座りっぱなしの仕事を続けていると、腰が重い、立ち上がるときにつらい、と感じることがあります。本記事では、治療や改善効果の話ではなく、デスクワーク中に腰へかかる負担を減らすために一般に行われている工夫を、座り方・机まわりの環境・立ち上がる習慣の3つに分けて整理します。
先に結論を3点にまとめます。
- 1. 深く腰かけて足裏を床につける:厚生労働省のガイドラインでは、椅子に深く腰をかけて背もたれに背を十分にあて、足裏全体が床に接した姿勢が基本とされています。
- 2. 座り続ける時間を区切る:同じガイドラインでは、一連続作業時間が1時間を超えないようにし、10〜15分の作業休止時間を設けることとされています。休止時間に立ち上がって歩く工夫が組み合わせやすい方法です。
- 3. 前かがみになる原因を減らす:画面や書類が低い・遠いと、上体が前に倒れがちです。机まわりの配置を見直して、のぞき込む姿勢を減らします。
座りっぱなしと腰の負担の関係
腰のつらさの感じ方や背景は人それぞれで、原因を一律に断定することはできません。ただ一般には、長時間座り続けること、浅く腰かけて背中が丸まった姿勢、前かがみで画面や書類をのぞき込む姿勢などが、腰まわりの負担につながりやすいと指摘されています。座ること自体が悪いわけではなく、同じ姿勢が長く続くことと、負担のかかりやすい座り方が重なることが問題になりやすい、という整理が現実的です。
また、腰の痛みには足のしびれを伴うものなど、早めの受診が望ましいケースもあります。本記事は一般的な工夫の整理であり、症状が続く場合は医療機関への相談を優先してください。
腰の負担を減らす工夫一覧
| 場面 | 工夫の例 | ポイント |
|---|---|---|
| 座り方 | 椅子に深く腰をかけ、背もたれに背を十分にあてる | 浅く腰かけて背中が丸まる姿勢を避ける |
| 椅子の高さ | 足裏全体が床に接する高さに調整する | 届かない場合はフットレストの活用も一般的 |
| 画面・書類の位置 | のぞき込まなくても見える位置に置く | 前かがみの時間を減らす |
| 作業の区切り | 連続作業は1時間以内で区切り、10〜15分の休止を入れる | 休止時間は立ち上がって歩く |
| 立ち上がる習慣 | 電話は立って受ける、飲み物を取りに行くなど立つ理由をつくる | 座り続ける時間を細かく分ける工夫 |
| 荷物の持ち上げ | 床の物を取るときは腰だけを曲げず、膝を使ってしゃがむ | 一般に紹介される動作の工夫 |
座り方の基本:厚生労働省ガイドラインの記載
パソコンなどを使う作業について、厚生労働省は情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドラインを示しています。腰への効果を保証するものではありませんが、負担の少ない作業姿勢の公的な目安として参考になります。
- 椅子に深く腰をかけて背もたれに背を十分にあて、履き物の足裏全体が床に接した姿勢を基本とする
- 一連続作業時間が1時間を超えないようにし、次の連続作業までの間に10〜15分の作業休止時間を設ける
- 一連続作業時間内において1〜2回程度の小休止を設ける
出典:厚生労働省情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン(基発0712第3号、令和3年12月1日一部改正)
立ち上がる回数を増やす小さな工夫
座り続ける時間を区切るうえで効きやすいのは、意思の力ではなく仕組みです。1時間ごとにタイマーやカレンダー通知を入れる、飲み物を小さめのコップにして取りに行く回数を増やす、印刷物を取りに行く用事をためずにその都度立つ、オンライン会議の合間に一度立ち上がる、といった小さな工夫を積み重ねると、自然に立つ回数が増えます。立ち上がった際に軽く歩いたり、ゆっくり体を伸ばしたりすることも一般に行われていますが、痛みを感じる動きは避け、無理のない範囲にとどめてください。
高い椅子や腰痛ベルトを買えば解決する?
正直にお答えすると、道具を買えば解決するとは言い切れません。椅子やクッション、腰痛ベルトなどで楽になったと感じる人がいる一方、合う合わないには個人差があり、道具だけで座り方や座り続ける時間の問題が解消されるわけではないためです。特に腰痛ベルトなどの装具は、使い方や向き不向きの判断が難しいため、自己判断で使い続ける前に医師などに相談するほうが安心です。また、痛みが強い場合、足のしびれを伴う場合、長引く場合は、道具での対処を続けるのではなく整形外科など医療機関で相談してください。椅子選びの考え方自体は仕事用チェアの選び方で別途整理しています。
腰の負担対策とあわせて見直したいこと
座り姿勢は肩や首の負担とも連動します。上半身まわりの工夫はデスクワークの肩こり対策で整理しています。また、座りっぱなしの働き方全体を見直したい人は働きながら運動不足と付き合う工夫もあわせて読んでみてください。
まずは、深く腰かけて足裏を床につけること、1時間に一度は立ち上がること。この2つから始めるのが現実的です。小さな工夫の積み重ねが、長く働くための体の土台づくりになります。
※ 本記事は一般的な工夫の整理です。痛み・不調が続く場合は整形外科・眼科など専門の医療機関を受診してください。
