体を動かすのが好きで、人の体づくりやスポーツを支える仕事がしたい。そんな人に向けて、スポーツトレーナー(アスレティックトレーナー・パーソナルトレーナーなど)の資格の種類と位置づけ、働き方、独立するときに気をつけたいルールを整理します。数字は国や資格団体の公表資料だけを使い、2026年10月22日に確認しました。収入・料金・開業資金の目安は、根拠を示せる統計が見当たらないため載せていません。
数字で見る運動・スポーツの今
スポーツ庁の世論調査
スポーツ庁が2026年3月11日に公表した令和7年度「スポーツの実施状況等に関する世論調査」では、20歳以上で週1日以上スポーツをしている人の割合は51.7%でした。男性は55.0%、女性は48.8%で、男女の差は過去最大です。裏を返すと、大人のほぼ半分は、週に1日もスポーツをしていないということですね。
出典: スポーツ庁「令和7年度「スポーツの実施状況等に関する世論調査」の結果を公表します」。
厚生労働省の運動のガイド
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、次の量が推奨されています。トレーナーが運動の計画を立てるときの土台になる考え方です。
| 対象 | 身体活動 | 運動 |
|---|---|---|
| 成人 | 歩行かそれと同じくらい以上(3メッツ以上)の身体活動を1日60分以上(1日約8,000歩以上) | 息が弾み汗をかく程度以上の運動を週60分以上。筋力トレーニングを週2〜3日 |
| 高齢者 | 同じ強さの身体活動を1日40分以上(1日約6,000歩以上) | 有酸素運動・筋力トレーニング・バランス運動・柔軟運動などを組み合わせた運動を週3日以上。筋力トレーニングを週2〜3日 |
ガイドは、体の状態は人によって大きく違うので、強さや量を調整して、できることから取り組むことが大事だとしています。出典: 厚生労働省「身体活動・運動領域資料(健康日本21(第三次)推進専門委員会 資料3-1、2024年3月11日)」。
主な資格
日本国内の資格
- JSPO-AT(日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー): 日本スポーツ協会の公認スポーツ指導者制度の資格です。協会が承認した大学・専門学校のコースや講習会で学び、試験を経て登録します(大学・専門学校での資格取得)。2026年4月1日からは、資格の有効期限の6か月前までに合計10単位以上を取ると更新できる仕組みに改められました
- 健康運動指導士: 公益財団法人 健康・体力づくり事業財団が認定する資格です。1988年に厚生大臣の認定事業として始まり、2006年度からは財団の事業として続いています。保健医療の関係者と連携しながら、安全で効果的な運動の計画を作って指導する役割で、養成講習会か養成校で学んで認定試験に合格し、登録します。登録者は17,718人(2025年12月1日現在)です
- 健康運動実践指導者: 同じ財団の資格で、運動の実践の指導を担います
- JATI(日本トレーニング指導者協会)の資格: トレーニング指導者の民間資格です
海外の団体の資格
- NSCA(全米ストレングス&コンディショニング協会)のCSCS・NSCA-CPT: 日本ではNSCAジャパンが窓口です。受験の条件は公式サイトで確かめてください
- 米国のアスレティックトレーナー資格(ATC)、ACSM・NASMの資格など
医療の国家資格
- 理学療法士、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師は国家資格です
- けがの診断や治療は、医師や、法律で決められた国家資格の人にしかできません。トレーナーの仕事は、ここと線を引いて考える必要があります
主な働き方
- プロスポーツチーム: 野球・サッカー・バスケットボール・バレーボールなどのチームで、選手のけがの予防やコンディションを支えます。契約の形はチームごとに違います
- 代表チーム・国際大会: 強化選手やナショナルチームを支える仕事で、報酬や期間は契約で決まります
- フィットネスクラブ・スタジオ: 会員への指導や、パーソナルトレーニングの担当
- パーソナルジム: 一人ひとりに合わせたトレーニングの指導
- 独立: 自分のジムを持つ、レンタルジムを借りる、ジムと業務委託で契約する、オンラインだけで指導する、などの形があります
- 企業の健康経営: 社員向けの運動の講座やセミナー
- 介護予防: 高齢者向けの運動教室など。自治体の事業として行われるものもあります
- 学校・部活動: 部活動の指導。体育の教員になるには教員免許が必要です
- メディア・発信: 本や動画、SNSでの発信
給与や報酬は、雇用か業務委託か、どこで働くかで大きく変わります。求人を比べるときは、固定の給与と歩合の割合、指名の有無で収入がどう変わるかを、募集要項で確かめてみてください。
独立するときに確かめたいこと
医療との線引き
- 診断や治療はしません。持病がある人やけがをしている人には、医師に相談してから運動するよう伝えます
- 運動中の安全の確認と、体調が急に悪くなったときの対応の手順(救急の連絡など)を決めておきます
広告・表示のルール
- 「絶対やせる」「必ず治る」のように効果を断定する表示は、景品表示法の不当表示にあたるおそれがあります
- ビフォー・アフターの写真の加工や、効果を大きく見せる書き方は避けます
手続きと保険
- 個人で事業を始めるときは、税務署に開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)を出します
- 指導中のけがや事故に備える賠償責任保険を確かめておきます
- レンタルジムや業務委託の契約では、利用料や売上の分け方、解約の条件を契約書で確かめます
集客の方法
- SNS(トレーニング動画・解説)、ブログやnoteでの発信
- 今のお客さまからの紹介
- 企業・団体の研修やセミナー
- 対象をしぼる(産後の体づくり・高齢者・子ども・アスリートなど)
専門の分け方の例
- ボディメイク: 体づくり・減量のサポート
- スポーツパフォーマンス: 競技力の向上
- 機能改善: 産後の体づくり、高齢者の運動(医療の範囲には入らない)
- ピラティス・ヨガ
- ランニング・ゴルフなど競技別
- 子どもの運動
トレーナーに求められるスキル
専門知識
- 解剖学・運動生理学・栄養学・心理学
指導力
- 説明する力、続けてもらう工夫、安全への配慮
コミュニケーション
- お客さまとの関係づくり、不安を取りのぞく説明
マーケティング
- SNS発信
- セールス
- ブランディング
経営知識
30〜50代からの関わり方
- 元アスリート: 競技の経験に資格を組み合わせて、チームや実業団の指導へ
- 子育て中・子育て後: 産後の体づくりの指導など、自分の経験と重なる分野から
- 中高年の男性: ゴルフなど、同世代向けの運動の指導
- シニア: 高齢者向けの運動や介護予防
給付金・学び方
トレーナー養成の講座の中には、教育訓練給付の対象になっているものがあることがあります。対象かどうかは 厚生労働省の教育訓練講座検索システム で講座名を入れて確かめられます。
関連カテゴリ・ガイド
訂正(2026年10月22日): 以前の版では、「国内健康・フィットネス市場 約4,500億円(公的統計参照)」、職場別・集客レベル別の月収や年収の表、1セッションの料金、オンラインサロンの月額、業務委託の売上の分け方、開業資金・月商の目安、FAQの「月50万円」「月収20-50万円の実例多数」を載せていました。根拠を確かめられないため削除しました。健康運動指導士を「厚労省」の資格と書いていた点は、認定団体(健康・体力づくり事業財団)に直しました。
出典・確認日
- スポーツ庁 令和7年度「スポーツの実施状況等に関する世論調査」(2026年3月11日公表)
- 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」推奨事項一覧(健康日本21(第三次)推進専門委員会 資料3-1)
- 公益財団法人 健康・体力づくり事業財団「健康運動指導士とは」
- 公益財団法人 日本スポーツ協会「公認アスレティックトレーナー資格 更新登録要件の改定(2026年4月1日施行)」
- 確認日はいずれも2026年10月22日です

