「転職したら年収が19.2万円増えた」——マイナビ「転職動向調査2026年版」の数字がニュースサイトで取り上げられています。2025年に転職した正社員の平均年収は533.7万円で、転職前より19.2万円増加。転職率も7.6%で調査開始以降最高水準です。
ただし同じ調査には、50代は平均で4.5万円減ったというデータも含まれています。「転職=年収アップ」と読むのは早計です。年代別の内訳と、当サイトが公開情報から集計している511社の企業年収レンジを突き合わせ、平均という数字の裏側を検証します。
結論:先に3行で
- 2025年の正社員転職率は7.6%(前年比+0.4pt)で調査開始以降最高水準。転職後の平均年収は533.7万円で、転職前より19.2万円増加(マイナビ「転職動向調査2026年版」)
- 年代差が大きく、30代は+32.4万円で最大。一方50代は-4.5万円で、年代によって結果が逆転する
- 平均+19.2万円という伸び幅は、業界・企業選びによる年収レンジの差に比べると小さい。当サイト511社データでは、同業界の大手企業だけでもレンジの幅は数百万円単位に及ぶ
マイナビ調査:年代別の年収変化
調査は2025年に転職した20〜50代正社員1,446人が対象、2025年12月にインターネットで実施(出典:マイナビ「転職動向調査2026年版」、まいどなニュース経由Yahoo!ニュース掲載、確認日2026-07-13)。
| 年代 | 転職後の年収変化 | 備考 |
|---|---|---|
| 20代 | +21.5万円 | 未経験可の求人が多く、伸びしろのあるポジションへの移動が伸び幅を押し上げやすい |
| 30代 | +32.4万円(最大) | 実務経験が評価されやすい年代。マネジメント経験があるとさらに上振れしやすい |
| 40代 | +12.7万円 | 専門性次第で差が広がる。未経験分野への転向は伸び幅が小さくなりやすい |
| 50代 | -4.5万円 | 役職・年功要素を含む年収を維持できる求人自体が少なく、平均では減少に転じる |
転職理由の上位は「給与が低かった」(23.2%)、「仕事内容に不満があった」(21.0%)、「職場の人間関係が悪かった」(20.0%)の順でした。
平均だけでは見えない:業界による年収レンジの差
「+19.2万円」は全業界をならした数字です。当サイト企業年収ランキング(511社)から代表的な大手企業の年収レンジを見ると、業界内の幅そのものが平均の伸び幅よりずっと大きいことが分かります。
| 業界 | 代表企業例 | 年収レンジ目安 |
|---|---|---|
| IT・Tech | Google Japan | 800〜2,000万円 |
| 金融 | JPモルガン証券 | 950〜1,900万円+ボーナス |
| 消費財 | ファーストリテイリング | 600〜1,500万円 |
| 不動産 | 三菱地所 | 700〜1,300万円 |
| 製造 | トヨタ自動車 | 600〜1,100万円 |
| スタートアップ | freee | 550〜1,100万円 |
※各業界を代表する大手・上場企業の例で、業界平均や実際の転職後年収を示すものではありません。ポジション・経験年数で提示額は変わります。年代別の目安は30代想定年収ランキングで確認できます。
「転職しても年収が上がらない」への正直な回答
Q. なぜ50代は平均で年収が下がるのか
前職の役職・年功要素を含む年収をそのまま維持できる求人が構造的に少ないためです。マネジメント経験や専門性を評価する企業を選べば個別には上振れも可能ですが、「年代が上がるほど自動的に有利」ではありません。
Q. 「給与が低かった」が転職理由1位なのに、なぜ平均でしか上がらないのか
提示年収の額面だけを見て、基本給・固定残業代・賞与の内訳を確認しないまま決めてしまうケースが少なくないためです。額面が上がっても固定残業代の時間数が増えていたり賞与が不確実だったりすると、手取りは思ったほど増えません。
年収アップの内定を受ける前のチェックリスト
- ①基本給の額と月給に占める割合:提示年収の総額ではなく基本給そのものを確認する
- ②固定残業代の時間数と超過分の扱い:時間数と、超えた場合に別途支給されるかを面談で確認する
- ③賞与が業績連動かどうか、直近の支給実績:求人票だけでなく直近1〜2年の支給実績を聞く
- ④昇給・昇格の頻度と評価制度:年1回か複数回か、基準が明文化されているか
- ⑤業界の年収レンジの中でどの位置か:企業年収ランキングで同業界の他社水準と比較する
内定後の年収交渉そのものは内定面談での年収交渉の進め方で解説しています。
