大手通信3社は「年収・安定・スピード」で個性が分かれる
就活ランキングと転職市場の両方で常に上位の「NTTグループ・KDDI・ソフトバンク」3社は、同じ通信業界でも社風・事業ポートフォリオが大きく異なります。本記事では各社の有価証券報告書と、厚生労働省の職場情報総合サイト「しょくばらぼ」で公表されている残業時間をもとに、年収・働き方・定着の3軸で比べます。結論を先に言うと、編集部の見方では「年収を重視=KDDI、新規事業に近づきたい=ソフトバンク、安定・公共性=NTT」が3社の選び方の基本軸です。
平均年収の比較
下表は3社の有価証券報告書の平均年収です。有報の単体平均年収はNTT(持株)とKDDIがほぼ並び、ソフトバンクが続きます。ただしNTTの数字は持株会社の社員2,606人だけの平均で、NTTドコモなど事業会社の社員の平均ではありません。
| 項目 | NTT(持株会社) | KDDI | ソフトバンク |
|---|---|---|---|
| 平均年収(単体・有報) | 約1,056万円(持株) | 約1,051万円 | 約871万円 |
| 平均年齢(同) | 41.4歳 | 42.3歳 | 42.0歳 |
| 提出会社の従業員数(同) | 2,606人 | 9,891人 | 19,150人 |
※平均年収(単体)は各社有価証券報告書(2026年3月期)の平均年間給与で、NTTは持株会社単体の数値です。有報には年代別・職種別の年収は載っていません。NTTグループの事業会社(ドコモなど)の社員の平均年収は、当サイトでは確認できていません。
働き方と定着の比較
残業時間は、3社とも「しょくばらぼ」(企業が残業時間や有給休暇の取得率などを公表する厚生労働省のサイト)に月平均の数字を公表しています。NTT(持株会社)は正社員で7.0時間、KDDIは総合職で16.4〜16.5時間(全体16.2時間)、ソフトバンクは総合職で26.2時間(全体22.3時間)で、KDDIとソフトバンクを比べるとソフトバンクのほうが10時間ほど長くなっています。NTTの数字は持株会社の社員(有報で2,606人)のもので、事業会社の社員の数字ではありません。参考として、事業会社のNTTドコモは正社員で月22.3時間と公表しています。情報通信業全体では、パートタイム以外の労働者の残業が月16.5時間です(毎月勤労統計調査・2025年)。
出世の速さは、有価証券報告書にも各社の公式採用ページにも、課長や部長になる年齢などの数字が公表されていません。そのためこの記事では、3社の順位をつけていません。辞める人の割合は、各社の公式サイトで公表されている数字だけを載せました。参考として、大卒で入社して3年以内に辞めた人の割合は、情報通信業全体で27.2%、全産業で33.8%です(厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」)。
| 項目 | NTT(持株会社) | KDDI | ソフトバンク |
|---|---|---|---|
| 月平均の残業時間(しょくばらぼ) | 正社員7.0時間(持株会社) | 総合職16.4〜16.5時間(全体16.2時間) | 総合職26.2時間(全体22.3時間) |
| 平均勤続年数(有報・2026年3月期) | 15.6年(持株会社の社員) | 16.4年 | 14.8年 |
| 新卒の定着・離職の公表値 | 確認できず | 新卒の3年後定着率 男性84.8%・女性90.6%(2025年度・単体) | 新卒入社者の3年間定着率90.3%(2025年度) |
| 社風(編集部の見方) | 安定・公共性・慎重 | 攻め・経済圏戦略 | スピード・新規事業 |
※残業時間は、各社が職場情報総合サイト(しょくばらぼ)に公表した月平均の数字で、数え方と対象が会社ごとに違います。KDDIの全体は総合職・地域社員・契約社員・嘱託社員、ソフトバンクの全体は対象とする労働者すべてです。平均勤続年数は各社の有価証券報告書(提出会社)の数字で、NTTは持株会社の社員だけの平均です。定着率は、KDDIとソフトバンクがそれぞれのESGデータ(社会)で公表している数字です(2026年10月22日に確認)。定義は会社ごとに違い(KDDIは各年度4月1日時点で勤続3年となる新卒社員の在職割合)、直接は比べられません。確認できなかった項目は「確認できず」としています。社風の欄は編集部の見方で、公的な数字ではありません。
事業ポートフォリオと将来性の比較
3社は通信を共通基盤としながら事業の伸ばし方が全く異なるのが特徴です。NTTはIOWN(次世代光通信)・データセンター・グローバル事業(NTT Data)、KDDIはau経済圏・金融(auじぶん銀行)・DX、ソフトバンクはPayPayなどの新規事業とAIへの投資が柱です。「インフラ革新志向=NTT、コンシューマー経済圏=KDDI、新規事業・AI=ソフトバンク」というのが、編集部の見方による色分けです。
タイプ別おすすめ早見表
| こんな人 | 第一候補 | 理由 |
|---|---|---|
| 年収を重視 | KDDI | 有報の平均年収は約1,051万円で、ソフトバンク(約871万円)より高い(NTTは持株会社の数字のため比べられない) |
| 新規事業に関わりたい | ソフトバンク | PayPayやAIなどに力を入れている(編集部の見方) |
| 安定・長期キャリア | NTT | 公共性の高い事業を持つ(編集部の見方) |
| au経済圏・金融融合 | KDDI | auじぶん銀行・auペイなど |
| 次世代インフラ(IOWN等) | NTT | 研究所と大型投資が同居 |
結論として、編集部の見方では「KDDI=年収・経済圏、ソフトバンク=新規事業、NTT=安定・公共性」が3社の核となる差です。IT・テック業界の就職偏差値ランキングで各社の業界内ポジションを、16タイプ就活診断で社風適合を確認してください。
この記事のデータの出典
- NTT・KDDI・ソフトバンクの有価証券報告書(2026年3月期・金融庁 EDINET)
- 職場情報総合サイト(しょくばらぼ)(https://shokuba.mhlw.go.jp)のデータ(2026年10月16日更新)を加工して作成
- KDDI「ESGデータ(社会)」(2026年10月22日確認)
- ソフトバンク「ESGデータ(社会)」(2026年10月22日確認)
- 厚生労働省「毎月勤労統計調査 2025(令和7)年分結果確報」「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」
訂正(2026年10月22日):この記事の以前の版では、年収の表に就職四季報・OpenWorkデータなどをもとにした目安として、25歳・30歳・35歳・40歳の年収の幅(例: KDDI 30歳 900〜1,100万円)と、それをもとにした「年齢別ではKDDIが高く、ドコモ・NTT東西は低め」という説明を載せていました。推計の方法と元データを示せないため削除しました。年収は有価証券報告書(2026年3月期)の平均年間給与だけを、平均年齢・人数と並べて載せています。早見表の「30代の年収レンジが最高」も同じ推計にもとづく説明だったため、有報の数字に直しました。あわせて、紹介文(と本文の言い回し)の「年収カーブ」を直しました。この記事には年齢ごとの年収を載せていないためです。
訂正(2026年10月22日・2回目):この記事の以前の版では、出典のない次の数字も載せていました。出世スピード(NTT35〜40歳・KDDI33〜38歳・ソフトバンク30〜35歳)、残業時間の月平均(NTT20〜30時間・KDDI25〜35時間・ソフトバンク30〜40時間)、離職率の推定(NTT2〜3%・KDDI3〜4%・ソフトバンク5〜7%)、「ソフトバンクは30歳前後で部長級に昇進する例もある」という説明です。推計や口コミなどの元データを示せないため削除しました。残業時間と定着は、しょくばらぼと各社の公式サイトで公表されている数字に置き換えています。出世の速さは、公表された数字がないため載せていません。あわせて、ソフトバンク株式会社の説明に混ざっていたソフトバンクグループのVision Fundの話を外しました。

