『部下評価1on1』が EM の最大の試練
エンジニアリングマネージャー(EM)の業務で最も難しいのが『部下への評価フィードバック』です。良い部下には継続を促し、課題のある部下には改善を促す必要があり、伝え方を間違えると関係悪化・退職・パフォーマンス低下に直結します。本記事では編集部の取材ベースで、厳しい指摘も建設的に伝える5つの実務を整理します。
評価1on1の3パターン
- パターン1: ハイパフォーマー: 継続・昇格・成長機会の提案
- パターン2: 平均: 強み活用・課題改善のバランス
- パターン3: ローパフォーマー: 厳しい指摘・改善PIP(Performance Improvement Plan)
実務1: 事前準備の徹底
- 具体的事例の収集: PR・コードレビュー・会議発言から3〜5件
- 定量データ: 担当機能・PJ進捗・OKR達成率
- 360度評価: 同僚・上司からのフィードバック集約
- 本人の自己評価: 事前に共有してもらう
- アジェンダ準備: 1on1の流れを事前に決める
実務2: 良い点から始める(SBI型)
SBI(Situation/Behavior/Impact)モデル:
(1) Situation: 具体的場面・PJ
(2) Behavior: 行動
(3) Impact: チーム・組織への影響
例: 「先月のXXプロジェクトで(S)、納期遅延リスクを早期に共有してくれた(B)。チーム全体で対応策を打てて、結果として2週間の遅延を防げた(I)」
事実ベースで具体的に・抽象的な賞賛は避ける。
実務3: 課題は『行動』で指摘する
- NG: 「あなたは協調性がない」(人格批判)
- OK: 「先週のXX会議で、他メンバーの意見を遮って話す場面が3回ありました(行動)。結果として議論が深まらず、最終的な決定が翌週に持ち越されました(影響)。次回はメモを取って後で意見を述べるとどうでしょう(改善提案)」
- 行動の具体性: 数値・回数・場面で
- 影響の言語化: チーム・組織への影響
- 改善提案: 一緒に考える
実務4: 部下の自己認識を引き出す
(1) 「自分でどう評価していますか?」: 自己評価を聞く
(2) 「何が一番うまくいきましたか?」: 成功体験の言語化
(3) 「次の四半期で改善したいことは?」: 自発的な改善意欲
(4) 「私(上司)にしてほしいことは?」: 支援要望の確認
(5) 「キャリアで何を達成したい?」: 長期目標の確認
実務5: 改善計画の合意
- 30/60/90日プラン: 段階的な改善目標
- SMART目標: Specific/Measurable/Achievable/Relevant/Time-bound
- 支援の明示: 上司側の支援内容
- マイルストーン: 中間レビューのタイミング
- 合意文書化: 1on1ノートに記録・共有
ローパフォーマー対応の特殊事項
PIP(Performance Improvement Plan)の構成:
(1) 改善すべき具体的行動を明示
(2) 改善期間(通常3ヶ月)
(3) 中間レビュー(月1)
(4) 改善見込みなければ降格・配置転換・退職勧奨
(5) 法的観点(労務担当との連携)
PIPは本人にも組織にも辛い。早期介入で予防が王道。
避けるべき1on1パターン
- 抽象的指摘: 「もっと頑張れ」
- 過去の蒸し返し: 1年前のミスを今更
- 感情的な指摘: 怒り・焦りを伝える
- 比較: 「Xさんはできているのに」
- 独断: 部下の意見を聞かず一方的
1on1後のフォロー
- 1on1ノートを部下と共有
- 1週間後にフォロー(改善開始確認)
- 1ヶ月後の中間レビュー
- 四半期評価との一貫性
- 定期的な進捗確認
EM自身の自己反省
1on1後にEM自身が振り返る:
(1) 自分の伝え方は適切だったか
(2) 部下の感情に配慮できたか
(3) 一方的にならず双方向だったか
(4) 具体的改善提案ができたか
(5) 部下の自発的意欲を引き出せたか
EMの1on1スキルは継続改善が必要。同僚EM・コーチからフィードバック受ける。
関連リンク
EMロードマップは EMロードマップ、部下離脱防止は EMの部下離脱防止、チームビルディングは エンジニアチームビルディング を参照してください。コードレビュー文化は コードレビュー文化 もどうぞ。