防災士は、特定非営利活動法人 日本防災士機構が認証する民間資格です。地域や職場で、防災の知識を持って動ける人を育てることを目的にしています。この記事では、資格の取り方と費用、取ったあとの活かし方を、日本防災士機構などの公式情報(2026年10月22日に確認)で整理します。防災士として働く人の年収を示す統計は見当たらないため、収入の目安は載せていません。
防災士の資格の概要
- 認証団体: 特定非営利活動法人 日本防災士機構
- 認証者数: 368,610名(2026年9月末日時点の累計)。このうち女性は85,986名です
- 業務独占の資格ではありません。防災士でないとできない仕事があるわけではなく、知識と訓練を受けたことの証明として使う資格です
最新情報は 日本防災士機構 で必ず確認してください。
取得までの流れ
Step 1: 研修講座を受ける
- 日本防災士機構が認証した研修機関の「防災士養成研修講座」を受け、「研修履修証明」を取ります
- 集合研修では、21講目のうち12講目以上を履修します(最低2日間以上の日程)。履修しなかった講目は、レポートなどの提出が必要です
- 研修講座の受講料は、研修機関ごとに違います
Step 2: 資格取得試験
- 研修履修証明を取った人だけが受けられます。研修の最終日に、同じ会場で行われます。つまり試験の日程は、受ける研修講座の日程で決まります(開催日は研修機関ごとに違います)
- 30問の3択式で、80%以上の正答で合格です
- 受験料は3,000円(税込)です
Step 3: 救急救命講習
- 自治体・消防署・日本赤十字社などの公的機関(またはそれに準ずる団体)が開く講習を受け、修了証を取ります
- 内容は「普通救命講習Ⅰ」と同等で、心肺蘇生法とAEDを含むことが条件です
- 認証登録の申請のときに、発行から5年以内で、発行者の定めた有効期限内の修了証が必要です
Step 4: 認証登録
- 研修・試験・救急救命講習の3つを終えたら、「防災士認証登録申請」をします。申請料は5,000円(税込)です
- 承認されると「防災士認証状」と「防災士証(カード)」が交付されます
出典: 日本防災士機構「防災士資格取得の手順」(2026年10月22日確認)。
数字で見る防災士
日本防災士機構は、年度ごとの認証者数と男女別の人数を公表しています。直近5年度は次のとおりです。
| 年度 | 認証者数 | うち女性 | 女性の割合 |
|---|---|---|---|
| 2021年度 | 21,183名 | 5,482名 | 約26% |
| 2022年度 | 24,858名 | 6,860名 | 約28% |
| 2023年度 | 30,904名 | 9,790名 | 約32% |
| 2024年度 | 34,981名 | 11,890名 | 約34% |
| 2025年度 | 36,967名 | 12,914名 | 約35% |
1年に認証される人は5年でおよそ1.7倍になり、女性の割合も年ごとに上がっています。割合は表の人数から計算しました。出典: 日本防災士機構「防災士認証登録者の年度別推移・男女別防災士数」(2026年9月末日時点)。
取得後の活かし方
地域防災リーダー
- 自主防災組織 のリーダー
- 地域防災訓練の企画・運営
- 災害時の避難所運営
企業の防災担当
- BCP(事業継続計画)づくりの担当
- 災害対策本部のメンバー
- 従業員向けの防災教育
内閣府の「事業継続ガイドライン」は、BCPを、災害のときに大事な業務を止めないこと、止まってしまっても目標の時間内に大事な機能を立て直すことを目指す取り組みとして説明しています。防災士の知識は、こうした計画の中身を考える土台になります。出典: 内閣府「事業継続ガイドライン」。
自治体の防災部門
- 防災課の職員(公務員)
- 災害ボランティアのコーディネーター
- 防災教育の講師
NPO・社会活動
- 災害ボランティア活動
- 被災地の支援
- 防災教育のNPO
学校・教育機関
- 教員の防災教育の担当
- PTAの防災活動
女性の視点の防災
上の表のとおり、防災士に占める女性の割合は上がっています。内閣府男女共同参画局は2020年5月に「災害対応力を強化する女性の視点~男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドライン~」を決め、自治体が災害対応で取り組むことをまとめています。避難所の運営をチェックするためのシートも公開されています。妊娠中・子育て中・高齢の人の困りごとに気づける人が運営に加わることは、地域の防災の力そのものだと思います。出典: 内閣府男女共同参画局「防災・復興ガイドライン」。
関連資格との組合せ
救命の講習
- 上級救命講習
- 普通救命講習Ⅰ〜Ⅲ
- 応急手当普及員
専門系
- 消防設備士(消火器・スプリンクラーなどの設備)
- 第二種電気工事士
- 危険物取扱者
心理系
- メンタルヘルス・マネジメント検定
- 公認心理師(被災した人の心のケア)
社会福祉系
- 社会福祉士
- 介護福祉士(詳細)
防災士の役割
ふだん
- 地域・職場での防災の呼びかけ
- 防災訓練の企画・運営
- 起こりうる災害の想定の検討
- 備蓄の管理
災害が起きたとき
- 初期消火・救助
- 応急手当
- 避難の誘導
- 安否の確認
災害のあと
- 避難所の運営
- 物資の管理
- ボランティアのコーディネート
- 被災した人の支援
費用の助成と給付金
- 自治体によっては、防災士の資格を取る費用を助成しています。たとえば青森県むつ市の2024年度の要綱では、市内に住む高校生・大学生を対象に、研修講座の受講料・教本代・受験料・認証登録料を1人2万円まで助成するとしています(むつ市防災士資格取得助成金交付要綱)
- 対象の人や条件、受講の前に申請が必要かどうかは自治体ごとに違うので、住んでいる自治体の防災担当の窓口で確かめてください
- 教育訓練給付の対象になっている講座があるかは、厚生労働省の教育訓練講座検索システム で確かめられます
30〜50代からの活かし方
定年の前後
- 地域での活動、自治体の嘱託職員、防災のNPO、防災コンサルとしての独立
子育て中・子育て後
- PTAや町会の活動、地域防災のリーダー、学校・保育園との連携
今の仕事+防災士
- 営業+防災=防災用品の営業、看護師+防災=災害医療、IT+防災=防災システムの開発
訂正(2026年10月22日): 以前の版では、講習費と受験料・登録料の合計(「講習費49,000円」など)、合格率「約95%」、研修「12時間程度」、学習時間「合計20〜30時間」、自治体防災課・企業BCP担当・防災コンサルの年収の幅、防災セミナー講師の謝礼の目安、「更新不要(生涯有効)」を載せていました。日本防災士機構の公式情報で確かめられたもの(試験の形式・受験料・登録料・研修の履修の条件・認証者数)に置き換え、確かめられなかったものは削りました。title の「需要拡大」も、根拠を示せないため外しました。
出典・確認日
- 日本防災士機構「防災士資格取得の手順」「防災士認証登録者の年度別推移・男女別防災士数」(2026年9月末日時点)
- 内閣府「事業継続ガイドライン」、内閣府男女共同参画局「災害対応力を強化する女性の視点~男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドライン~」
- 確認日はいずれも2026年10月22日です

