サントリーとキリンは「やってみなはれの挑戦」か「ヘルスサイエンスへの展開」か
飲料・酒類の二大企業、サントリーとキリン。「やってみなはれ」の言葉で知られる非上場のサントリー、ビールを核に医薬・ヘルスサイエンスへ広げるキリンという対比が基本です。サントリーホールディングスは株式を上場していませんが、有価証券報告書(有報)は提出しているので、2社とも同じ物差しで数字を比べられます。本記事では有報と公式採用ページ、厚生労働省の統計をもとに比べます。
就職難易度・年収の比較
当サイトの就職偏差値はサントリーが63、キリンが62で、差は1です。有報の数字は次のとおりです。どちらも持株会社なので、平均年間給与は持株会社に所属する社員(サントリー1,557人・キリン1,124人)の平均で、グループの事業会社で働く人全体の平均ではありません。
| 項目 | サントリーHD | キリンHD |
|---|---|---|
| 有報の提出会社 | サントリーホールディングス株式会社 | キリンホールディングス株式会社 |
| 決算期 | 2025年12月期 | 2025年12月期 |
| 平均年間給与 | 1,176万円(2025年12月期) | 999万円(2025年12月期) |
| 平均年齢 | 43.7歳 | 41.6歳 |
| 平均勤続年数 | 17.7年 | 13.6年 |
| 従業員数(提出会社) | 1,557人 | 1,124人 |
| 従業員数(連結) | 41,628人 | 31,144人 |
| 売上収益(連結) | 3.07兆円 | 2.43兆円 |
| 研究開発費 | — | 1,181億円 |
※有価証券報告書(2025年12月期、サントリーは2026年3月23日・キリンは2026年3月27日提出、EDINET)。就職偏差値は当サイトの目安です。
平均年間給与はサントリーHDが1,176万円、キリンHDが999万円で、サントリーが177万円高く出ています。ただしサントリーは平均年齢が2.1歳高く、平均勤続年数も4.1年長いので、年齢と勤続年数の差も年収の差に入っていると考えてください。連結で見ると、売上収益はサントリーが3.07兆円、キリンが2.43兆円、従業員はサントリーが約1万人多い規模です。
5年間の推移
有報の主要な経営指標(連結)を5期分並べました。
| 決算期 | サントリー 売上収益 | キリン 売上収益 | サントリー 自己資本比率 | キリン 自己資本比率 |
|---|---|---|---|---|
| 2021年12月期 | 2兆2,857億円 | 1兆8,216億円 | 34.7% | 36.2% |
| 2022年12月期 | 2兆6,588億円 | 1兆9,895億円 | 38.9% | 38.5% |
| 2023年12月期 | 2兆9,521億円 | 2兆1,344億円 | 41.6% | 39.5% |
| 2024年12月期 | 3兆797億円 | 2兆3,384億円 | 46.8% | 35.2% |
| 2025年12月期 | 3兆701億円 | 2兆4,334億円 | 47.0% | 36.8% |
※各社の2025年12月期の有報「主要な経営指標等の推移」(連結・IFRS)。
4年間で売上収益はサントリーが約1.34倍、キリンが約1.34倍と、伸び方はほぼ同じです。違いが出ているのは財務の形で、サントリーは自己資本比率を34.7%から47.0%まで上げてきたのに対し、キリンは35〜40%の範囲で動いています。有報の経営指標にある純利益は、サントリーが2025年12月期に866億円と前の期(1,762億円)から半分近くに減り、キリンは1,475億円と前の期(582億円)から大きく増えました。1年の利益は動きが大きいので、どちらも1期だけで判断しないほうが安全です。
ビール大手4社と協和キリンを並べると
| 企業 | 就職偏差値 | 平均年収(有報) | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 従業員数(連結) | 売上(連結) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| サントリーホールディングス | 63 | 1,176万円(2025年12月期) | 43.7歳 | 17.7年 | 41,628人 | 3.07兆円 |
| アサヒグループホールディングス | 62 | 1,335万円(2025年12月期) | 44.9歳 | 13.6年 | 28,560人 | 2.89兆円 |
| キリンホールディングス | 62 | 999万円(2025年12月期) | 41.6歳 | 13.6年 | 31,144人 | 2.43兆円 |
| サッポロビール | 60 | 1,014万円(2025年12月期) | 44.8歳 | 18.5年 | 6,102人 | 5,069億円 |
| 協和キリン | 61 | 987万円(2025年12月期) | 42.4歳 | 15.5年 | 5,161人 | 4,968億円 |
※平均年収・平均年齢・平均勤続年数は提出会社(持株会社)単体の数字です。サッポロの欄はサッポロホールディングス(単体144人)、アサヒはアサヒグループホールディングス(単体328人)の有報です。協和キリンはキリングループの医薬の会社で、東京証券取引所に上場しています。
持株会社の平均年収は、社員数が少なく管理部門が中心になるため高めに出やすい点に注意が必要です。その中で、協和キリンは単体で3,503人を抱える事業会社で、平均年収987万円は研究や生産の社員も含めた数字です。キリンを志望するなら、医薬の仕事をしたい人は協和キリンの採用も別に確かめておくと選択肢が広がります。
事業・社風の違い
両社の有報の「事業等のリスク」に並ぶ見出しを見ると、何を重く見ているかの違いが分かります。サントリーは「事業計画・事業見通し」「事業提携・資本提携・企業買収」「品質・安全性」「原材料」「サプライチェーン」、キリンは「事業環境の変化への対応」「原材料価格・燃料価格の高騰」「新規事業の成否」などを挙げています。サントリーは買収や提携を、キリンは新しい事業の成否を、それぞれリスクの見出しとして挙げている点が違います。
| 項目 | サントリー | キリン |
|---|---|---|
| 有報に書かれた事業 | 飲料・食品及び酒類の製造・販売など(子会社228社・持分法適用会社30社) | 酒類・飲料・医薬などの事業会社を持つ持株会社(連結子会社164社・持分法適用会社26社) |
| 経営の言葉 | 創業以来の「やってみなはれ」 | 有報で「キリングループ CSVパーパス」を掲げる |
| 上場 | 非上場(有報は提出) | 上場 |
| 研究開発費(有報) | 有報の集計値なし | 1,181億円(売上収益の約4.9%) |
キリンの新卒採用のコース
キリンの公式新卒採用ページ(2026年10月12日取得)では、営業、SCM(需給・物流)、マーケティング、人事、財務、法務、基礎研究、生産・品質保証・技術開発(酒類・飲料/薬事/微生物応用技術の3つ)、デジタルICTの各コースに分かれています。入社前にコースを選ぶ形なので、自分がどのコースで応募するかを早めに決める必要があります。サントリーの採用コースは当サイトのデータに入っていないため、公式採用ページで確認してください。
働き方の公表データ
厚生労働省の「しょくばらぼ」では、サントリーHDとキリンHDの残業時間の公表値は見つかりませんでした。グループの会社では、協和キリンが月平均25.8時間・有給取得率79.5%、サッポロビールが月平均8.0時間・有給取得率82.6%を公表しています(いずれも正社員)。国の統計では、令和4年3月に大学を卒業して食料品の製造業に就職した人の3年以内の離職率は33.6%で、大卒全体(33.8%)とほぼ同じです。
タイプ別おすすめ早見表
| こんな人 | おすすめ |
|---|---|
| 挑戦文化×ブランド×自由 | サントリー |
| 医・食・ヘルスサイエンス | キリン |
結論として、挑戦文化・ブランドのサントリー、ヘルスサイエンス展開のキリンが選び方の軸です。飲料は人気で高倍率。逆求人PRサイトで自分の市場価値を測り、早期に選考対策PRを進めるのが有効です。味の素との比較は味の素vsサントリー、食品全体は食品業界就職難易度ランキングもご覧ください。
この記事のデータの出典
- サントリーホールディングス・キリンホールディングス・アサヒグループホールディングス・サッポロホールディングス・協和キリンの有価証券報告書(2025年12月期、EDINET)
- キリンホールディングス 公式新卒採用ページ(2026年10月12日取得)
- 職場情報総合サイト(しょくばらぼ)(https://shokuba.mhlw.go.jp)のデータ(2026年10月16日取得)を加工して作成
- 厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」
- 当サイトの就職偏差値

