第一三共とアステラスは「がん領域ADCの躍進」か「グローバル展開」か
内資製薬大手の第一三共とアステラス製薬。抗がん剤ADC(エンハーツ)が世界的に大成功し急成長する第一三共、泌尿器・がんなどでグローバル展開するアステラスという対比が基本です。どちらも製薬トップクラスの難関・高年収企業です。本記事では、2社の有価証券報告書、第一三共の公式採用ページ、厚生労働省の公表データ、当サイトの就活判定をもとに比較します。
就職難易度・年収の比較
| 項目 | 第一三共 | アステラス製薬 |
|---|---|---|
| 就職偏差値 | 64 | 64 |
| 平均年収(有報・2026年3月期) | 1,097.7万円 | 1,131.5万円 |
| 平均年齢・平均勤続 | 45.0歳・19.9年 | 42.5歳・15.4年 |
| 従業員(単体) | 8,009人 | 4,081人 |
| 強い領域 | がん(ADC・エンハーツ) | 泌尿器・がん・移植 |
| 研究職 | 理系修士・博士中心 | 理系修士・博士中心 |
※就職偏差値は当サイトのデータ(公開情報をもとにした目安)。平均年収・平均年齢・平均勤続年数・従業員数は、両社の有価証券報告書(提出会社単体)の数字です。強い領域は編集部の整理です。
この記事の初版では、平均年収の目安を第一三共が上としていましたが、有価証券報告書の実数ではアステラスが1,131.5万円、第一三共が1,097.7万円で、アステラスが33.8万円上でした。アステラスは平均年齢が2.5歳若く、そのうえで平均年収が高い形です。第一三共は平均勤続が19.9年と長く、単体の従業員もアステラスのほぼ2倍の規模です。
当サイトの就活判定(経験の加点なし)では、偏差値が同じ64のこの2社は、判定もそろって同じでした。文系は大学群の目安の3段目まで「十分射程」で、4〜5段目は「対策次第」、6段目は「挑戦枠」です。理系は4段目まで「十分射程」、5〜6段目が「対策次第」と、文系より一段広く出ます。
有価証券報告書で見る2社の勢い
| 連結 | 第一三共 | アステラス製薬 |
|---|---|---|
| 売上(2022年3月期→2026年3月期) | 1兆449億円→2兆1,230億円 | 1兆2,962億円→2兆1,392億円 |
| 純利益(2026年3月期) | 2,599億円 | 2,915億円 |
| 研究開発費(同) | 4,660億円 | 3,148億円 |
| ROE(同) | 15.8% | 17.4% |
| 自己資本比率(同) | 41.5% | 51.3% |
※各社の有価証券報告書(IFRS・連結の経営指標等の推移)。
4年前は売上でアステラスが上でしたが、2026年3月期にはほぼ並び、第一三共は4年で売上を2倍にしました。研究開発には第一三共がアステラスより1,500億円以上多くを投じていて、売上に対する割合も第一三共が22.0%、アステラスが14.7%です(有価証券報告書の数字から当サイトで計算)。研究職を志望するなら、この「研究にどれだけお金を回しているか」は、会社の姿勢を比べる材料になります。一方のアステラスは、2024年3月期に純利益が170億円まで落ちた後、2026年3月期は2,915億円まで戻し、ROE(株主の資本に対してどれだけ純利益を上げたかの割合)では第一三共を上回りました。自己資本比率(資産のうち返済のいらない資本の割合)もアステラスが51.3%と厚めです。「伸びの第一三共、立て直したアステラス」という4年間です。
| 純利益(連結) | 第一三共 | アステラス製薬 |
|---|---|---|
| 2022年3月期 | 670億円 | 1,241億円 |
| 2023年3月期 | 1,092億円 | 987億円 |
| 2024年3月期 | 2,007億円 | 170億円 |
| 2025年3月期 | 2,958億円 | 507億円 |
| 2026年3月期 | 2,599億円 | 2,915億円 |
人の数の動きも対照的です。連結の従業員は、第一三共が1万6,458人(2022年3月期)から2万171人(2026年3月期)へ22.6%増えたのに対し、アステラスは1万4,522人から1万4,099人へ2.9%減りました。成長に合わせて人を増やしてきた会社と、事業を絞り込みながら利益を戻した会社、という違いが数字に表れています。面接では、こうした会社の局面を踏まえて「どの段階の会社で、何をしたいか」を語れると説得力が増します。
事業・社風の違い
| 項目 | 第一三共 | アステラス製薬 |
|---|---|---|
| 強み | 抗がん剤ADCで世界的躍進 | グローバル展開・幅広い領域 |
| 勢い | エンハーツで急成長 | 安定したグローバル経営 |
| 社風 | 研究重視・チャレンジ | グローバル・実力主義 |
| 向く人 | がん創薬・成長に挑む | グローバルに幅広く |
働き方の公表値と募集職種
厚生労働省の職場情報総合サイト「しょくばらぼ」では、第一三共の正社員の月平均の残業時間が17.4時間と公表されています(2026年10月16日更新のデータを加工)。アステラス製薬の数字は、同サイトでは見つかりませんでした。製造業でフルタイムで働く人の平均(月14.7時間・毎月勤労統計調査2025年)より、第一三共はやや長めです。業界全体では、医薬品製造業を含む化学工業などに大卒で就職した人の3年以内の離職率が15.3%(2022年3月卒)と低く、長く勤める人が多い業界です。第一三共は公式採用ページで、研究職・データサイエンス・開発職・ファーマコビジランス職・サプライチェーンスタッフ・MR・コーポレートスタッフに分けて募集しています(2026年10月12日取得)。
タイプ別おすすめ早見表
| こんな人 | おすすめ |
|---|---|
| がん領域ADC×研究×成長 | 第一三共 |
| グローバル×幅広い領域 | アステラス |
結論として、がん領域で躍進の第一三共、グローバル展開のアステラスが選び方の軸です。両社とも最難関の製薬。逆求人PRサイトで自分の市場価値を測り、早期に選考対策PRを進めるのが有効です。製薬全体は製薬会社就職難易度ランキング、武田との比較は武田vs第一三共もご覧ください。
この記事のデータの出典
- 第一三共・アステラス製薬の有価証券報告書(2026年3月期・金融庁 EDINET)
- 第一三共の公式採用ページ(2026年10月12日取得)
- 職場情報総合サイト(しょくばらぼ)(https://shokuba.mhlw.go.jp)のデータ(2026年10月16日更新)を加工して作成
- 厚生労働省「毎月勤労統計調査 2025(令和7)年分結果確報」「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」
- 当サイトの就職偏差値データ・就活判定(/tools/hantei)

