竹中と清水は「建築特化の職人集団」か「土木も持つ総合力」か
スーパーゼネコン5社のうち、対照的な個性を持つ竹中工務店と清水建設。建築を主力とする非上場の竹中、建築と土木の両方を持つ上場企業の清水という対比がよく語られます。竹中工務店は株式を上場していませんが有価証券報告書(有報)を提出しているので、2社とも同じ物差しで比べられます。本記事では有報・公式採用ページ・厚生労働省の公表データをもとに比較します。
就職難易度・年収の比較
当サイトの就職偏差値は竹中工務店が62、清水建設が61です。有報の数字は次のとおりです。決算期が違う(竹中は12月期、清水は3月期)点に注意してください。
| 項目 | 竹中工務店 | 清水建設 |
|---|---|---|
| 有報の提出会社 | 株式会社竹中工務店 | 清水建設株式会社 |
| 決算期 | 2025年12月期 | 2026年3月期 |
| 平均年間給与 | 1,153万円(2025年12月期) | 1,043万円(2026年3月期) |
| 平均年齢 | 44.6歳 | 43.7歳 |
| 平均勤続年数 | 18.9年 | 16.1年 |
| 従業員数(提出会社) | 7,907人 | 11,434人 |
| 従業員数(連結) | 14,006人 | 22,278人 |
| 売上高(連結) | 1.61兆円 | 2.06兆円 |
| 研究開発費 | — | 231億円 |
※竹中工務店は2025年12月期(2026年3月26日提出)、清水建設は2026年3月期(2026年6月22日提出)の有報(EDINET)。以前の版の「平均年収目安(約1,000万円・約990万円)」と「竹中は非上場のため開示が限定的」という説明は、有報の数字と合わないため直しました。
平均年間給与は竹中が1,153万円、清水が1,043万円で、竹中が110万円高く出ています。竹中は平均年齢が0.9歳、平均勤続年数が2.8年長い点も差に入っています。会社の規模は清水が大きく、単体の社員は清水11,434人に対し竹中7,907人、連結の売上高は清水2.06兆円、竹中1.61兆円です。大卒の初任給は、竹中工務店が公式採用ページで300,000円(2025年4月の基本給、修士了320,000円)を公表しています。
スーパーゼネコン5社の中での位置
| 企業 | 就職偏差値 | 平均年収(有報) | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 従業員数(提出会社) | 売上(連結) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 鹿島建設 | 62 | 1,245万円(2026年3月期) | 41.2歳 | 15.7年 | 8,959人 | 3.07兆円 |
| 大成建設 | 62 | 1,191万円(2026年3月期) | 42.3歳 | 17年 | 9,518人 | 2.09兆円 |
| 竹中工務店 | 62 | 1,153万円(2025年12月期) | 44.6歳 | 18.9年 | 7,907人 | 1.61兆円 |
| 大林組 | 61 | 1,239万円(2026年3月期) | 42歳 | 15.9年 | 9,472人 | 2.59兆円 |
| 清水建設 | 61 | 1,043万円(2026年3月期) | 43.7歳 | 16.1年 | 11,434人 | 2.06兆円 |
※各社の有報(竹中工務店は2025年12月期、ほかは2026年3月期・単体)。
5社の平均年収は1,043万〜1,245万円の範囲で、清水建設が5社で最も低く、竹中工務店は真ん中より少し下の4番目です。社員数は清水が5社で最も多く、竹中が最も少ない組み合わせです。
カルチャー・キャリアの違い
まず業績の流れを有報の5年分の数字で見ます。
| 決算期(竹中/清水) | 竹中 売上高 | 竹中 経常利益 | 清水 売上高 | 清水 経常利益 |
|---|---|---|---|---|
| 2021年12月期/2022年3月期 | 1兆2,604億円 | 578億円 | 1兆4,830億円 | 504億円 |
| 2022年12月期/2023年3月期 | 1兆3,754億円 | 394億円 | 1兆9,338億円 | 565億円 |
| 2023年12月期/2024年3月期 | 1兆6,124億円 | 593億円 | 2兆55億円 | △198億円 |
| 2024年12月期/2025年3月期 | 1兆6,001億円 | 709億円 | 1兆9,444億円 | 717億円 |
| 2025年12月期/2026年3月期 | 1兆6,148億円 | 1,083億円 | 2兆578億円 | 1,223億円 |
※各社の有報「主要な経営指標等の推移」(連結)。△はマイナス。
清水建設は2024年3月期に経常損失(△198億円)を出した後、2026年3月期には1,223億円まで回復しました。竹中工務店も直近の期に経常利益が1,083億円と、5期で最も高くなっています。自己資本比率は竹中が56.4%、清水が36.8%で、竹中のほうが財務の余裕は大きい形です。
| 項目 | 竹中工務店 | 清水建設 |
|---|---|---|
| 上場 | 非上場(有報は提出) | 上場 |
| 有報で掲げる姿 | — | 目指す姿「スマート イノベーション カンパニー」 |
| 新卒の職種(公式) | 採用ページで確認 | 建築系、意匠設計系、構造系、設備系、土木系、エンジニアリング系、情報系、開発系、文系など |
| 残業時間(しょくばらぼ) | 月22.4時間(全従業員) | 月22.9時間(管理職除く)、有給取得率64.3% |
| キャリアの幅 | 建築に集中(深さ重視) | 土木・開発・エンジニアリング・情報も(幅重視) |
※しょくばらぼは職場情報総合サイト(しょくばらぼ)(https://shokuba.mhlw.go.jp)のデータ(2026年10月16日取得)を加工して作成。清水建設は従業員規模11,665人の登録の値。
残業時間は2社ともほぼ同じ月22時間台で、国の毎月勤労統計調査(2025年)の建設業の一般労働者の所定外労働時間(月13.5時間)より長めです。スーパーゼネコンの中でも、鹿島建設の月6.4時間から大林組の月32.1時間まで公表値には幅があり、数え方の定義も会社ごとに違います。
タイプ別おすすめ早見表
| こんな人 | おすすめ |
|---|---|
| 建築一筋×設計施工一貫×作品づくりへの憧れ | 竹中工務店 |
| 建築も土木も×開発・海外まで幅広い選択肢 | 清水建設 |
「深さの竹中、幅の清水」——志望動機の軸が真逆になる
竹中は建築が主力の非上場企業で、自己資本比率56.4%と財務に余裕があり、腰を据えて建築に向き合える会社です。一方の清水は建築・土木・エンジニアリング・情報・不動産開発まで新卒の職種に幅があり、入社後にキャリアの選択肢を残したい人に向きます。志望動機は竹中なら「なぜ建築だけに懸けるのか」、清水なら「幅広いフィールドで何をしたいか」——真逆の軸で組み立てるのがコツです。
結論として、建築への純度なら竹中、キャリアの幅なら清水です。業界の序列はゼネコン就職難易度ランキング、もう1つの対決は清水建設vs大成建設もご覧ください。
この記事のデータの出典
- 竹中工務店(2025年12月期)・清水建設ほかスーパーゼネコン各社(2026年3月期)の有価証券報告書(EDINET)
- 竹中工務店・清水建設の新卒採用ページ(2026年10月12日取得)
- 職場情報総合サイト(しょくばらぼ)(https://shokuba.mhlw.go.jp)のデータ(2026年10月16日取得)を加工して作成
- 厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和7年分結果確報」
- 当サイトの就職偏差値

