結論から言うと、「新入社員の半数が転職検討」という見出しは実態より誇張されています。学情の調査(2026年6月7〜28日実施、Re就活登録者52人が対象)では46.2%が「すでに退職・転職を検討している」と回答しましたが、これは転職に関心の高い人が集まる転職サイトの、しかもわずか52人のサンプルです。一方、厚生労働省の公式統計(令和4年3月卒業者、2025年10月公表)による大卒の3年以内離職率は33.8%——「半数」ではなく「3人に1人」が実態に近い数字です。ただし業種・企業規模による差は大きく、当サイトの就職偏差値511社データと突き合わせると、企業選びが定着率に与える影響も見えてきます。
話題のニュース:学情調査「46.2%が退職・転職検討」の中身
株式会社学情が運営する20代専門転職サイト「Re就活」が2026年6月7日〜28日に実施した調査(確認日2026年7月18日)によると、2026年4月入社の新入社員のうちRe就活に登録している52人を対象に聞いたところ、46.2%が「すでに退職・転職を検討している」、11.5%が「すでに退職した」と回答しました。理由(複数回答)は「仕事内容が自分に合わない・やりがいを感じない」63.5%が最多で、「労働条件」38.5%、「成長・スキルアップが見込めない」30.8%と続きます。
注意したいのは、この調査対象が「転職サイトにすでに登録している20代」という、そもそも転職に関心の高い層に偏っている点と、サンプル数が52人と非常に小さい点です。母集団の代表性という意味では、全新入社員の実態を示す数字としては心もとない規模です。
厚労省の公式統計では3年以内離職率は33.8%【比較表】
就職後の離職状況について、より母集団の大きい公的統計を確認します。厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」(令和4年3月卒業者、2025年10月24日公表)によると、大卒の3年以内離職率は33.8%(前年度比-1.1pt)でした。業種別に見ると大卒の離職率には大きな差があります。
| 業種 | 3年以内離職率(大卒) |
|---|---|
| 宿泊業・飲食サービス業 | 55.4% |
| 生活関連サービス業・娯楽業 | 54.7% |
| 教育・学習支援業 | 44.2% |
| 医療・福祉 | 40.8% |
| 小売業 | 40.4% |
| 全業種平均 | 33.8% |
企業規模でも離職率は2倍以上変わる——就職偏差値511社データと突き合わせる
事業所規模別の離職率にも明確な差があります。大卒の場合、1,000人以上企業の3年以内離職率は27.0%である一方、5人未満企業は57.5%と2倍以上です。
| 企業規模 | 3年以内離職率(大卒) |
|---|---|
| 5人未満 | 57.5% |
| 5〜29人 | 52.0% |
| 30〜99人 | 41.9% |
| 100〜499人 | 33.9% |
| 500〜999人 | 31.5% |
| 1,000人以上 | 27.0% |
当サイトが保有する就職偏差値511社データのうち、従業員数を公開している466社を見ると、91%(422社)が従業員1,000人以上——つまり厚労省統計で最も定着率の高い規模帯に該当します。「就職偏差値が高い企業を目指す」という行動自体が、結果的に離職率の低い規模帯を選ぶことと重なりやすい構造です。
ただし例外もあります。偏差値70以上の最難関30社(外資系戦略コンサル・投資銀行など)の平均従業員数は4,037人で、偏差値60〜69帯の418社(平均22,253人)よりむしろ少人数です。外資トップファームは少数精鋭で採用され、数年で転職・独立する文化が前提のケースも多く、在籍年数の短さは「合わずに辞める」離職とは性質が異なります。偏差値だけで定着率を判断せず、企業文化とセットで確認しましょう。業界別の詳しい違いは就職偏差値ランキング全体で確認できます。
「入社してから合わない」と感じたときに確認すべきこと
- 「検討」と「行動」を分ける:調査で46.2%が答えたのは「検討している」であり、実際に退職したのは11.5%。焦って決断する前に、まず何が合わないのか言語化する
- 理由を仕事内容か環境かで切り分ける:学情調査でも最多理由は「仕事内容が合わない」。配置転換や異動で解決できる場合もあるため、まず社内での相談余地を確認する
- 業種の離職率相場を知っておく:宿泊・飲食や小売など離職率が高い業種は、そもそも人の入れ替わりが前提の構造であることも多い。「自分だけが合わない」と抱え込まない
- 第二新卒としての市場価値を理解する:入社1〜3年目での転職は「第二新卒PR
」として一定の需要があるが、退職理由の説明力が選考で問われる - 次の職場選びでは企業規模・文化の両方を見る:偏差値・規模だけでなく、離職理由になりやすい「仕事内容」「労働条件」が求人票からどこまで具体的に読み取れるかを確認する
転職のタイミングをどう判断するかは転職のベストタイミングでも解説しています。
