地方銀行は「地元の信頼とブランド」、有力地銀は安定の人気就職先
地方銀行は、各地域で地元企業・個人の金融を支える地域密着の銀行です。横浜銀行・千葉銀行・静岡銀行・京都銀行・福岡銀行といった有力地銀は地元で高いブランドと安定性を持ち、Uターン就職や地元志向の学生から根強い人気があります。一方で、地銀の就職偏差値や年収を個社ごとに整理した情報は意外と少ないのが実情です。本記事では有価証券報告書・各社採用サイトなどの公開情報をもとに、地方銀行の就職難易度・年収・採用人数・コース別採用を整理します。
地方銀行 就職偏差値ランキング(目安)
下表は当サイトの就職偏差値データにもとづく有力地銀の目安です。大都市圏の最上位地銀は就職偏差値61〜62で、メガバンク(64〜66)に次ぐ水準に位置します。
| 銀行 | グループ | 就職偏差値 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 横浜銀行 | 横浜FG(旧コンコルディアFG) | 62 | 神奈川県最大・地銀最大手クラス |
| 静岡銀行 | しずおかFG | 62 | 「地銀の優等生」高収益・財務健全 |
| 京都銀行 | 京都FG | 62 | 京都・関西の有力行 |
| 千葉銀行 | ちばぎんFG | 61 | 預金量全国上位のリーディングバンク |
| りそなグループ | りそなHD | 59 | 都市型リテール×リージョナル |
※当サイト掲載の就職偏差値データ(公開情報ベース)による目安。選考難易度は年・採用コースにより変動します。
個社の数字が公開されていない地銀も多いため、階層別の目安も併せて示します。地元では偏差値以上に高いブランド・人気を持つ地銀が多い点は変わりません。
| 区分 | 就職偏差値目安 | 例 |
|---|---|---|
| 最上位地銀 | 61〜62 | 横浜・千葉・静岡・京都・福岡等 |
| 上位地銀(各県首位クラス) | 56〜59 | 各県の有力地銀 |
| 中堅地銀・第二地銀 | 52前後 | 各地域 |
有力地銀の平均年収(有価証券報告書ベース)
年収は「地銀=メガバンクよりかなり低い」と思われがちですが、下の表の4行の平均年収(2026年3月期の有価証券報告書)は774.7万〜860.6万円です。メガバンク3行(870.1万〜933.8万円、同じく2026年3月期の有報)よりは低めですが、横浜銀行(860.6万円)とみずほ銀行(870.1万円)の差は10万円ほどです。地元勤務で住居費・生活コストを抑えられる点を含めると、実質的な手取り感で有利になるケースもあります。
| 銀行 | 平均年収(有報) | 備考 |
|---|---|---|
| 横浜銀行 | 860.6万円 | 2026年3月期・平均39.9歳・4,053人(持株会社の横浜フィナンシャルグループの有報) |
| 千葉銀行 | 837.0万円 | 2026年3月期・平均38.3歳・3,873人(千葉銀行の有報) |
| 静岡銀行 | 812.5万円 | 2026年3月期・平均38.4歳・2,687人(持株会社のしずおかフィナンシャルグループの有報) |
| 福岡銀行 | 774.7万円 | 2026年3月期・平均37.8歳・3,681人(持株会社のふくおかフィナンシャルグループの有報) |
※有価証券報告書(2026年3月期・金融庁 EDINET)に載っている平均年間給与です。賞与と基準外賃金(残業代など)を含み、管理職を含む全従業員の平均のため、採用コース・年代・職種により差があります。千葉銀行は自社の有報、横浜銀行・静岡銀行・福岡銀行は、上場している持株会社の有報の「最大人員会社の状況」「静岡銀行の状況」の欄に載っている銀行の社員の数字です。当サイトの静岡銀行の企業ページ(約813万円)と銀行業界ガイドも、この表と同じ銀行の社員の数字です。持株会社しずおかフィナンシャルグループ自身の社員32人だけの平均(約1,112万円)は、別の数字です。
採用人数とコース別採用
採用規模の目安として、福岡銀行の新卒採用人数は2023年度187人・2024年度230人です(ふくおかフィナンシャルグループが公表しているグループ非財務データの福岡銀行の数字。グループ4行の合計は2023年度367人・2024年度456人)。横浜銀行は、公式の採用サイトや募集要項に新卒の採用人数が載っておらず、確認できませんでした。人数からも、地元就職の受け皿として大きな存在であることがうかがえます。多くの地銀では次のようなコース別採用を行っています。
| コース | 転勤範囲 | 主な仕事 | 難易度傾向 |
|---|---|---|---|
| 全国型・総合職(Fコース等) | 全域・グループ会社含む | 法人営業・本部企画・幹部候補 | 最難関 |
| エリア型(Aコース等) | 転居を伴う転勤なし | 地域密着の営業・企画 | 人気高 |
| カスタマーサービス型等 | 地域限定 | 窓口・事務 | 別体系 |
※コース名称・区分は銀行により異なります。エリア型は募集人数が絞られ、年により倍率が高くなる傾向があります。
選考はエントリーシートPR・適性検査のあと複数回の面接という標準的な流れが中心で、銀行によってはリクルーター面談や行員との座談会が実質的な選考の入り口になることもあります。「なぜ銀行か」「なぜこの地域か」「なぜこの銀行か」の3点を自分の経験と結びつけて話せるかが一貫して問われるため、採用人数の多さだけを見て準備を軽くしないことが大切です。
再編・FG化で広がる地銀のキャリア
有力地銀は持株会社(フィナンシャルグループ)体制への移行が進んでいます。横浜FG(旧コンコルディアFG。横浜銀行・東日本銀行・神奈川銀行)、ちばぎんFG、しずおかFG、ふくおかFG(福岡銀行・熊本銀行・十八親和銀行・ネット専業のみんなの銀行)などが代表例で、証券・リース・シンクタンク・DX子会社などグループ内の職域が拡大しています。低金利・人口減少という構造課題に対しては、コンサルティング・事業承継・地域商社・地方創生など新領域へ業務をシフトしており、「銀行員=預金と融資」だけではないキャリアが広がっています。就活では安定だけでなく「その地域をどう活性化するか」の視点を自分の言葉で語れることが評価されます。なお、FG化に伴い採用窓口が銀行単体から持株会社・グループ一括へ変わるケースもあるため、エントリー時は「どの法人・どのコースの募集か」を募集要項で必ず確認しましょう。
地銀就活の進め方:評価される準備と併願戦略
有力地銀でもインターンシップ経由の早期接点づくりが一般化しています。夏・秋の1day〜数日型プログラムは選考要素が比較的軽く、支店営業や地域プロジェクトの疑似体験から志望動機の材料を得られるため、地銀志望なら早めの参加がおすすめです。
志望動機は「地元だから」だけでは差がつきません。自分と地域のつながり(育った環境・家業・地域活動など)に加えて、その地域の産業構造と銀行の取り組みを結びつけると説得力が出ます。たとえば製造業が集積する地域なら設備投資支援や事業承継、観光地なら観光関連ファイナンス、といった具合に、中期経営計画やニュースリリースで各行の注力分野を確認しておきましょう。預金量・貸出金残高・自己資本比率などの基礎データをIR資料で押さえておくと、面接での企業理解の解像度が上がります。
併願については、同一地域の地銀・信用金庫・県庁や市役所・JA・地元インフラ企業を並行して受けるのが一般的で、「地元で働き、地域を支える」という軸が一貫していれば併願自体が不利になることはありません。むしろ金融・公務・インフラの違いを自分の言葉で説明できるかが見られます。人手不足を背景に初任給の引き上げや人事制度の見直しを進める地銀も増えており、待遇面の最新情報は各行の募集要項で確認するのが確実です。
メガバンクとの違いと就活戦略
地方銀行の魅力は「地元への貢献」「転勤範囲が限定的」「地域でのブランド・安定」です。メガバンクが全国・海外で大企業を相手にするのに対し、地銀は地域の中小企業・個人に密着し、地元経済を支えます。地元で働きたい・Uターンしたい・地域に貢献したい人には、待遇と働き方のバランスがとれた有力な選択肢です。
| 項目 | メガバンク | 地方銀行(最上位) |
|---|---|---|
| 就職偏差値目安 | 64〜66 | 61〜62 |
| 平均年収(有報) | 870.1万〜933.8万円(3行) | 774.7万〜860.6万円(上の表の4行) |
| 転勤範囲 | 全国・海外 | 地元中心(コースによる) |
| 主な顧客 | 大企業・グローバル | 地域の中小企業・個人 |
| キャリアの軸 | 規模・海外・専門部署 | 地域密着・経営層との距離の近さ |
難易度の差は最上位地銀では小さく、平均年収はメガバンクより低めです。そのうえで「どこで誰のために働きたいか」で選ぶのが本質です。地銀では若手のうちから中小企業の経営者と直接向き合う機会が多く、融資判断・事業承継・経営改善まで踏み込む提案型の仕事を早く経験できる点は、規模の大きいメガバンクにはない魅力です。メガバンクの序列は銀行就職難易度ランキング、3メガの待遇比較はメガバンク3行の年収比較、信用金庫は信用金庫・地域金融の就職、金融業界全体は金融業界ランキングもご覧ください。
出典・参考データ
本記事の就職偏差値は以下の公開情報をもとにした当サイトの目安で、平均年収は有価証券報告書の数字です(2026年7月時点の確認。平均年収・平均年齢・人数は2026年10月に2026年3月期の有価証券報告書の値へ更新)。メガバンク3行(三菱UFJ銀行914.3万円・三井住友銀行933.8万円・みずほ銀行870.1万円)は、各行の有価証券報告書(2026年3月期・金融庁 EDINET)の平均年間給与です。
・金融庁 EDINET「横浜フィナンシャルグループ 有価証券報告書(2026年3月期)」:最大人員会社の状況(横浜銀行の従業員数・平均年齢・平均年間給与)
・金融庁 EDINET「しずおかフィナンシャルグループ 有価証券報告書(2026年3月期)」:静岡銀行の状況(同)
・金融庁 EDINET「ふくおかフィナンシャルグループ 有価証券報告書(2026年3月期)」:最大人員会社の状況(福岡銀行の同)
・ふくおかフィナンシャルグループ「グループ非財務データ(社会・人財基礎データ)」:福岡銀行の新卒採用人数(2023年度・2024年度)
・千葉銀行「2025年3月期 IRライブラリ」:有価証券報告書ほか開示資料
・金融庁 EDINET「千葉銀行 有価証券報告書(2026年3月期)」:千葉銀行の平均年収・平均年齢・従業員数
訂正(2026年10月22日):この記事の以前の版では、メガバンクの平均年収を「780〜840万円前後」、最上位地銀を「700万円台後半〜800万円台」「740〜810万円」と書き、「メガバンクと遜色のない水準」としていました。メガバンク3行の有価証券報告書(2026年3月期)の平均年間給与は870万〜934万円で、根拠を示せない数字だったため、有価証券報告書の数字に直し、比べ方の説明も改めました。あわせて、地銀4行の平均年収の表を2026年3月期の有価証券報告書の数字に更新しました。以前の表は、横浜銀行が約812万円(2025年3月期)、静岡銀行が約753万円、福岡銀行が約737万円(この2行は決算期の記載なし)でした。横浜銀行の持株会社の名前も、2025年10月の社名変更後の横浜フィナンシャルグループに直しました。
訂正(2026年10月22日):この記事の以前の版では、採用人数を「福岡銀行は2026年度入行でFコース196名・Aコース27名・Cコース10名の計230名超を予定、横浜銀行も例年150〜200名程度」「メガバンクは各行300名以上の規模」と書いていました。福岡銀行の人数は、この「2026年度入行」という年度の対応を公式の募集要項で確かめ直せなかった(福岡FGのサイトが自動の読み取りを受け付けず、確認できませんでした)ため、ふくおかフィナンシャルグループが公表している福岡銀行の新卒採用人数(2023年度187人・2024年度230人)に置き換えました。横浜銀行の「例年150〜200名程度」とメガバンクの人数は、出典を示せないため削除しました。

