危険物取扱者甲種試験 の完全攻略を整理します。
注意: 試験要項は改正されるため、最終確認は消防試験研究センターで。
甲種の特徴
上位資格としての位置づけ
- 全6類の危険物すべて取扱可
- 乙種は該当類のみ
受験要件
乙種と丙種は誰でも受験できますが、甲種には受験資格があります。消防試験研究センターの案内では、次のいずれかに当てはまる人が受験できます。
ルート1: 大学等で化学に関する学科等を修めて卒業
- 大学・短期大学・高等専門学校・一定の専修学校など
- 証明は卒業証明書や学位記(学科名が書かれたもの)
- 働きながら学び直す方法の例: 社会人大学院
ルート2: 化学に関する授業科目を15単位以上修得
- 大学・短大・高専・大学院・放送大学などの単位を合算できる(中途退学や通信教育でも可)
- 証明は単位修得証明書か成績証明書
ルート3: 乙種免状 + 実務経験2年以上
- 乙種の免状の交付を受けた後、危険物製造所等で危険物を取り扱った実務が2年以上
- 事業主などの実務経験証明書が必要
ルート4: 乙種免状を4種類以上
- 「第1類又は第6類」「第2類又は第4類」「第3類」「第5類」の4種類以上の乙種免状
- 乙4だけでは足りず、組み合わせが決まっている点に注意
実務経験がない人にとって、ルート4は現実的な選択肢です。乙種の免状を1つ持っていると、ほかの類の乙種試験では「危険物に関する法令」と「基礎的な物理学及び基礎的な化学」が全部免除され、「危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法」の10問を35分で解く試験になります(消防試験研究センター「試験科目及び問題数」)。同じ試験実施状況で、2026年4〜8月の乙種の合格率は、1類67.0%、2類65.5%、3類68.4%、5類64.2%、6類67.0%と、どれも乙4(34.0%)より高い水準でした。免除を受けた人も含む数字ですが、乙4を取った後に3類・5類と、1類か6類を足していけば、甲種の受験資格に届きます。
ルート5: 化学を専攻した修士・博士の学位
- 外国の同じ学位も含む
試験概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験形式 | 五肢択一 |
| 試験時間 | 2時間30分 |
| 問題数 | 45問 |
| 合格基準 | 各科目60%以上 |
| 試験手数料 | 7,200円(乙種5,300円・丙種4,200円) |
| 合格率 | 35.0%(2026年4〜8月) |
※消防試験研究センター「試験の方法」「試験実施状況」(2026年10月21日確認)。
数字で見る甲種の難しさ
消防試験研究センターの試験実施状況によると、令和8年度(2026年4〜8月)の甲種は受験者6,373人、合格者2,228人で、合格率は35.0%でした。前年度の同じ時期は受験者6,559人、合格者2,183人、合格率33.3%です。同じ期間の乙種4類(受験者8万5,192人)の合格率は34.0%で、数字の上では乙4と同じくらいの合格率です。ただし甲種を受けるのは、化学を学んだ人や乙種を複数持っている人に限られるので、受験者の層が違うことを踏まえて読む必要があります。出題は全6類にわたり、物理学及び化学も乙種より範囲が広いので、合格率の数字以上に準備の量が必要な試験です。
出題範囲
危険物に関する法令(15問)
物理学及び化学(10問)
- 物理化学
- 反応速度・平衡
危険物の性質・火災予防・消火(20問)
- 第1類-第6類全危険物
200時間学習計画
次は、乙種の学習経験がある人を想定した学習計画の一つの例です(時間の配分は編集部の目安で、公式に決まったものではありません)。
基礎期(80時間)
- 法令暗記
- 物理化学復習
演習期(80時間)
- 過去問演習
- 全6類の性質
直前期(40時間)
- 模擬試験
- 弱点補強
主要市販教材
テキスト
- わかりやすい!甲種危険物取扱者試験
- 本試験形式!甲種危険物取扱者
過去問題集
- 過去問題集(各社)
通信講座
- 講座ごとに、対応する試験(甲種か乙種か)と教材の形式(動画・テキスト・模試)が違うので、申し込む前に確認
- 資格の講座が受け放題になるサービスの例は、オンスク.JPの評判で料金と向く資格を整理しています
給付金活用
教育訓練給付金
講座が教育訓練給付の対象かどうかは講座ごとに違うので、教育訓練講座検索システムで確認しましょう。一般教育訓練の指定を受けた講座なら、教育訓練経費の20%(上限10万円)が修了後に支給されます(厚生労働省)。
- 受講料の実質負担の概算: 給付金・リスキリング補助金シミュレータ
免状を取った後の決まり
危険物取扱者の免状は都道府県知事が交付しますが、試験に合格した都道府県だけでなく全国で通用します。甲種の免状があれば、すべての類の危険物を自分で扱えるうえ、資格のない人が作業するときの立会いもすべての危険物で行えます。丙種は立会いができず、危険物保安監督者にもなれないので、ここが上位の資格を取る大きな意味です。
注意したいのは保安講習です。製造所等で実際に危険物の取扱作業をしている危険物取扱者は、都道府県知事等が行う保安講習を一定の期間ごとに受ける義務があります(消防法第13条の23)。新たに作業に就いた人は、従事した日から1年以内に受け、その後は受講した日以後の最初の4月1日から3年以内ごとに受けます。受けないと、免状の返納を命じられる対象になります。免状を持っていても取扱作業をしていない人には、受講の義務はありません。
合格後のキャリア・活用
化学プラント・製造業
- 危険物保安監督者(甲種か乙種の免状を持ち、製造所等で6か月以上の実務経験がある人から選ぶ決まり。甲種なら全類の危険物を扱う施設で選任されうる)
エネルギー業界
- 石油精製・石油化学
物流・配送
- 危険物輸送
- 物流の会社の就職の難しさは物流業界の就職偏差値で比べられます
関連IT資格
- IT系の資格と組み合わせるなら、ITパスポートPRのような入門の国家試験から始める方法もあります
公務員
- 自治体のデジタル化の仕事: 自治体GovTech
- 消防関連職
学び直し・副業
関連カテゴリ・ガイド
出典・参考
- 一般財団法人 消防試験研究センター https://www.shoubo-shiken.or.jp/
- 消防試験研究センター「受験資格」「試験科目及び問題数」「試験の方法」「試験実施状況」(2026年10月21日確認)
- 厚生労働省「教育訓練給付制度」
- 東京消防庁「危険物取扱者制度概要」(免状の種類・保安講習)
※ 試験要項は公式サイトで必ず確認してください。

