銀行は「政府系・メガ・信託・ネット」で就職難易度と働き方が分かれる
銀行業界の就職難易度は信託銀行・政府系金融機関・メガバンクの上位行が近い水準で並ぶ構図です。さらにメガバンクは「グローバル/総合職」「特定/エリア総合職」のコース別で難易度が分かれます。近年は低金利・デジタル化で銀行員のキャリアが大きく変化しており、難易度だけでなく将来性も見て選ぶ時代です。本記事では、有価証券報告書・各社の公式採用ページ・厚生労働省の公表データをもとに整理します。
この記事は、銀行ごとの就職難易度と年収をデータで比べる解説です。職種・学歴フィルター・選考対策など就活の進め方は、銀行業界の就活ガイドにまとめています。保険・証券も含めた金融業界全体の順位は、金融業界の就職偏差値ランキング(全社一覧)で確認できます。
銀行 就職偏差値ランキング
下表は主要銀行・金融機関の就職偏差値と、有価証券報告書に載っている平均年収です。信託銀行2社(67)と、政策投資銀行(DBJ)・三菱UFJ銀行(66)が上位で、上位行の差は小さめです。
| 企業 | 区分 | 就職偏差値 | 平均年収(有報) |
|---|---|---|---|
| 三菱UFJ信託銀行 | 信託 | 67 | 978.4万円 |
| 三井住友信託銀行 | 信託 | 67 | 765.5万円 |
| 日本政策投資銀行(DBJ) | 政府系 | 66 | 1,184.0万円 |
| 三菱UFJ銀行 | メガ | 66 | 914.3万円 |
| 三井住友銀行 | メガ | 65 | 933.8万円 |
| 国際協力銀行(JBIC) | 政府系 | 65 | 863.2万円 |
| みずほ信託銀行 | 信託 | 65 | — |
| 日本政策金融公庫 | 政府系 | 64 | 920.1万円 |
| みずほ銀行 | メガ | 64 | 870.1万円 |
| SBI新生銀行 | その他 | 62 | 855.8万円 |
※就職偏差値は当サイトのデータ(公開情報をもとにした目安)。平均年収は各社の有価証券報告書(2026年3月期・提出会社単体)の平均年間給与で、管理職を含む全社員の平均です。みずほ信託銀行は有価証券報告書の数字を取得できていないため「—」にしています。
上記のほか、国内最大級のリテール網を持つゆうちょ銀行や、独自のビジネスモデルで知られるあおぞら銀行も、メガバンクとは異なる働き方を求める層の併願先になっています。
有価証券報告書で比べる、年収と年齢・勤続の関係
平均年収は全社員の平均なので、社員の年齢や勤続の長さでも上下します。表の数字を、年齢・勤続・人数と並べ直してみました。
| 企業 | 平均年齢 | 平均勤続 | 従業員(単体) |
|---|---|---|---|
| 日本政策投資銀行 | 36.8歳 | 13.1年 | 1,324人 |
| 国際協力銀行 | 37.9歳 | 10.0年 | 866人 |
| 三菱UFJ銀行 | 40.1歳 | 15.8年 | 31,691人 |
| みずほ銀行 | 40.7歳 | 16.3年 | 23,356人 |
| 三井住友銀行 | 41.2歳 | 17.5年 | 28,030人 |
| 三井住友信託銀行 | 42.3歳 | 14.9年 | 13,810人 |
| 日本政策金融公庫 | 42.4歳 | 19.4年 | 7,368人 |
| 三菱UFJ信託銀行 | 43.5歳 | 15.1年 | 6,431人 |
※各社の有価証券報告書(2026年3月期・提出会社単体・金融庁 EDINET)。
目を引くのはDBJです。平均年齢36.8歳と表の中でいちばん若いのに、平均年収は1,184.0万円でいちばん高くなっています。単体の社員は1,324人で、三菱UFJ銀行(31,691人)の20分の1ほどの少人数の組織です。
もうひとつ面白いのが信託銀行の2社です。就職偏差値はどちらも67なのに、平均年収は三菱UFJ信託銀行978.4万円、三井住友信託銀行765.5万円で、210万円ほど開いています。平均年齢と勤続はほとんど同じで、違うのは人数です。三井住友信託銀行は単体で13,810人と、三菱UFJ信託銀行の2倍以上の社員がいます。平均には職種の構成も入るので、偏差値が同じでも年収の平均まで同じとは限らない、という見本のような組み合わせです。メガバンク3行は870.1万〜933.8万円の間に収まり、差は60万円ほどでした。
メガバンク3行の純利益は4年で2.5〜3.2倍に
「銀行はこれから縮む業界」というイメージを持っている人は多いと思います。ところが有価証券報告書の5年分を並べると、数字は逆の動きをしています。
| 銀行(連結) | 純利益 2022年3月期 | 純利益 2026年3月期 | ROE(同) |
|---|---|---|---|
| 三菱UFJ銀行 | 5,030億円 | 1兆5,363億円 | 4.2%→10.8% |
| 三井住友銀行 | 5,682億円 | 1兆3,972億円 | 6.2%→12.0% |
| みずほ銀行 | 3,225億円 | 1兆335億円 | 4.1%→11.7% |
※各行の有価証券報告書(連結の経営指標の推移)。
3行とも4年で純利益が2.5〜3.2倍になり、そろって1兆円を超えました。ただ、銀行の利益は金利や景気で大きく動くので、この伸びがこの先も続くとは限りません。就活で見ておきたいのは「今いくら稼いでいるか」より、その利益をどの部門が生んでいるかと、自分がそこに関われるかどうかです。
コース別採用で難易度が変わる
メガバンク就活は応募コースの選択が難易度を大きく左右します。グローバル/総合職は全国転勤・海外駐在ありで最難関、エリア総合職は地域限定で相対的に入りやすい構造です。ただしコースの名前は銀行ごとに違うので、最新の区分は次の節の公式情報で確かめてください。
| コース | 勤務範囲 | 難易度 | キャリア |
|---|---|---|---|
| グローバル/総合職 | 全国・海外 | 難関 | 幹部候補・海外駐在 |
| 特定・ビジネス専門職 | 専門分野 | 難関 | 市場・IB等の専門 |
| エリア総合職 | 地域限定 | やや難 | 地域営業・支店 |
公式採用ページで見る初任給と採用人数
入口の条件は、各行の公式採用ページにはっきり書いてあります。初任給・募集の区分・採用人数を抜き出しました。
| 企業 | 初任給(公式) | 募集の区分・採用人数(公式) |
|---|---|---|
| 三菱UFJ銀行 | 大卒300,000円・修士310,000円(シニアライフプラン支援金30,000円を含む) | オープン・カスタマーサービス・システム・デジタルなど8つの職種別 |
| 三井住友銀行 | 300,000円(オペレーション・プロフェッショナルコースは250,000円) | グループリテール・Global Banking・IT・デジタル・クオンツなど10コース |
| 三井住友信託銀行 | 大卒300,000円・院卒325,000円 | オープン・IT・年金アクチュアリー・運用など7コース |
| 日本政策投資銀行 | 大卒300,000円・院了320,000円 | 2025年入行は総合職47名・業務職33名 |
| 日本政策金融公庫 | 総合職254,000円・地域総合職228,600円(2026年4月予定) | 採用予定200〜300名 |
| あおぞら銀行 | 大卒300,000円・院卒310,000円 | 2025年度66名・2026年度47名(予定) |
※各社の公式採用ページ(2026年10月12日取得)。月給の額で、手当の扱いは各社の募集要項に従います。
大卒の初任給は、ほとんどの銀行が300,000円で横に並んでいます。三菱UFJ銀行の300,000円には、シニアライフプラン支援金30,000円が含まれている点は読み落としやすいところです。入口の金額がほぼ同じなので、初任給で選ぶより、どの職種・コースで入るかのほうが10年後の仕事に効いてきます。
人数でいちばん狭いのはDBJで、総合職は2023年入行43名、2024年48名、2025年47名でした。いっぽう日本政策金融公庫は採用予定200〜300名と、政府系の中では入口が広めです。同じ「政府系」でも、受かりやすさの感覚はかなり違うと考えておくと安心です。
働き方の公表値と、金融業界の平均
残業の長さは、厚生労働省の職場情報総合サイト「しょくばらぼ」で各社が公表しています。銀行の数字を短い順に並べました。
| 会社 | 月平均の残業時間(公表値) |
|---|---|
| ゆうちょ銀行 | 6.3時間(正社員) |
| 三井住友銀行 | 13.2時間(正社員) |
| 日本政策金融公庫 | 14.7時間(正社員・2025年度) |
| 三井住友信託銀行 | 16.0時間(基幹的な職種) |
| みずほ銀行 | 20.1時間(正社員) |
| SBI新生銀行 | 20.9時間(正社員) |
| 三菱UFJ銀行 | 21.3時間(正社員) |
| みずほ信託銀行 | 22.5時間(正社員) |
| 三菱UFJ信託銀行 | 26.5時間(正社員・非管理監督者) |
※出典:職場情報総合サイト(しょくばらぼ)(https://shokuba.mhlw.go.jp)のデータ(2026年10月16日更新)を加工して作成。法定時間外労働と休日労働を合わせた月平均で、対象の範囲は各社の公表のとおりです。
国の統計と比べると、金融業,保険業でフルタイムで働く人の残業は月13.6時間です(厚生労働省「毎月勤労統計調査」2025年)。数え方が少し違うのでざっくりした比較ですが、三井住友銀行は業界の平均並み、メガバンクのほかの2行と信託銀行は長めです。休みの取りやすさは業界全体でも高く、金融業,保険業の有給休暇は付与19.6日のうち14.3日を取っていて、取得率72.8%は全産業の66.9%を上回ります(令和7年就労条件総合調査)。大卒で入った人が3年以内に辞める割合も25.0%と、全産業の33.8%より低い業界です(2022年3月卒)。
就活判定で見た、銀行ごとの届きやすさ
当サイトの就活判定(経験の加点なし)で、大学群の目安(6段階)ごとに主な銀行を判定した結果です。
| 銀行 | 1〜3段目 | 4段目 | 5〜6段目 |
|---|---|---|---|
| 信託銀行2社・DBJ | 十分射程 | 対策次第 | 挑戦枠 |
| 三菱UFJ銀行・三井住友銀行 | 十分射程 | 挑戦枠 | 挑戦枠 |
| みずほ銀行 | 十分射程 | 対策次第 | 5段目は対策次第・6段目は挑戦枠 |
| 日本政策金融公庫・SBI新生銀行・ゆうちょ銀行・あおぞら銀行 | 十分射程 | 対策次第 | 対策次第 |
偏差値が同じ66でも、DBJは4段目で「対策次第」、三菱UFJ銀行は「挑戦枠」と結果が分かれました。判定には、メガバンクの採用実績校の傾向を反映して、4段目以下を少し厳しめに見る補正を入れているためです。文系・理系の違いはどの銀行にもありませんでした。メガバンクを本命にするなら、日本政策金融公庫や信託銀行のように判定が分かれる銀行を併願に入れておくと、全体の見通しが立てやすくなります。
銀行員のキャリアは変わりつつある
低金利環境とデジタル化で、銀行は「融資・預金」から「コンサルティング・ソリューション営業」へと役割を変えています。M&A・事業承継・資産運用提案など、付加価値の高い業務にシフト中です。就活では「将来どんなスキルが身につくか」を重視し、専門性(IB・市場・デジタル)を磨ける部門やコースを狙うのが賢明です。安定志向なら政府系、グローバル志向ならメガ、専門性なら信託・市場部門が選び方の軸になります。
メガバンク3行の年収・出世比較はメガバンク3行の比較、金融業界全体は金融業界の就職偏差値ランキングで確認できます。証券・IBとの比較は証券会社就職難易度ランキングもご覧ください。
この記事のデータの出典
- 各社の有価証券報告書(2026年3月期・金融庁 EDINET)
- 各社の公式採用ページ(2026年10月12日取得)
- 職場情報総合サイト(しょくばらぼ)(https://shokuba.mhlw.go.jp)のデータ(2026年10月16日更新)を加工して作成
- 厚生労働省「毎月勤労統計調査 2025(令和7)年分結果確報」「令和7年就労条件総合調査」「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」
- 当サイトの就活判定(/tools/hantei)

