竹中と大林組は「建築の深さ」か「土木まで含む総合力」か
スーパーゼネコン5社のうち、会社のかたちが最も対照的な2社が竹中工務店と大林組です。建築専業・非上場で「作品」と呼ぶものづくり文化の竹中、建築・土木・開発・海外まで手がける東証プライム上場の大林組という対比が基本です。どちらも就職難易度は業界トップ級で、年収も有価証券報告書ベースで1,100万円台とほぼ同水準。だからこそ「どちらが上か」ではなく「自分がどちらのかたちに向くか」で選ぶのが正解です。本記事では有価証券報告書・各社公表資料・就職四季報をもとに5軸で比較します。
会社の基本構造の比較——非上場×建築専業 vs 上場×総合
| 項目 | 竹中工務店 | 大林組 |
|---|---|---|
| 上場 | 非上場(創業家系の老舗) | 上場(東証プライム・1802) |
| 事業領域 | 建築専業(土木はグループの竹中土木) | 建築+土木+開発・海外・新領域 |
| 本社 | 大阪 | 東京(創業は大阪) |
| 決算期 | 12月期 | 3月期 |
| 代表的な仕事 | 東京タワー・あべのハルカス・東京ドーム | 東京スカイツリー・ダム・トンネルなど大型土木 |
竹中は非上場のため株主の短期圧力を受けにくく、長期目線で「良い建築」を追求する文化が濃いのが特徴です。一方の大林組は上場企業として決算説明資料・中期経営計画などの開示が充実しており、企業研究のしやすさは大林組が上。竹中はOB・OG訪問やインターンでの一次情報収集がより重要になります。
就職難易度・採用人数の比較
両社とも難関ですが、採用規模は大林組の方が大きい点が実際の入りやすさに効いてきます。
| 項目 | 竹中工務店 | 大林組 |
|---|---|---|
| 就職偏差値(目安) | 62 | 61 |
| 採用実績の規模 | 約200名前後(2023年度211名) | 約350〜400名規模 |
| 採用の中心 | 技術系(建築系学科)が大半 | 技術系(建築・土木系学科)が大半 |
| 採用大学の例 | 芝浦工大・早稲田・立命館など幅広い | 京大・早稲田・阪大・日大・立命館など幅広い |
※就職四季報・就活情報サイト掲載の採用実績をもとにした目安です。両社とも国公立から私立まで幅広く採用しており、大学名より学科・研究内容とのマッチングが重視されます。
竹中は建築専業ゆえ採用が建築系に集中し、特に設計職は建築学科上位層の激戦区です。大林組は土木系学科の受け皿もあるため募集職種の幅が広く、事務系総合職の枠も相対的に大きめです。土木志望なら竹中工務店本体という選択肢はそもそも無く、大林組(または鹿島・清水・大成)が主戦場になります。
年収・初任給の比較——有報ベースはほぼ互角
| 項目 | 竹中工務店 | 大林組 |
|---|---|---|
| 平均年間給与(有報) | 約1,153万円(2025年12月期) | 約1,140万円(2025年3月期) |
| 平均年齢 | 44.6歳 | 42.4歳 |
| 初任給(2025年4月) | 修士32万円/大卒30万円 | 修士32万円/大卒30万円 |
| 初任給の動き | 2022年から4年連続で増額 | 2025年4月に2万円増額 |
※各社有価証券報告書(竹中工務店・2025年12月期、大林組・2025年3月期)および初任給プレスリリース(竹中・大林組)をもとにした数値。決算期が異なるため単純比較には注意。2026年4月入社以降の初任給は各社採用ページで最新情報をご確認ください。
平均年収は竹中約1,153万円・大林組約1,140万円とほぼ互角です。初任給も両社とも大卒30万円・修士32万円(2025年4月実績)で横並び。なお大林組は工事現場勤務者への月5万円の手当を導入したと報じられており(2025年・日本経済新聞)、現場配属時の実収入で効いてきます。建設需要(都市再開発・国土強靱化・半導体工場・データセンター建設)が旺盛で、両社とも待遇の改善が続いている局面です。
強み・カルチャーの比較
| 項目 | 竹中工務店 | 大林組 |
|---|---|---|
| 看板 | 設計施工一貫・「作品づくり」の建築専業 | 大型土木×建築×技術開発の総合力 |
| 象徴的な仕事 | あべのハルカス・東京ドームなど建築の名作 | 東京スカイツリー施工・高層純木造建築など |
| カルチャー | 職人気質・建築への誇り・長期目線 | 堅実・技術志向・新領域への挑戦 |
| キャリアの方向 | 建築に集中して深める(深さ重視) | 土木・開発・海外・新事業へ広げる(幅重視) |
竹中は建築を「作品」と呼ぶ文化で知られ、設計施工一貫体制のもと設計志望者からの支持が突出しています。大林組は東京スカイツリーの施工で知られる技術力に加え、高層純木造建築や宇宙エレベーター構想の研究など新領域への技術挑戦を打ち出しており、技術研究所を軸にした研究開発志向のキャリアも描けます。
タイプ別おすすめ早見表
| こんな人 | おすすめ |
|---|---|
| 建築一筋・設計施工一貫で「作品」に関わりたい | 竹中工務店 |
| 土木インフラや大型プロジェクトに挑みたい | 大林組 |
| 非上場の長期目線・職人文化に共感する | 竹中工務店 |
| 開示情報で企業研究し、幅広いキャリアを残したい | 大林組 |
| 木造高層・宇宙など新技術の研究開発に関わりたい | 大林組 |
結論——「深さの竹中、幅の大林」で志望動機の軸が決まる
年収・難易度がほぼ互角である以上、決め手は会社のかたちです。竹中を選ぶなら「なぜ建築だけに懸けるのか」、大林組なら「土木も含む幅広いフィールドで何を成し遂げたいか」——志望動機は真逆の軸で組み立てることになります。併願自体は一般的なので、面接では各社の構造の違いを踏まえた言い分けが必須です。
結論として、建築への純度と作品文化なら竹中工務店、事業の幅と技術挑戦の多様さなら大林組です。業界全体の序列はゼネコン就職難易度ランキング、もう1つの対決軸は鹿島vs大林組・竹中vs清水建設もあわせてご覧ください。

