結論: 内資の製薬会社では、武田薬品工業と中外製薬の就職偏差値65が最上位です。第一三共とアステラス製薬が64で続きます。外資はノバルティスファーマとファイザーが72と、内資より高い位置にいます(偏差値は公開情報をもとにした目安)。有価証券報告書の平均年収は内資大手6社がそろって1,000万円を超え、いちばん高い中外製薬は1,350.8万円(2025年12月期)です。ただし難易度は職種で全く違い、研究職が最難関、開発・生産職が難関、MR(営業)職は文理問わず採用でやや難、の順です。
この記事は、製薬会社の就職難易度を職種と年収から読み解く解説です。医薬品・ヘルスケア業界の全社を偏差値順に並べた一覧は、製薬・ヘルスケア業界の就職難易度ランキングにまとめています。
製薬就活は「研究職・開発職・MR」で就職難易度が全く違う
製薬会社の就職難易度は職種で大きく分かれます。研究職は理系修士・博士が中心で採用数が少なく最難関、開発(臨床開発)職も難関、一方MR(営業)職は採用数が多く文系も対象で相対的に入りやすい構造です。本記事では、有価証券報告書・各社の公式採用ページ・厚生労働省の公表データをもとに、内資大手・外資製薬の就職難易度を就職偏差値・年収・職種別に整理します。
製薬会社 就職偏差値ランキング
下表は主要製薬の就職偏差値と、有価証券報告書に載っている平均年収です。偏差値は外資が70台で、内資は武田・中外・第一三共・アステラスが64〜65です。
| 企業 | 就職偏差値 | 平均年収(有報) | 特徴 |
|---|---|---|---|
| ノバルティスファーマ | 72 | — | 外資(スイス) |
| ファイザー | 72 | — | 外資(米国) |
| MSD | 70 | — | 外資(米国) |
| アストラゼネカ | 70 | — | 外資(英国・スウェーデン) |
| ブリストル マイヤーズ スクイブ | 70 | — | 外資(米国) |
| 武田薬品工業 | 65 | 1,144.5万円 | 国内首位・グローバル |
| 中外製薬 | 65 | 1,350.8万円(2025年12月期) | ロシュ傘下・高収益 |
| 第一三共 | 64 | 1,097.7万円 | がん領域に強み |
| アステラス製薬 | 64 | 1,131.5万円 | グローバル展開 |
| エーザイ | 62 | 1,123.4万円 | 認知症領域 |
| 塩野義製薬 | 62 | 1,030.1万円 | 感染症に強み |
| 小野薬品工業 | 62 | 1,093.5万円 | 研究開発費の比率が高い |
| 大塚製薬 | 61 | — | 医薬+栄養事業 |
※就職偏差値は当サイトのデータ(公開情報をもとにした目安)。平均年収は各社の有価証券報告書(中外製薬は2025年12月期、ほかは2026年3月期・提出会社単体)の平均年間給与で、MR・研究を含む全社員の平均です。外資の日本法人と大塚製薬(上場しているのは持株会社)は、会社本体の有価証券報告書の数字がないため「—」にしています。
有価証券報告書で見る、研究開発にかけるお金
製薬会社らしさがいちばんはっきり出る数字は、研究開発費です。売上のうちどれだけを研究開発に回しているかを並べました。
| 企業 | 売上収益(連結) | 研究開発費 | 売上に占める割合 |
|---|---|---|---|
| 小野薬品工業 | 5,158億円 | 1,471億円 | 28.5% |
| 塩野義製薬 | 4,997億円 | 1,228億円 | 24.6% |
| 第一三共 | 2兆1,230億円 | 4,660億円 | 21.9% |
| エーザイ | 8,254億円 | 1,587億円 | 19.2% |
| 武田薬品工業 | 4兆5,057億円 | 6,759億円 | 15.0% |
| アステラス製薬 | 2兆1,392億円 | 3,148億円 | 14.7% |
| 中外製薬 | 1兆2,579億円 | 1,801億円 | 14.3% |
※各社の有価証券報告書(中外製薬は2025年12月期、ほかは2026年3月期・IFRS)。割合は当サイトで計算しました。
7社とも売上の14〜29%を研究開発に回しています。売上が1兆円に届かない小野薬品工業(28.5%)と塩野義製薬(24.6%)が割合では上位に来るのが面白いところです。金額では武田薬品工業の6,759億円が飛び抜けています。研究開発費が大きい会社でも、研究職の募集はかなり細かく分かれています。たとえば武田薬品工業の公式採用ページでは、研究技術職が製剤設計・バイオプロセス開発・品質試験や分析・ニューロサイエンス創薬などの専門ごとに並んでいます。自分の研究と近い募集があるかどうかが、研究職では偏差値以上に大事になります。
公式採用ページで見る初任給と募集職種
「外資は初任給も高い」と思われがちですが、公式の数字を並べると会社ごとの差のほうが大きいことが分かります。
| 企業 | 初任給(公式) | 注記 |
|---|---|---|
| MSD | MR職 学士322,000円・修士352,300円・博士397,200円 | 2028年4月入社の募集要項 |
| ノバルティスファーマ | MR職357,000円〜・MSL職/開発職371,000円〜 | 月額基本給・前年度実績 |
| アストラゼネカ | MR職 4年制大卒308,800円・修士328,800円 | 2024年実績 |
| ファイザー | MR職 学士241,000円〜・修士263,500円〜 | 基本給・2025年4月入社実績 |
| 塩野義製薬 | 学士300,000円・修士325,000円・博士355,000円 | 基本給+15時間分の裁量給+ワークスタイル手当 |
| 大塚製薬 | 学部300,000円・修士320,000円・博士365,000円 | 住宅手当・通勤手当などは別 |
※各社の公式採用ページ(2026年10月12〜16日取得)。
同じ外資のMR職でも、学士の初任給はMSDの322,000円とファイザーの241,000円〜で8万円ほど違います。ファイザーは基本給だけの金額、塩野義製薬は15時間分の裁量給を含んだ金額というように、何を含めた数字かも会社ごとにばらばらです。比べるときは、額と一緒に注記を読む習慣をつけておくと安心です。
募集する職種の数も会社で違います。塩野義製薬は研究職・臨床開発職・統計解析職・ファーマコビジランス職・MR職・IT職・法務職など13職種、大塚製薬はMR職・臨床開発職・MSL職・研究技術職・生産職など10職種、第一三共は研究職・データサイエンス・開発職・MRなど7職種を公式ページに載せています。文系の人は、MR職のほかに財務・法務・人事などのコーポレート職が入口になります。
働き方の公表値と、業界の平均
| 会社 | 月平均の残業時間(公表値) | 有給休暇の取得率 |
|---|---|---|
| 中外製薬 | 3.8時間(正社員) | — |
| 大塚製薬 | 4.2時間(正社員) | — |
| ファイザー | 9.8時間(正社員) | — |
| 塩野義製薬 | 12.7時間(正社員) | 63.2% |
| 第一三共 | 17.4時間(正社員) | — |
| 武田薬品工業 | 18.0時間(社員・契約社員) | — |
| エーザイ | 19.6時間(正社員・2025年度) | — |
| 小野薬品工業 | 21.9時間(正社員) | 72.7% |
| 協和キリン | 25.8時間(正社員) | 79.5% |
| アストラゼネカ | — | 78.0% |
※出典:職場情報総合サイト(しょくばらぼ)(https://shokuba.mhlw.go.jp)のデータ(2026年10月16日更新)を加工して作成。残業は法定時間外労働と休日労働を合わせた月平均で、対象の範囲は各社の公表のとおり。「—」は公表値を確認できなかった項目です。
残業は3.8〜25.8時間と、会社によって7倍近い開きがあります。製造業でフルタイムで働く人の平均は月14.7時間(厚生労働省「毎月勤労統計調査」2025年)なので、中外製薬・大塚製薬・ファイザー・塩野義製薬は平均より短く、ほかの社は長めです。いっぽう辞める人の少なさは業界全体の特徴で、医薬品製造業が入る「化学工業、石油製品・石炭製品製造業」に大卒で就職した人の3年以内の離職率は15.3%でした(2022年3月卒)。全産業の33.8%の半分以下です。
就活判定で見た内資と外資
当サイトの就活判定(経験の加点なし)では、製薬は文系と理系で結果が分かれます。技術系の業界として、理系に加点する補正を入れているためです。
| 会社 | 1段目 | 2段目 | 3段目 | 4段目 | 5段目 | 6段目 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ノバルティス・ファイザー・MSD | 文系 対策次第/理系 十分射程 | 対策次第 | 文系 挑戦枠/理系 対策次第 | 文系 かなりの背伸び/理系 挑戦枠 | かなりの背伸び | かなりの背伸び |
| 武田薬品工業・中外製薬 | 十分射程 | 十分射程 | 文系 対策次第/理系 十分射程 | 文系 挑戦枠/理系 対策次第 | 文系 挑戦枠/理系 対策次第 | 挑戦枠 |
| 第一三共・アステラス製薬・エーザイ・塩野義製薬・大塚製薬 | 十分射程 | 十分射程 | 十分射程 | 文系 対策次第/理系 十分射程 | 対策次第 | 文系 挑戦枠/理系 対策次第 |
外資の上位3社は、1段目の文系でも「対策次第」と出る、いちばん狭い入口です。内資は偏差値64以下の5社になると、4段目の理系まで「十分射程」が広がります。文系で製薬を目指すなら、内資のMR職とコーポレート職を軸に、外資は挑戦枠として組み合わせるのが現実的な並べ方です。
職種別の採用難易度
製薬就活で最も重要なのは職種選びです。研究職は門が狭く、MRは比較的広い。自分の専攻・志向に合った職種を選ぶことが内定の近道です。
| 職種 | 主な対象 | 採用難易度 | 仕事内容 |
|---|---|---|---|
| 研究職 | 理系修士・博士 | 最難関 | 創薬・基礎研究 |
| 開発職(臨床開発) | 理系・薬学 | 難関 | 治験・申請 |
| 生産・品質 | 理系 | 難関 | 製造・品質管理 |
| MR(営業) | 文理問わず | やや難 | 医師への情報提供 |
製薬業界の将来性と選び方
製薬は高年収・安定・社会貢献性の高さで人気ですが、特許切れ(パテントクリフ)やMR数の適正化という構造変化の中にあります。研究志向なら創薬力のある武田・中外・第一三共、成果主義で稼ぎたいなら外資、安定とワークライフバランス重視なら内資中堅が選び方の軸です。MR職はデジタル化で役割が変化しているため、提案力・専門性を磨ける環境かを確認しましょう。
内資大手3社の年収比較は製薬大手3社の年収比較、製薬業界全体の難易度は製薬業界の就職偏差値ランキングで確認できます。個社の詳細は第一三共などの個社ページもご覧ください。
この記事のデータの出典
- 各社の有価証券報告書(中外製薬は2025年12月期、ほかは2026年3月期・金融庁 EDINET)
- 各社の公式採用ページ(2026年10月12〜16日取得)
- 職場情報総合サイト(しょくばらぼ)(https://shokuba.mhlw.go.jp)のデータ(2026年10月16日更新)を加工して作成
- 厚生労働省「毎月勤労統計調査 2025(令和7)年分結果確報」「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」
- 当サイトの就職偏差値データ・就活判定(/tools/hantei)

