「司法書士PRって、勤めても独立しても稼げるの?」——資格の勉強を始める前に、いちばん知りたいところですよね。先にお伝えしておくと、司法書士だけの年収をまとめた公的な統計は見当たりません。この記事では、数字をあてずっぽうで並べるのはやめて、働き方ごとの違いと、自分で収入を確かめる方法を一緒に整理していきます。
司法書士は「登記」を中心にした法律の専門職
司法書士は、不動産や会社の登記の申請の代理、裁判所や法務局に出す書類の作成、成年後見などを受け持つ国家資格の職種です。法務大臣の認定を受けた司法書士(認定司法書士)は、簡易裁判所で扱う一定の額までの民事の争いについて、代理人になることもできます。
| 分野 | 主な仕事 |
|---|---|
| 不動産登記 | 売買・相続・贈与・住宅ローンの設定や抹消に伴う登記 |
| 商業登記 | 会社の設立、役員の変更、本店の移転、増資などの登記 |
| 相続・成年後見 | 相続の手続きの書類づくり、家庭裁判所に選ばれて後見人として財産を管理 |
| 裁判所に出す書類・簡裁代理 | 訴状などの書類作成、認定司法書士による簡易裁判所での代理 |
働き方は大きく3つ
| 働き方 | 中身 | 収入の決まり方 |
|---|---|---|
| 司法書士事務所・法人に勤める | 登記を中心に実務を覚える。事務所によって不動産・商業・相続など得意分野が違う | 事務所の給与規程(基本給・資格手当・賞与) |
| 企業の法務部門に勤める | 契約書の確認、株主総会や登記の手続き、社内の相談 | その会社の給与規程。資格手当があるかは会社ごと |
| 独立して開業する | 自分の事務所で依頼を受ける。営業・経理も自分で担当 | 受けた依頼の報酬から経費を差し引いた額 |
司法書士の年収は、公的な統計がありません
ここが大事なところです。厚生労働省の賃金構造基本統計調査には司法書士の区分がありません。近い区分の「法務従事者」には他の職業も含まれていて、司法書士の年収とは言えないんです。それと、この統計は会社や事務所に勤める人が対象なので、独立して開業した人の収入は入りません。
なので、この記事では「勤務なら◯万円」「独立すると◯万円」といった目安は載せていません。独立後の報酬も、いまは司法書士が自由に決める仕組みで、全国の相場を示す公的な統計は見当たりません。
収入を自分で確かめる方法
- 事務所の求人票:有資格者か補助者かで条件が分かれていることが多いです。基本給・資格手当・固定の残業代・賞与の実績月数を分けて書き出してみてください。
- 企業の法務の求人:資格を応募条件にしているか、資格手当があるかを確かめます。上場企業なら有価証券報告書に社員全体の平均年収が載っていますが、全職種の平均なので、法務の年収そのものではありません。
- 独立を考えるなら:開業している先輩に、依頼がどこから来るか(不動産会社・金融機関・税理士PRなど)と、事務所の固定費の中身を聞くのがいちばん具体的です。登録・入会には費用がかかるので、所属予定の司法書士会の案内で金額を確かめておきましょう。
試験の結果(令和7年度)
法務省「令和7年度司法書士試験の最終結果について」によると、令和7年度の司法書士試験は、受験者14,418人に対して合格者751人でした(男性528人・女性223人)。受験者に対する合格者の割合を計算すると約5.2%です。合格者の平均年齢は42.05歳で、最年少17歳から最年長74歳まで幅があります。筆記試験の合格点は、満点350点中255.0点以上でした。
平均年齢を見ると、社会人になってから働きながら挑戦する人が多い資格だとわかります。勉強の進め方は司法書士試験の解説と試験範囲の解説にまとめています。
合格してから働き始めるまで
試験に受かっただけでは、まだ司法書士として仕事はできません。日本司法書士会連合会の司法書士名簿に登録し、事務所を置く地域の司法書士会に入会してはじめて、司法書士として働けるようになります。登録の前には、司法書士会や連合会が開く新人向けの研修を受けるのが一般的です。事務所に勤める場合も、独立する場合も、この登録が出発点になります。
簡易裁判所での代理の仕事をしたい人は、もう一段あります。法務大臣が指定する研修(特別研修)を修了し、簡裁訴訟代理等能力認定考査に合格して、法務大臣の認定を受ける必要があります。法務省のサイトには、毎年の認定の発表と考査の問題が載っています(法務省「司法書士法第3条第2項第2号の法務大臣の認定(令和7年12月10日付け)について」)。認定を持っているかどうかで受けられる仕事の範囲が変わるので、求人票の応募条件に「認定司法書士」とあるかどうかも見ておきたいところです。
働きながら勉強する人は、合格前に事務所の補助者として働く道もあります。補助者のうちは司法書士の名前で仕事はできませんが、登記の書類や手続きの流れを実際に見られるのは大きいですね。補助者の求人も、条件の書き方は事務所ごとにばらばらなので、基本給と手当を分けて確かめてください。
どの働き方を選ぶかのチェックリスト
- 不動産・商業・相続など、どの分野を深めたいか(事務所ごとに得意分野が違う)
- 合格前に補助者として実務を見るか、合格後に有資格者として入るか
- 企業の法務に進むなら、登記以外の法務(契約・会社法の手続き)に関心があるか
- 独立するなら、依頼をもらえるつながりがあるか、開業の費用と生活費を何か月分用意できるか
- 簡易裁判所での代理の仕事もしたいか(したいなら、特別研修と認定考査を受ける時期も計画に入れる)
- 登録の費用と司法書士会の会費を、勤務先が負担してくれるか
ほかの士業との違いは行政書士のキャリア、資格職全体は資格・専門職キャリアまとめから辿れます。
訂正・作り直し(2026年10月30日):この記事の以前の版では、働き方別の「年収目安」(例: 事務所勤務350〜600万円、大手・専門特化事務所500〜900万円、企業法務500〜800万円、独立開業400〜2,000万円超)と、「独立は青天井」「大手事務所や企業法務でも高年収が狙える」という説明を載せていました。出典を示せないため削除し、記事を作り直しました。司法書士だけの年収の公的な統計がないことと、収入の確かめ方を書き、試験の数字は法務省の公表資料(令和7年度)に置き換えました。title の「年収」も外しています。

