ニッセイと第一生命は「業界盟主」か「変革の上場会社」か
生命保険業界の双璧、日本生命(ニッセイ)と第一生命。業界首位の安定と伝統のニッセイ、上場を選び変革・海外展開を進める第一生命という対比がよく語られます。どちらも就職偏差値60超の人気企業で、総合職の待遇は金融業界でも上位です。本記事では公開情報・就職四季報をもとに5軸で比較します。
就職難易度・年収の比較
| 項目 | 日本生命 | 第一生命 |
|---|---|---|
| 就職偏差値 | 63 | 62 |
| 会社形態 | 相互会社(非上場) | 株式会社(持株会社の株式会社第一ライフグループが上場) |
| 従業員数 | 70,714人(2026年3月31日現在) | 46,447人(2026年3月末現在) |
| うち女性 | 61,723人(87%) | 43,030人(93%) |
| 月平均の残業時間(公表値) | 8.1時間(内勤職員) | 6.9時間(基幹的な職種) |
| 有給休暇の取得率(公表値) | — | 79.0% |
| 平均年収の公表値 | なし | なし(上場しているのは持株会社) |
※就職偏差値は当サイトの目安(公開情報をもとにした編集部の推計)。従業員数・残業時間・有給取得率は、職場情報総合サイト(しょくばらぼ)(https://shokuba.mhlw.go.jp)のデータ(2026年10月16日更新)を加工して作成(女性の割合は編集部が計算)。日本生命は相互会社で有価証券報告書を出しておらず、第一生命は持株会社が上場しているため、生命保険会社本体の平均年収は同じ形では比べられません。根拠のない金額は載せていません。
人数で見ると2社の大きさはここまで違う
まず目を引くのは、会社の大きさです。厚生労働省の職場情報総合サイト「しょくばらぼ」に2社が載せている従業員数は、日本生命が70,714人、第一生命が46,447人で、2万4千人ほどの差があります。そして、どちらも従業員の9割前後が女性です(日本生命87%、第一生命93%)。生命保険会社の従業員には、総合職のほかに全国で保険を案内する職員も含まれるので、ここは銀行や商社とはまったく違う数字になります。
就活生にとって大事なのは、「従業員数の多さ=総合職の採用人数の多さ」ではないことです。2社とも、総合職の採用予定人数は公式ページで確認できませんでした。説明会やマイページで、自分が受けるコース(全国型・地域型など)の人数と転勤の条件を確かめておくのがおすすめです。
当サイトの就活判定で見ると
当サイトの就活判定に、大学群(6段階)と文系・理系だけを入れて、加点なしで2社を判定すると、結果はまったく同じでした。大学群が1〜3段目(最難関〜上位)なら文理とも「十分射程(A)」、4〜5段目(準上位・中堅)は「対策次第(B)」、6段目は「挑戦枠(C)」です。偏差値1ポイントの差は、判定の段階を変えるほどの差ではないということですね。
※判定は採用実績校の傾向をもとにした当サイトの目安で、合否の確率ではありません。基準は就活判定のページに公開しています。
残業と有給は、大手生保4社でも差がある
働き方の公表値は、2社とも月10時間を切っています。日本生命は内勤職員の月平均の残業時間が8.1時間、第一生命は基幹的な職種で6.9時間、有給休暇の取得率は79.0%です。比べる材料として、同じ大手生保の公表値も並べておきます。明治安田生命は基幹的な職種で11.9時間(2025年度実績)、住友生命は正社員で3.6時間、有給の取得率は83.3%でした。
生命保険会社が入る金融業,保険業の平均は、フルタイムで月13.6時間の残業(厚生労働省「毎月勤労統計調査」2025年)、有給の取得率72.8%(令和7年就労条件総合調査)、大卒の3年以内離職率25.0%(2022年3月卒)です。大手生保4社の残業時間は、どこも業種の平均より短い側にいます。ただし対象(内勤職員・基幹的な職種・正社員)が会社ごとに違うので、小さな差で順位をつけないほうが安全です。
カルチャー・働き方の違い
| 項目 | 日本生命 | 第一生命 |
|---|---|---|
| カルチャー | 伝統・組織力・業界盟主の自負 | 変革志向・挑戦を推奨・海外M&A積極 |
| 経営の力点 | 国内基盤の厚み・グループ総合力 | 上場会社としての資本効率・海外展開 |
| キャリア | ジョブローテで幅広く・年功要素も | 公募・専門コース化が進み手挙げ文化 |
| 勤務地 | 全国転勤あり(コース選択で限定可) | 全国転勤あり(コース選択で限定可) |
タイプ別おすすめ早見表
| こんな人 | おすすめ |
|---|---|
| 業界首位の安定×組織力×国内基盤 | 日本生命 |
| 変革×海外展開×手挙げのキャリア | 第一生命 |
相互会社と上場会社の違いは働き方にも出る
会社のかたちの違いは、歴史をたどると分かりやすくなります。第一生命は1902年9月に、日本で最初の相互会社形態の保険会社として設立されました。その後2010年に相互会社から株式会社に組織を変えて東京証券取引所に上場し、2016年に持株会社体制へ移っています。持株会社の社名は、2026年4月1日に第一生命ホールディングスから「株式会社第一ライフグループ」に変わりました(同社の有価証券報告書の沿革より)。2025年3月31日時点のグループは、持株会社と子会社181社・関連会社124社で構成されています。いっぽう日本生命は、いまも相互会社のままです。
ニッセイは相互会社(契約者が構成員)のため長期目線の経営がしやすく、第一生命は上場持株会社として資本市場からの規律を受け、変革・海外M&A・資産運用強化のスピードが速いのが特徴です。安定と伝統の中で腰を据えるか、変化の多い環境で挑戦するか——志望動機もこの軸で語り分けると説得力が出ます。
結論として、待遇はほぼ互角で「経営スタイルとカルチャーの相性」で選ぶのが正解です。生保業界全体の序列は生保就職難易度ランキング、損保との比較は生保vs損保 年収比較もご覧ください。
この記事のデータの出典
- 職場情報総合サイト(しょくばらぼ)(https://shokuba.mhlw.go.jp)のデータ(2026年10月16日更新)を加工して作成
- 株式会社第一ライフグループの有価証券報告書(沿革・金融庁 EDINET)
- 厚生労働省「毎月勤労統計調査 2025(令和7)年分結果確報」「令和7年就労条件総合調査」「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」

