「同じ診療放射線技師でも、総合病院とクリニックでどのくらいお給料が違うの?」——転職を考えると、まずここが気になりますよね。ただ、職場の種類ごとの年収をまとめた公的な統計は見当たらないんです。この記事では、国の統計で確かめられる全国平均を土台にして、職場ごとの違いを自分で確かめる方法を一緒に見ていきます。
診療放射線技師は、放射線を使う検査と治療の専門職
診療放射線技師は、医師・歯科医師の指示のもとで、X線撮影・CT・MRI・マンモグラフィ・核医学検査、放射線治療などを担当する国家資格の職種です。人体に放射線を照射できるのは、医師・歯科医師のほかは診療放射線技師だけと法律で決まっています。
| 職場 | 主な仕事 | 求人を見るときのポイント |
|---|---|---|
| 大学病院・総合病院 | 一般撮影・CT・MRI・血管撮影・核医学・放射線治療など幅広く | 当直・オンコールの回数と手当、担当する装置のローテーション |
| クリニック | 一般撮影・CT・MRIなど、そのクリニックの診療科に合わせた検査 | 技師の人数(ひとり配置か)、受付や事務を兼ねるか |
| 健診・人間ドック | 胸部X線・胃部X線・マンモグラフィなど | 巡回健診(検診車)の有無と出張の扱い、繁忙期 |
| 放射線治療部門 | がんの放射線治療の照射・治療計画の補助・品質管理 | 治療件数、医学物理士など他職種との分担 |
診療放射線技師の年収相場(国の統計)
厚生労働省の賃金構造基本統計調査(令和7年)によると、診療放射線技師(推計6万2,540人)の全国平均年収は556.5万円です(平均年齢41.1歳・平均勤続13.3年)。令和7年6月分の「きまって支給する現金給与額」を12倍し、令和6年の1年間の賞与などを足した金額で、残業代や深夜手当などの割増賃金を含みます。職業情報サイト job tag の賃金(年収)と同じ調査・同じ計算です。
年齢別の年収
| 年齢 | 年収 | 推計人数 |
|---|---|---|
| 20〜24歳 | 369.0万円 | 7,000人 |
| 25〜29歳 | 452.1万円 | 7,970人 |
| 30〜34歳 | 518.1万円 | 7,130人 |
| 35〜39歳 | 525.3万円 | 7,530人 |
| 40〜44歳 | 606.3万円 | 7,860人 |
| 45〜49歳 | 609.3万円 | 8,660人 |
| 50〜54歳 | 654.5万円 | 7,560人 |
| 55〜59歳 | 738.7万円 | 5,500人 |
| 60〜64歳 | 614.1万円 | 2,350人 |
※厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」第5表(職種(小分類)、年齢階級別)から当サイトが計算(確認日2026年10月22日)。年収は「きまって支給する現金給与額(6月分)×12+年間賞与その他特別給与額」で、全国・企業規模10人以上・男女計の平均です。残業代や深夜手当などの割増賃金を含みます。推計人数が1,000人に満たない年齢階級は載せていません。
会社の規模別の年収
| 会社の規模 | 年収 | 推計人数 |
|---|---|---|
| 1,000人以上 | 614.2万円 | 2万8,600人 |
| 100〜999人 | 504.5万円 | 2万9,300人 |
| 10〜99人 | 529.3万円 | 4,640人 |
※厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」第1表(職種(小分類)、性別。企業規模別の列)から当サイトが計算(確認日2026年10月22日)。年収は「きまって支給する現金給与額(6月分)×12+年間賞与その他特別給与額」で、全国・企業規模10人以上・男女計の平均です。残業代や深夜手当などの割増賃金を含みます。
規模によって高い低いが入れ替わり、はっきりした傾向はありません。男女別では男性が601.1万円、女性が471.9万円で、差は129.2万円です。推計の労働者数で見ると、診療放射線技師の34.5%が女性です。年齢・勤続年数・勤務時間の違いも含んだ平均なので、同じ条件で比べた差ではありません。
全国平均は、国の統計の職種別の一覧(資格・専門職の年収(国の統計))でも、臨床検査技師・理学療法士などと並べて見られます。
職場ごとの年収は、公的な統計がありません
上の統計には会社(法人)の規模で分けた数字はありますが、「大学病院」「クリニック」「健診機関」「放射線治療部門」のように職場の種類で分けた数字はありません。なので、この記事では職場ごとの年収の数字は載せていません。
そのかわり、職場ごとの違いが出やすいところは、はっきりしています。当直・オンコールの手当、夜間・休日の呼び出しの扱い、資格に対する手当の有無、そして賞与の月数です。ここを求人票で揃えて見ると、同じ「月給◯万円」でも年間ではけっこう違うことがわかります。
求人を比べるときの手順
- 月給の内訳を分ける:基本給・資格手当・固定の残業代を分けて書き出します。固定の残業代が入っていると、基本給は見た目より低くなります。
- 当直・オンコールを年間に直す:「当直手当1回◯円×月◯回×12か月」のように、面接で聞いた回数で計算します。回数は部署の実績を聞くのがおすすめです。
- 賞与は実績の月数で:「賞与あり」ではなく「前年度◯か月分」を確かめます。
- 退職金・昇給の仕組み:長く働くつもりなら、昇給が年何回・どう決まるかも聞いておきたいところです。
医療法人や病院の中には、有価証券報告書を出している会社が運営するところもありますが、その場合でも報告書の平均年収は全職種の平均です。診療放射線技師の年収そのものではないので、比べる材料には使わないほうが安全です。
専門性を広げる資格
撮影の分野ごとに、学会や関係団体が認定する資格があります(例: 検診マンモグラフィ撮影の認定、放射線治療の専門技師の認定、MRIの認定など)。認定を取ると、担当できる検査が広がったり、求人の応募条件を満たせたりします。手当がつくかどうかは職場ごとに違い、公的な統計はないので、求人票か面接で確かめてくださいね。
国家試験の結果
厚生労働省の発表では、第78回診療放射線技師国家試験(2026年2月実施)は、受験者3,506人のうち合格者2,670人で、合格率は76.2%でした。新卒者に限ると、受験者3,084人のうち合格者2,585人、合格率83.8%です(第78回診療放射線技師国家試験の合格発表(厚生労働省))。
転職前のチェックリスト
- 今いちばん得意な装置・検査と、次の職場で担当する装置が合っているか
- 当直・オンコールの回数(部署の実績)と手当の金額
- 被ばく管理の体制(線量計の管理、教育の仕組み)
- 技師の人数と、休みの取りやすさ(ひとり配置ではないか)
- 賞与の実績月数と昇給の仕組み
医療技術職のほかの職種は臨床工学技士や作業療法士の記事、資格職全体は資格・専門職キャリアまとめから辿れます。
訂正・作り直し(2026年10月30日):この記事の以前の版では、職場タイプ別の「年収目安」(例: 大学・総合病院370〜520万円、クリニック350〜480万円、放射線治療部門400〜560万円)と、「放射線治療部門や当直の多い病院が高めの傾向」という説明を載せていました。出典を示せないため削除し、記事を作り直しました。年収は厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」の診療放射線技師の区分の数字(全国平均・年齢別・会社の規模別)に置き換え、職場ごとの違いは求人の比べ方の説明にしました。

