個別の企業です。当サイトが公開情報をもとに整理しているIT・Tech業界の就職偏差値ランキング(61社収録)から、代表的な企業の偏差値と年収レンジを見てみます。
| 企業 | 就職偏差値目安 | 年収レンジ目安 |
|---|---|---|
| Google Japan | 72 | 800〜2,000万円(ポジション次第) |
| メルカリ | 64 | 700〜1,500万円 |
| サイバーエージェント | ― | 個社ページ参照 |
| Sansan | 61 | 500〜1,000万円 |
| LINEヤフー | ― | 個社ページ参照 |
IT・Tech業界61社の偏差値帯は40台後半から70台まで幅広く分布しており、doda調べの「IT・通信の求人倍率3.35倍」という外部データと矛盾しません。ただし偏差値・年収が高い企業ほど、求められるのは「IT業界にいること」ではなく、AI・データを実務で扱えるスキルそのものである点には注意が必要です。同じIT・Tech業界でも、定型的な運用保守中心のポジションと、AI活用を前提にした開発・データ職とでは、今後の採用トレンドが分かれていく可能性があります。
当サイトは業界別に511社超の就職偏差値・年収データを整理しています。IT・Tech(61社)だけでなく、コンサル(55社)・金融(76社)・製造(89社)・消費財(57社)など業界ごとに難易度と年収のレンジは大きく異なり、AI活用の進み方も業界によって差があります。志望業界を検討する際は、報道されている「AIで採用が減る/増える」という業界単位の話と、自分が受ける個別企業の実態を分けて見ることが大切です。就職偏差値ランキング(500社超)で業界横断の分布を確認し、業界別就活ガイドでAI活用の進み方まで含めた業界ごとの特徴を押さえると、報道だけでは見えない解像度で企業選びができます。
「AIに仕事を奪われる」への正直な回答
Q. 新卒でAIに仕事を奪われて就職できなくなりませんか?
アカリク調査では組織的にAI活用を進める企業の約6割が採用人数を削減する一方、経産省推計ではAI関連人材だけで2040年に340万人が不足するとされています。「採用そのものが消える」のではなく、定型業務を代替できる分、AI・専門スキルを扱える人材へ採用の重心が移るという構造変化だと捉えるのが実態に近いです。
Q. 文系・非エンジニアはもう厳しいですか?
経産省推計では2040年に事務職で約440万人の余剰が生じる可能性が示されている一方、AIエンジニアやプロンプトエンジニアといった専門職の年収は平均を大きく上回ります。文系であってもAIを「使いこなす側」に回れるかどうかが分かれ目であり、職種そのものより、AIとの向き合い方が問われています。
AI時代の企業選びチェックリスト
- ①募集職種が定型業務中心か、専門スキル前提か:求人票の業務内容がAIで代替されやすい定型作業に偏っていないか確認する
- ②企業がAI活用にどれだけ投資しているか:中期経営計画やIR資料でDX・AI投資への言及があるかを見る
- ③自分がAIを「使われる側」でなく「使う側」になれるか:AI活用スキルを学ぶ意欲・環境が自分にあるかを点検する
- ④業界内での企業の立ち位置:IT・Tech業界ランキングや就職偏差値ランキング(500社超)で難易度と年収レンジを確認する
- ⑤AIの基本を自分でも押さえる:文系・非エンジニアのAI学び方ロードマップで最初の一歩を確認する
関連リンク
AI時代の企業選び・キャリア形成と合わせて読みたい記事です。
- 企業の将来性の見極め方2026:業界の伸びと会社の立ち位置を見る5つのチェックポイント
- 国産AI連合の動向:AI基盤をめぐる国内の動き
- 業界別就活ガイド:38業界の仕事内容・選考の特徴を確認できる
- 16タイプ就活診断:AI時代にどんな職種・業界が自分に合うかのヒントを診断できる
※本記事の外部データは全国求人情報協会・doda・経産省「2040年の就業構造推計(改訂版)」・厚労省jobtag・国税庁統計・アカリク調査・インディード リクルートパートナーズの各公開情報にもとづく目安で、確認日は2026-07-16です。当サイトの企業偏差値・年収レンジは公開情報をもとにした目安であり、各社の公式値ではありません。
