スーパーゼネコン4社は「年収・海外・専門性」で微差ながら個性
建設業界トップ4「スーパーゼネコン」(鹿島建設・大林組・清水建設・大成建設)は、就活ランキングで安定して建設業界トップを占める存在です。4社は年収・社風・専門性で微差ながら個性があります。本記事では各社の有価証券報告書と、厚生労働省の職場情報総合サイト「しょくばらぼ」で公表されている残業時間をもとに、年収・事業規模・働き方・定着の4軸で比べます。結論を先に言うと、編集部の見方では「規模=鹿島、技術・バランス=大林、堅実=清水、官公庁=大成」が4社の核となる差です。
平均年収の比較
下表は4社の有価証券報告書の平均年収です。有報の平均年収は鹿島建設と大林組がほぼ並んで上位で、大成建設、清水建設の順に続きます。4社とも1,000万円を超えています。
| 項目 | 鹿島建設 | 大林組 | 清水建設 | 大成建設 |
|---|---|---|---|---|
| 平均年収(単体・有報) | 約1,245万円 | 約1,239万円 | 約1,043万円 | 約1,191万円 |
| 平均年齢(同) | 41.2歳 | 42.0歳 | 43.7歳 | 42.3歳 |
| 提出会社の従業員数(同) | 8,959人 | 9,472人 | 11,434人 | 9,518人 |
※平均年収(単体)は各社有価証券報告書(2026年3月期)の平均年間給与。提出会社に在籍する社員の平均で、総合職・現場職などをすべて含みます。有報には年代別・職種別の年収は載っていません。
事業領域・社風の比較
4社は「スーパーゼネコン」として大型プロジェクトを手がけますが、得意分野には特色があります。鹿島は超高層・橋梁・トンネル、大林は超高層・土木・建築・開発のバランス、清水は技術研究・地下構造物、大成は土木・空港・官公庁工事という色分けです(編集部の見方)。
| 項目 | 鹿島 | 大林 | 清水 | 大成 |
|---|---|---|---|---|
| 得意分野(編集部の見方) | 超高層・橋梁 | 超高層・土木・建築のバランス | 技術研究・地下 | 土木・官公庁 |
| 連結の売上高(有報・2026年3月期) | 3兆673億円 | 2兆5,863億円 | 2兆578億円 | 2兆891億円 |
| 社風(編集部の見方) | 規模・実利志向 | 技術・バランス | 堅実・研究志向 | 官公庁・安定 |
働き方と定着の比較
残業時間は、4社とも「しょくばらぼ」(企業が残業時間や有給休暇の取得率などを公表する厚生労働省のサイト)に月平均の数字を公表しています。鹿島建設は6.4時間、清水建設は22.9時間、大成建設は29.7時間、大林組は32.1時間と、会社によって5倍ほどの差があります。ただし、これは数え方の違いが大きい部分です。鹿島建設は法定労働時間との差で計算し、大林組は会社の所定労働時間(7時間45分)を超えた時間と社休日の労働で計算しています。清水建設は管理職を除いた数字です。建設業全体では、パートタイム以外の労働者の残業が月13.5時間です(毎月勤労統計調査・2025年)。2024年4月からは、建設業にも時間外労働の上限規制が適用されています。
出世の速さは、有価証券報告書にも各社の公式採用ページにも、課長級に着く年齢などの数字が公表されていません。そのためこの記事では、4社の順位をつけていません。辞める人の割合は、各社の公式サイトで公表されている数字だけを載せました。参考として、大卒で入社して3年以内に辞めた人の割合は、建設業全体で30.5%、全産業で33.8%です(厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」)。
| 項目 | 鹿島建設 | 大林組 | 清水建設 | 大成建設 |
|---|---|---|---|---|
| 月平均の残業時間(しょくばらぼ) | 6.4時間(全従業員・法定労働時間との差) | 32.1時間(正社員・所定時間外と社休日の労働) | 22.9時間(管理職を除く・2025年度) | 29.7時間(正社員) |
| 平均勤続年数(有報・2026年3月期) | 15.7年 | 15.9年 | 16.1年 | 17.0年 |
| 離職・定着の公表値 | 離職率1.3%・入社3年以内の離職率4.2%(2025年度) | 離職率1.4%・3年以内離職率4.3%(2025年度) | 自己都合退職率1.7%(2025年度) | 自己都合退職率1.2%(2025年度)・入社3年以内の自己都合退職率9.4%(2024年度) |
※残業時間は、各社が職場情報総合サイト(しょくばらぼ)に公表した月平均の数字で、数え方と対象が会社ごとに違います。平均勤続年数は各社の有価証券報告書(提出会社)の数字です。離職・定着は、鹿島建設の「人事データ」、大林組の「ESGデータブック」、清水建設の「社会パフォーマンスデータ」、大成建設の「ESGデータ(社会)」に載っている数字です(2026年10月22日に確認)。「離職率」「3年以内離職率」「自己都合退職率」は会社ごとに定義が違い、直接は比べられません。大成建設の「入社3年以内の自己都合退職率」は、2025年度が1.6%と掲載されていますが、前年までの8〜10%台と水準が大きく違い、集計の違いの可能性があるため、2024年度の値を載せています。社風と得意分野の欄は編集部の見方で、公的な数字ではありません。
タイプ別おすすめ早見表
| こんな志向 | 第一候補 | 理由 |
|---|---|---|
| 年収・規模を重視 | 鹿島建設 | 平均年収約1,245万円で4社の最上位(大林組と僅差) |
| 技術研究・地下構造物 | 清水建設 | 技術研究所と地下技術(編集部の見方) |
| 官公庁・土木中心 | 大成建設 | 土木・官公庁工事に力を入れている(編集部の見方) |
| 超高層・大型プロジェクト | 鹿島・大林 | 超高層や大型の再開発の施工実績がある(編集部の見方) |
| 土木・建築・開発のバランス | 大林組 | 3つの領域を幅広く手がける(編集部の見方) |
結論として、編集部の見方では「年収・規模=鹿島、技術・バランス=大林、技術研究=清水、官公庁・土木=大成」が4社の核となる差です。4社とも「スーパーゼネコン」と呼ばれる大手で、大型プロジェクトの経験を積める点が大きな特徴です。就職偏差値ランキングで建設業界の難易度を確認してください。
この記事のデータの出典
- 鹿島建設・大林組・清水建設・大成建設の有価証券報告書(2026年3月期・金融庁 EDINET)
- 職場情報総合サイト(しょくばらぼ)(https://shokuba.mhlw.go.jp)のデータ(2026年10月16日更新)を加工して作成
- 鹿島建設「人事データ」(2026年10月22日確認)
- 大林組「ESGデータブック」(2026年10月22日確認)
- 清水建設「社会パフォーマンスデータ」(2026年10月22日確認)
- 大成建設「ESGデータ(社会)」(2026年10月22日確認)
- 厚生労働省「毎月勤労統計調査 2025(令和7)年分結果確報」「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」
訂正(2026年10月22日):この記事の以前の版では、年収の表に就職四季報などをもとにした目安として、25歳・30歳・35歳・40歳の年収の幅(例: 鹿島建設 30歳 800〜950万円)と、「大手メーカーや銀行と同等以上」「準大手以下とは桁違い」という説明を載せていました。推計の方法と元データを示せないため削除しました。年収は有価証券報告書(2026年3月期)の平均年間給与だけを、平均年齢・人数と並べて載せています。あわせて、紹介文(と本文の言い回し)の「年収カーブ」を直しました。この記事には年齢ごとの年収を載せていないためです。
訂正(2026年10月22日・2回目):この記事の以前の版では、出典のない次の数字も載せていました。残業時間の月平均(鹿島40〜60時間、大林・清水・大成35〜55時間)と「月35〜60時間」という言い方、海外売上比率(鹿島約25%・大林約30%・清水約20%・大成約20%)、建築と土木の比率(例: 鹿島 建築65・土木35)、「土木比率45%」です。推計や口コミなどの元データを示せないため削除し、残業時間は、しょくばらぼで公表されている数字に置き換えました。あわせて、東京駅丸の内駅舎の復元を大林組の実績としていた説明を外しました。この工事の施工者は、鹿島建設・清水建設・鉄建建設です(公益社団法人ロングライフビル推進協会(BELCA)の選考評)。海外売上比率と建築・土木の比率は、有価証券報告書の地域ごとの情報・セグメント情報で確かめられます。

