動物が好きで、ペットに関わる仕事に就きたい、いつかは独立したい。そんな人に向けて、ペット業界の仕事を「国家資格が必要な仕事」「登録が必要な事業」「民間資格で始められる仕事」に分けて整理します。数字は公的な機関や業界団体が公表しているものだけを使い、2026年10月22日に確認しました。収入や開業資金の目安は、根拠を示せる統計が見当たらないため載せていません。
数字で見るペット業界
一般社団法人ペットフード協会の「2025年 全国犬猫飼育実態調査」によると、犬の飼育頭数は約682万頭(6,820千頭)、猫は約885万頭(8,847千頭)と推計されています。犬は2013年の約871万頭から減ってきましたが、2025年は前の年(約680万頭)とほぼ同じで、協会は「下げ止まりの傾向」としています。猫はほぼ横ばいです。これは業界団体のアンケートにもとづく推計で、国の統計ではない点には注意してください。
出典: 一般社団法人ペットフード協会「全国犬猫飼育実態調査」主要指標サマリー(2025年)。
主なキャリア
1. 獣医師(国家資格)
- 大学で獣医学の課程(6年制)を修めて卒業し、獣医師国家試験に合格して免許を受けます
- 2026年2月の第77回獣医師国家試験は、受験者1,433人、合格者980人、合格率68.4%でした(農林水産省、2026年3月11日公表)
2. 愛玩動物看護師(国家資格)
- 愛玩動物看護師法が2022年5月1日に施行されてできた国家資格です。獣医師の指示のもとでの診療の補助などを行います
- 2026年2月15日の第4回国家試験は、受験者5,493人、合格者4,174人、合格率76.0%でした(新卒者は88.0%)
- 次の第5回は2027年2月14日(日)に全国7か所で行われます。申込みは2026年11月4日〜11月19日、受験手数料は27,200円、合格発表は2027年3月12日の予定です
- 受験資格は、学校などで必要な知識・技能を修めた人(2027年3月1日までに修める見込みの人を含む)や、予備試験の合格者などです。法律の施行前に学んだ人などは、大臣が指定する講習会の修了が必要です
3. トリマー
- 国家資格はありません。民間団体の認定(例: ジャパンケネルクラブ〈JKC〉の公認トリマー)があり、トリミングサロンや動物病院などで働く形があります
- 環境省の説明では、トリミングなどの美容業で動物を預かる場合は動物取扱業の「保管」にあたります。独立して店を開くなら登録が必要です(下の節で説明します)
4. ペットシッター
- 飼い主の留守のあいだに、散歩・食事・トイレの世話などをする仕事です
- 環境省の説明では、ペットシッターは動物取扱業の「保管」にあたります。個人で始める場合も登録と動物取扱責任者の選任が必要です
- 集客は、自分のホームページやシッターのマッチングサイト、紹介などが中心になります。預かった動物のけがや物の破損に備える賠償責任保険も確かめておきたいところです
5. ドッグトレーナー
- しつけや問題行動の改善を手伝う仕事です。国家資格はなく、民間の認定(例: JKC公認訓練士、公益社団法人日本動物病院協会〈JAHA〉の家庭犬しつけインストラクター)があります
- 犬を預かって訓練したり出張して訓練したりする事業は、動物取扱業の「訓練」にあたります
6. そのほかの仕事
- ペットフード・用品の企画や販売、ペット保険、ペットの葬儀、動物保護団体、ペット可の住宅、SNSでの発信など、関わり方はたくさんあります
- ペットフードを作る・輸入する事業は、犬と猫のフードを対象にした「ペットフード安全法」(2009年6月1日施行)で、事業を始める前の届出や帳簿の保存が求められます(農林水産省)
動物取扱業の登録(独立するなら必ず確かめたいこと)
ペットに関わる事業を始めるとき、いちばん大事なのがここです。動物愛護管理法では、動物の販売や預かりなどを仕事として行う人は「第一種動物取扱業」として、事業所と業種ごとに、都道府県知事または政令指定都市の長の登録を受ける必要があります。
第一種動物取扱業の7つの業種(環境省の例示)
- 販売: 小売・卸売、販売目的の繁殖や輸出入、販売の取次ぎ・代理
- 保管: ペットホテル、美容業者(動物を預かる場合)、ペットシッター
- 貸出し: ペットのレンタル、映画などへの動物の派遣
- 訓練: 預かっての訓練・調教、出張しての訓練
- 展示: 動物園、水族館、移動動物園、動物ふれあいパーク、乗馬施設など
- 競りあっせん業: 会場を設けて行う動物のオークション
- 譲受飼養業: 有償で動物を引き取って飼う老犬・老猫ホームなど
動物取扱責任者の要件(2020年6月から)
事業所ごとに、専属の常勤職員から「動物取扱責任者」を選ぶ必要があります。2020年6月からは要件が厳しくなり、次のいずれかにあてはまる人でなければなりません。
- 獣医師の免許を持っている
- 愛玩動物看護師の免許を持っている
- その業種での半年以上の実務経験(常勤に限る)か、それと同等と認められる1年以上の飼養経験があり、さらにその業種の知識・技術を1年以上教える学校などを卒業している
- 同じく実務経験か飼養経験があり、さらに公平性・専門性のある団体が行う客観的な試験で、知識・技術を身につけたことの証明を受けている
以前は「実務経験」「学校卒業」「資格」のどれか1つでよかったので、古い情報のまま準備を進めないよう気をつけたいところです。申請の窓口や必要な書類は自治体ごとに違うので、開業する地域の動物愛護の担当窓口で確かめてください。
出典: 環境省「動物取扱業の適正化」、島根県「動物取扱責任者要件厳格化(令和2年6月以降)」。
業界の動き
- マイクロチップ: 2022年6月1日から、ブリーダーやペットショップなどの販売業者は、販売する犬・猫にマイクロチップを装着して登録することが義務になりました。購入した飼い主は30日以内に変更登録が必要です。それ以前から飼っている犬・猫への装着は努力義務です(北海道庁の案内)
- 高齢のペットへの対応: 介護や見守りのサービス、シニア向けのフードなど、年をとったペットに合わせた商品やサービスもあります
- テクノロジー: ペットカメラや自動給餌器、オンラインでの相談など、留守中の見守りを助ける製品があります
- 動物福祉: 自治体の殺処分を減らす取り組みや、保護犬・保護猫の譲渡が進められています
関連資格
動物関連
- 愛玩動物看護師(国家資格・上で説明)
- 愛玩動物飼養管理士(公益社団法人日本愛玩動物協会の認定)
- ペット栄養管理士(日本ペット栄養学会の認定)
経営系
マーケ系
- 詳細: Webマーケティング
30〜50代からの関わり方
- 会社員のまま始める: 副業でペットシッターや散歩の代行から始める人もいます。ただ、仕事として預かるなら動物取扱業の登録が必要です
- 子育てと両立する: 自宅を拠点にした小さな事業や、オンラインでの相談・発信
- 退職後に始める: 散歩代行やシッターなど、小さく始められる事業
- 獣医師の開業: 猫の専門病院など、診療の対象をしぼる形もあります
給付金・学び方
愛玩動物看護師の養成課程やペット関連の講座には、教育訓練給付の対象になっているものがあることがあります。対象かどうかは 厚生労働省の教育訓練講座検索システム で講座名を入れて確かめられます。
法務・税務の基本
- 個人で事業を始めるときは、税務署に開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)を出します
- 預かった動物のけがや物の破損に備える賠償責任保険を確かめておきましょう
- ペットフードやサプリを作る・輸入するなら、ペットフード安全法の届出・表示の基準を確かめます(農林水産省)
訂正(2026年10月22日): 以前の版では、出典を示せない月収・月給・施術や1日あたりの料金・開業資金・月商の目安、「市場規模1.6兆円(公的統計参照)」、愛玩動物看護師国家試験の「合格率約90%」、トリマーを「美容師資格相当」とする説明、2020年5月以前の動物取扱責任者の要件を載せていました。根拠を確かめられない数字は削り、試験と制度は農林水産省・環境省などの公表資料に置き換えました。
出典・確認日
- 一般社団法人ペットフード協会「全国犬猫飼育実態調査」(2025年)
- 農林水産省「第77回獣医師国家試験(令和7年度)の結果について」(2026年3月11日)、「第5回愛玩動物看護師国家試験及び第5回・第6回予備試験の実施について」(2026年4月15日)
- 環境省 審議会資料「第4回愛玩動物看護師国家試験の結果について」(指定試験機関 一般財団法人動物看護師統一認定機構の発表、2026年3月13日)
- 環境省「動物取扱業の適正化」、島根県「動物取扱責任者要件厳格化」、北海道庁「犬・猫のマイクロチップ」
- 確認日はいずれも2026年10月22日です

