結論を3点先に。①就職難易度は当サイトの就職偏差値(公開情報をもとにした目安)で富士通61・NEC60とほぼ互角です。②一方、有価証券報告書にもとづく平均年収はNEC963万円・富士通929万円で、偏差値の序列とは逆転しています。③新卒にとって最も実務的な違いは初任給の決め方で、富士通は学歴による一律初任給を置かず月額31万5,000円を基準に個別設定、NECは学部卒30万円・修士了32万800円という学歴別のテーブルです。「学歴の枠にとらわれず職責で評価されたいなら富士通、院での専門性をそのまま初年度から反映させたいならNEC」が編集部の目安です。
富士通とNECの比較表(一次情報ベース)
まず、出典をたどれる数字だけを並べます。平均年収・平均年齢・従業員数は両社の有価証券報告書(2025年3月期)に基づく公表値、初任給は各社の公式採用ページの記載です(確認日: 2026年8月1日)。就職偏差値と想定年収レンジは当サイトの就職偏差値ランキング収載データ(公開情報をもとにした目安)です。
| 項目 | 富士通 | NEC |
|---|---|---|
| 就職偏差値(当サイト目安) | 61 | 60 |
| 平均年収(有報・2025年3月期) | 929万1,084円 | 963万1,033円 |
| 平均年齢(同) | 43.1歳 | 42.6歳 |
| 従業員数(同・提出会社単体) | 34,850人 | 22,271人 |
| 想定年収レンジ(当サイト目安) | 550〜1,050万円 | 540〜1,000万円 |
| 本社 | 東京都港区 | 東京都港区 |
| 給与改定/賞与 | 年1回(4月)/年2回(6月・12月) | 年1回(4月)/年2回(6月・12月) |
※平均年収は提出会社(単体)に在籍する全社員の平均で、平均年齢が40代前半である点に注意してください。新卒入社直後に届く金額ではありません。またグループ全体では富士通が約13万人、NECが約11万人規模(当サイト収載の概算)で、上表の単体従業員数とは桁が異なります。
いちばん差が出るのは「初任給の決まり方」
両社の違いが新卒にとって最も実感しやすいのが、初任給の設計思想です。以下は富士通の公式採用サイトとNECの公式募集要項に記載された内容です。
| 比較軸 | 富士通(2026年4月時点・予定) | NEC(2026年4月実績) |
|---|---|---|
| 学部卒 | 月額315,000円が基準(学歴による区分なし) | 月額300,000円 |
| 修士了 | 同上(学歴で分けない) | 月額320,800円 |
| 博士了 | 同上 | 月額379,400円 |
| 高専卒 | 同上 | 月額279,500円 |
| 315,000円が適用される人 | 入社後早期から、自律的な業務遂行が求められる職務を担う人 | 該当区分なし(学歴で決定) |
| 294,000円が適用される人 | 習熟度を上げるための育成が一定期間必要で、上司の指示に基づき職務を遂行する人 | 記載なし |
| さらに上振れする場合 | 高度なスキルや専門性を持ち、より高い職責を担う人には、さらに高い金額を個別に設定(金額の上限は非公表・選考の過程で決定) | 記載なし |
読み取れることは明快です。富士通は担う職責、つまり「入社直後からどこまで自律的に仕事を進められるか」で初任給が動き、NECは学歴区分で決まります。学部卒で見ると富士通のほうが月1万5,000円高く、修士了ではNECが5,800円高い。ただし富士通は上限が明示されておらず、選考の過程で個別に決まる仕組みなので、この差はあくまで基準どうしの比較にすぎません。
「偏差値は富士通が上なのに、年収はNECが上」はなぜ起きるのか
就職偏差値は富士通61・NEC60で富士通がわずかに上、しかし平均年収は約34万円ぶんNECが上——このねじれは、指標が測っているものが違うことから生じます。就職偏差値が反映するのは採用側の選考倍率や志望者の集まり方であり、入社後の給与テーブルではありません。一方の有報の平均年収は、いま在籍している社員の構成(職種比率・平均年齢・管理職比率・単体に残っている機能)に強く左右されます。単体従業員数が富士通34,850人に対しNEC22,271人と1.5倍以上の開きがあることからも、両社が「本体に何を残しているか」が違うことは読み取れます。したがって、この34万円差を「NECのほうが高給」と単純に受け取るのは誤りです。入社後の年収を左右するのは会社間の平均差より、配属される職種と等級の上がり方です。指標の性質については就職偏差値とは?見方・信頼性・就活での正しい使い方で詳しく整理しています。
「富士通もNECも、もう斜陽では?」への正直な回答
この検索意図には正面から答えます。両社とも、かつての「国産コンピュータメーカー」という姿からは大きく変わりました。富士通は自社の事業ブランドのもとでDXサービス企業への転換を掲げ、NECは顔認証・生体認証などのセキュリティ技術と社会インフラ向けITに軸足を置いています。ハード中心の会社という前提で志望すると、入社後のギャップは出やすいはずです。
ただし「斜陽だから就職先として弱い」という結論には直結しません。平均年収はどちらも900万円台で推移しており、初任給も学部卒30万円前後と、国内大手のなかでは高い水準にあります。判断すべきは会社の勢いという曖昧な印象ではなく、「自分が任される可能性の高い仕事が、その会社の伸ばそうとしている領域にあるか」です。SIer・ITサービス業界全体の構造はSIer業界の就職偏差値ランキング&就活難易度ガイド、外資系まで含めた比較は外資IT・外資テック業界ガイドで確認できます。
選考で語るべきことの違い
両社は同じ「国内IT大手」でも、志望動機として通る話が違います。富士通は初任給の区分そのものを「入社後早期から自律的な業務遂行が求められる職務を担うか」「一定期間の育成が必要で上司の指示に基づいて職務を遂行するか」で分けると公式に明記しています。つまり「指示待ちにならず自分で仕事を前に進められる人」だと示せるかどうかが、配属だけでなく初年度の処遇にも関わる構造です。抽象的な「DXに興味があります」ではなく、自分が主体的に判断して動いた場面と、その結果を説明できるように準備してください。
NECは応募コースの時点で職種が決まる仕組みなので、「なぜその職種なのか」を先に固めておく必要があります。研究職・技術開発職・システムエンジニア職・コンサルタント職などのコースが用意されており、コース選択そのものが志望動機の一部になります。生体認証や社会インフラ向けITといった注力領域のどこに自分が入りたいのかまで落とし込めているかが分かれ目です。
選考前に確認したいチェックリスト
- 富士通志望なら、公式に示されている2区分(自律的に職務を担う=月額315,000円/育成が一定期間必要=月額294,000円)のどちら側に見えるかを意識し、自分で判断して動いた経験を具体的に語れるよう準備する
- NEC志望なら、募集職種が「応募コースにより決定」される仕組みを踏まえ、研究職・技術開発職・SE職・コンサルタント職などのどのコースで戦うかを先に決める
- 平均年収の34万円差ではなく、志望職種の等級がどう上がるかを社員訪問・座談会で聞く
- 勤務地を確認する(NECは本社の田町のほか、玉川・府中・相模原・我孫子の事業場を公式に明示しています)
- グループ会社(NECソリューションイノベータ、富士通グループ各社など)と本体では初任給も選考も別物。募集要項の会社名を必ず確認する
結局どちらを選ぶべきか
編集部の整理はこうです。学歴の区分に縛られず、持っている専門性や実績を初年度から処遇に反映させたいなら富士通。一律初任給を置かない設計は、院に進まず実力をつけてきた人にとっても、飛び抜けた研究成果を持つ人にとっても、学歴以外の材料で評価される余地が残るという意味で有利に働きます。逆に、評価基準が明示されている安心感を取るならNEC。学歴別の金額が公表されているぶん入社時点の予測が立てやすく、修士・博士まで進んだ人はその分がそのまま反映されます。就職偏差値の1ポイント差は、この選択においてほとんど意味を持ちません。同じ難易度帯の併願先はIT・テック業界の就職偏差値ランキングで確認できます。
出典:富士通 新卒採用サイト(給与・処遇)/NEC 新卒採用 募集要項/日本経済新聞 企業情報 富士通の給与(有価証券報告書ベース)/日本経済新聞 企業情報 NECの給与(有価証券報告書ベース)(いずれも2026年8月1日確認)。就職偏差値・想定年収レンジは当サイトが公開情報をもとに算出した目安であり、各社の公式データではありません。


