デスクワークが続くと、夕方には肩や首が重くなる。そんな悩みを抱えながら働いている人は少なくありません。本記事では、医学的な治療や改善効果の話ではなく、仕事中に肩まわりへかかる負担を減らすために一般に行われている工夫を、姿勢・作業環境・休憩の3つの視点で整理します。
先に結論を3点にまとめます。
- 1. 画面と椅子の位置を整える:厚生労働省のガイドラインでは、ディスプレイはおおむね40cm以上の視距離を確保し、画面の上端が目の高さとほぼ同じか、やや下になる高さにすることが望ましいとされています。
- 2. 連続作業を区切る:同じガイドラインでは、一連続作業時間が1時間を超えないようにし、次の作業までの間に10〜15分の作業休止時間を設けることとされています。
- 3. 同じ姿勢を続けない:作業の合間に肩や首をゆっくり動かすなど、こまめな小休止をはさむ工夫が一般に行われています。
なぜデスクワークでは肩がこりやすいといわれるのか
肩こりの感じ方や背景は人によってさまざまで、一律に原因を断定することはできません。ただ一般には、長時間同じ姿勢を続けること、頭を前に突き出して画面をのぞき込む姿勢、キーボードやマウスの操作で腕に力が入ったままになることなどが、首や肩まわりの負担につながりやすいと指摘されています。デスクワークはこうした条件が重なりやすい働き方のため、意識して環境と習慣を整えることに意味があります。
なお、肩や首の痛みには、いわゆる肩こり以外の原因が隠れている場合もあります。本記事はあくまで一般的な工夫の整理であり、つらい症状が続く場合は医療機関への相談を優先してください。
今日から見直せる工夫一覧
まずは全体像です。どれも特別な道具がなくても始めやすいものを中心にまとめました。
| 見直す場所 | 工夫の例 | ポイント |
|---|---|---|
| 画面の高さ | 画面の上端が目の高さとほぼ同じか、やや下になるよう調整する | ノートPCは台や外付けキーボードの活用が一般的 |
| 画面との距離 | おおむね40cm以上の視距離を確保する | 近すぎるとのぞき込む姿勢になりやすい |
| 座り方 | 椅子に深く腰をかけ、背もたれに背を十分にあてる | 足裏全体が床に接する高さに椅子を調整 |
| キーボード・マウス | 体の近くに置き、腕を遠くへ伸ばしたまま操作しない | 肩がすくむ姿勢が続かないように |
| 休憩 | 連続作業は1時間以内で区切り、10〜15分の作業休止を入れる | 席を立って歩く・遠くを見るなど画面から離れる |
| 小休止 | 作業の合間に1〜2回程度、肩や首をゆっくり動かす | 痛みを感じたら無理をしない |
| 冷え対策 | 空調の風が直接当たる席では羽織り物などで調整する | 首・肩まわりを冷やしすぎない工夫として一般的 |
作業環境の整え方:厚生労働省ガイドラインの目安
パソコンなどを使う作業については、厚生労働省が情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドラインを示しています。肩こりへの効果を保証するものではありませんが、体への負担が少ない作業環境づくりの公的な目安として参考になります。主な記載は次のとおりです。
- ディスプレイは、おおむね40cm以上の視距離が確保できるようにする
- ディスプレイは、画面の上端が眼の高さとほぼ同じか、やや下になる高さにすることが望ましい
- 椅子に深く腰をかけて背もたれに背を十分にあて、履き物の足裏全体が床に接した姿勢を基本とする
- 一連続作業時間が1時間を超えないようにし、次の連続作業までの間に10〜15分の作業休止時間を設ける
- 一連続作業時間内において1〜2回程度の小休止を設ける
出典:厚生労働省情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン(基発0712第3号、令和3年12月1日一部改正)
休憩と小休止の取り方
環境を整えても、同じ姿勢を長時間続ければ負担は積み重なります。上のガイドラインが示すように、まず1時間を目安に作業を区切ることから始めるのが現実的です。休止時間には席を立って少し歩く、窓の外など遠くを見る、飲み物を取りに行くなど、画面と椅子から物理的に離れる行動を組み合わせると切り替えやすくなります。
作業の合間の小休止では、肩をゆっくり回す、首を左右にゆっくり傾けるといった動きが一般に行われています。ただし、これらはあくまで一般的に行われている例であり、効果を保証するものではありません。動かして痛みや違和感がある場合は中止し、無理のない範囲にとどめてください。
マッサージに行けば肩こりは治る?
正直にお答えすると、この記事で治るかどうかをお伝えすることはできません。マッサージで楽になったと感じる人がいる一方で、感じ方や持続には個人差が大きく、根本の原因が別にある場合もあります。強い痛みがある、腕や手のしびれを伴う、頭痛や吐き気を伴う、何をしても長引くといった場合は、自己判断でマッサージを繰り返すのではなく、整形外科など医療機関で相談することをおすすめします。原因を確かめてから対処するほうが、結果的に遠回りになりません。
肩こり対策とあわせて見直したいこと
肩まわりの負担は、腰や目の使い方と切り離せません。座り方の見直しはデスクワークの腰の負担を減らす工夫で、画面との付き合い方は目の疲れ対策で詳しく整理しています。また、体を動かす習慣づくりはストレッチを習慣にする工夫も参考にしてください。
一度にすべてを変える必要はありません。まずは画面の高さの調整と、1時間で作業を区切ることの2つから始めてみてください。環境と習慣を少しずつ整えることが、長く働き続けるための土台になります。
※ 本記事は一般的な工夫の整理です。痛み・不調が続く場合は整形外科・眼科など専門の医療機関を受診してください。
