社会福祉士は福祉の幅広い分野で活躍する国家資格
社会福祉士は、生活に困りごとを抱える人の相談に応じ、関係機関とつなぐソーシャルワークの国家資格です。医療・高齢・障害・児童・生活困窮・行政など活躍の場が広く、登録者は321,884人(2026年1月末)にのぼります。本記事では、試験を実施する社会福祉振興・試験センターの公表データをもとに、試験の難しさ・取得ルート・分野ごとの仕事の違いを整理します。
分野別の仕事と特徴
| 分野 | 主な職場 | 主な役割 |
|---|---|---|
| 医療(MSW) | 病院 | 医療費や生活の相談、退院後の暮らしの調整 |
| 高齢・介護 | 地域包括支援センター・介護施設 | 高齢者と家族の相談、介護サービスへのつなぎ |
| 障害福祉 | 相談支援事業所・就労支援の事業所 | サービスの利用計画づくり、働く場とのつなぎ |
| 児童・家庭 | 児童相談所・学校(スクールソーシャルワーカー) | 子どもと家庭の相談、学校や関係機関との調整 |
| 行政 | 福祉事務所など | 生活保護などの相談・ケースワーク |
※以前の版に載せていた分野別の「年収目安」は、社会福祉士だけを取り出した公的な統計が見つからず根拠を示せないため削りました。給与は求人票で、基本給・手当・賞与・雇用形態(正規/非正規)を分けて確かめてください。
国家試験の難しさ(公表データ)
社会福祉振興・試験センターの発表では、2026年2月1日に行われた第38回試験の受験者は25,430人、合格者は15,438人で、合格率は60.7%でした。直近5回の推移は次のとおりです。
| 回(試験の年) | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 第34回(2022年) | 34,563人 | 10,742人 | 31.1% |
| 第35回(2023年) | 36,974人 | 16,338人 | 44.2% |
| 第36回(2024年) | 34,539人 | 20,050人 | 58.1% |
| 第37回(2025年) | 27,616人 | 15,561人 | 56.3% |
| 第38回(2026年) | 25,430人 | 15,438人 | 60.7% |
※社会福祉振興・試験センター「第38回社会福祉士国家試験の合格発表について」(2026年3月3日)。
合格率は第34回の31.1%から上がり、ここ3回は56〜61%です。受験者は第35回の36,974人をピークに減っています。第38回の合格者を年齢で見ると、30歳以下が7,273人(47.1%)で半分近く、41〜50歳も3,098人(20.1%)いて、社会人になってから目指す人も少なくありません。
合格に必要な点数
第38回の合格基準は、129点満点で50点以上、かつ6つの科目群すべてで得点があることでした。センターは「総得点の60%程度を基準とし、問題の難易度で補正した」と説明しています。60%なら77点ほどですが、第38回は難易度の補正で50点まで下がりました。合格点は回ごとに変わるので、過去問は「何割取れたか」より、苦手な科目群を作らないことを意識して解くのが大切です。1つの科目群でも0点があると、総得点が基準を超えても不合格になります。
住んでいる場所ごとの合格者
第38回の合格者を受験時の住所で見ると、東京都が1,816人で最も多く、神奈川県1,128人、大阪府960人、埼玉県876人、愛知県816人と続きます。最も少ないのは鳥取県の43人でした。試験会場は24都道府県に置かれているので、近くに会場があるかも早めに確かめておきましょう。
資格取得ルート
福祉系大学ルート、一般大学+養成施設ルート、相談援助の実務経験+養成施設ルートなどがあり、いずれも受験資格を満たして国家試験に合格する必要があります。詳細は社会福祉振興・試験センターの公開情報をご確認ください。
ルートごとの合格率は、新卒か既卒かで大きく分かれます。第38回の内訳は次のとおりです。
| 受験資格のルート | 新卒の合格率 | 既卒の合格率 |
|---|---|---|
| 福祉系大学等 | 78.4%(7,590人中5,950人) | 42.2%(6,389人中2,693人) |
| 福祉系短大等+実務経験 | — | 38.8%(1,040人中404人) |
| 短期養成施設等 | 70.8%(770人中545人) | 39.0%(897人中350人) |
| 一般養成施設等 | 81.7%(4,790人中3,915人) | 40.0%(3,954人中1,581人) |
※同上の合格発表資料の内訳。
どのルートでも、学校を出た年(新卒)に受けた人の合格率は70〜82%、それ以外(既卒)は39〜42%です。一般大学を出てから養成施設で学ぶ人も、新卒扱いでは81.7%と高い合格率でした。学んだ直後の年に受けるのが、数字の上ではいちばん有利です。合格者全体では、福祉系大学等の卒業者が9,047人(58.6%)、養成施設の卒業者が6,391人(41.4%)です。
年収を上げる方法
年収を上げやすいのは行政(公務員PR)や医療機関のMSW、管理職・主任相談支援専門員などへのステップアップです。精神保健福祉士やケアマネPRジャーなど資格の掛け合わせも評価につながります。条件比較では手当・賞与・雇用形態(正規/非正規)を含めて見ましょう。
精神保健福祉士とのダブル取得は、試験の仕組みの面でも進めやすくなっています。2つの試験には共通の科目があり、精神保健福祉士の登録者が社会福祉士を受けるときは共通科目が免除され、45点満点の専門科目だけで受けられます(第38回の基準は17点以上)。精神保健福祉士の第28回試験(2026年)は受験者7,107人・合格者5,558人で、合格率は78.2%、登録者は113,332人(2026年1月末)です。
転職を成功させるポイント
福祉分野は非正規雇用の求人も多いため、正規・非正規の別や残業、相談件数の実態を面接で確認することが大切です。福祉専門の転職サイトを2〜3社使い、分野ごとの求人を比較しましょう。
福祉・介護の他の資格職は介護士の年収とキャリアパスや、資格・専門職キャリアまとめから辿れます。
この記事のデータの出典
- 社会福祉振興・試験センター「第38回社会福祉士国家試験の合格発表について」(2026年3月3日)・「第37回社会福祉士国家試験合格発表について」(2025年3月4日)
- 同センター「第38回社会福祉士国家試験の合格基準及び正答について」「第28回精神保健福祉士国家試験の合格発表について」と、両資格の登録者数(2026年1月末現在)

