「辞めたいと言ったら、引き止められて話が進まない」「言い出すことを考えるだけで、朝から気持ちが重い」。そんなふうに毎日をやり過ごしている方は、けっして少なくないと思います。自分で伝えるのがどうしても難しいとき、選択肢に入ってくるのが退職代行です。この記事では、弁護士法人が運営している ZENの退職代行PR を取り上げます(公式サイト)。
書いているのは、弁護士法人ZENの公式サイト、退職代行の申込用ページ、事務所概要、そして弁護士法の説明を載せている日本弁護士連合会のページで確認できたことだけです(情報確認日: 2026年9月26日)。口コミや体験談は載せていません。料金がいくらで、どこまで対応してもらえて、何をすると追加でお金がかかるのか。そこを一緒に確かめていきましょう。
ZENの退職代行の基本情報(公開情報で分かる範囲)
- 運営:弁護士法人ZEN。代表弁護士は佐々木清得さん(第一東京弁護士会所属)。所在地は東京都港区東新橋一丁目1番21号 今朝ビル6階
- 対象:申込用ページのプラン説明では、アルバイト・会社員・契約社員から、公務員、自衛隊・業務委託・会社役員までプランごとに対応先が書かれています。対応エリアは「全国対応」です
- 料金:申込用ページでは「退職代行費用 ¥27,500〜¥77,000(税込)」の3プラン。公式サイトの費用ページでは、退職代行は旧「日本弁護士連合会報酬等基準」にもとづき案件ごとに算定し、個別に問い合わせる形と説明されています
- 相談:公式サイトに「相談は無料です」とあり、申込用ページには「LINEで無料相談」の窓口があります
- 受付時間:平日10:00〜18:00。申込用ページの事務所概要には「LINE・メールは24時間受付」とあります
- 支払い方法・返金の条件:公開情報では確認できませんでした
- 取得元ページ:公式サイトの退職代行・費用・事務所概要のページ、申込用ページ(料金・比較表・よくある質問・事務所概要)、日本弁護士連合会のページ。情報確認日: 2026年9月26日
特徴①:弁護士が代理人になるので、会社から本人への連絡を止められる
公式サイトの退職代行のページには、「弁護士が受任通知を会社に送付した時点で、会社は依頼者本人に直接連絡することができなくなります」と書かれています。続けて「上司からの電話・呼び出し・圧力を、依頼者が直接受ける必要がなくなります」とも説明しています。
退職代行を考える方にとって、いちばん重いのは「会社からの電話」かもしれません。辞めると伝えたあとに上司から何度も連絡が来る。それを想像するだけで動けなくなってしまうんですよね。弁護士が代理人として窓口になると、連絡の行き先が弁護士に移ります。これは気持ちの面でかなり大きな違いだと思います。
特徴②:有給・未払いの残業代・退職金の交渉まで同じ窓口で頼める
公式サイトでは、弁護士に退職手続きを依頼すると「退職手続きと並行して、残業代請求・有給消化・退職金交渉なども一括して対応できます」と案内しています。離職票や源泉徴収票についても、会社に発行の義務があると説明されています。申込用ページのよくある質問では、離職票・源泉徴収票・健康保険資格喪失証明書を本人宛に郵送するよう会社に伝える、と書かれています。社員寮に住んでいる場合の退去日の調整にも対応するそうです。
なぜこれが大事かというと、退職の場面では「辞めること」と「お金や書類の話」がセットで出てくるからです。有給を使い切れるか、残業代は払われるか、離職票が届くか。ここを別々の窓口に頼むと、そのたびに事情を説明し直すことになります。ひとつの窓口でまとめて進められるのは、疲れているときほどありがたいところです。
特徴③:法律の説明を公式サイトでていねいに出している
公式サイトの退職代行のページは、サービスの宣伝より法律の説明にかなりの分量を割いています。たとえば民法第627条について、期間の定めのない雇用契約(正社員など)では「労働者はいつでも解約の申し入れができ、申し入れから2週間が経過すれば退職が成立する」と説明しています。「辞めるなら損害賠償を請求する」と言われた場合についても、損害賠償が認められるには会社側が違法な退職と具体的な損害を立証する必要がある、と書いています。
弁護士でない人が報酬を得る目的で法律事務を扱うことは、弁護士法72条で禁止されています。日本弁護士連合会のページには「弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で(中略)一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い(中略)ことを業とすることができません」とあります。会社との交渉が必要になりそうなとき、弁護士が運営している退職代行を選ぶ意味はここにあります。
注意点①:料金の出し方が、公式サイトと申込用ページで違う
いちばん正直にお伝えしたいのはここです。申込用ページには3つのプランが税込の金額で載っています。「お手軽プラン」27,500円、「推奨プラン」55,000円、「専門プラン」77,000円です。どのプランにも「退職の意思を会社へ正式に通知」「メール・FAX・郵便での書面送付」「無期限のサポート期間」が含まれると書かれています。一方で、公式サイトの費用ページでは、退職代行の報酬は案件の難易度などを考えて算定し、具体的な金額は問い合わせてほしいと説明しています(情報確認日: 2026年9月26日)。
どちらが正しいという話ではなく、入口によって見せ方が違うということだと思います。ただ、依頼する側からすると、最終的にいくら払うのかは必ず文字で確かめておきたいところです。相談のときに「どのプランになるか」「総額はいくらか」を見積もりとして出してもらうのがおすすめです。
注意点②:交渉が入るかどうかはプランで違う
申込用ページのプラン説明を並べると、違いがはっきり見えます。お手軽プラン(27,500円)に書かれているのは「退職の意思を会社へ通知」「離職票等請求」「退職金・ボーナス請求」です。推奨プラン(55,000円)と専門プラン(77,000円)には「給与・有給交渉、未払給与等交渉、残業代計算」「損害賠償請求の対応(裁判は別途)」「離職票等交渉・社宅交渉(立会別途)・自宅訪問交渉」が入っています。専門プランは自衛隊・業務委託・会社役員などにも対応すると書かれています。
つまり、有給の消化や残業代について会社と話し合う必要がありそうなら、いちばん安いプランでは足りない可能性があります。「とにかく辞められればいい」のか、「有給も使い切りたい」のか。先に自分の希望をはっきりさせてから相談すると、プラン選びで迷いにくくなります。有給の考え方は有給を消化して辞める方法にまとめています。
注意点③:追加でかかる費用がある
申込用ページには「オプション費用」として「回収額の25%+税(残業代・退職金請求など)」と書かれています。注記では、給与・退職金全体の25%ではなく、会社が支払いを拒否して弁護士が交渉した場合にだけ発生すると説明されています。それと、プランの中にも「裁判は別途」「立会別途」という書き方があります。
未払いの残業代を取り戻したい方にとっては、この25%が実際の手取りに直接かかってきます。回収した額から差し引かれる計算なので、請求したい金額の見込みがあるなら、相談の段階で「いくら戻ってきたら、いくら手元に残るか」を一緒に計算してもらうと安心です。裁判になった場合の費用も、念のため聞いておきましょう。
注意点④:即日対応は「最短」。受付時間も確かめておく
申込用ページの比較表には「最短即日」と書かれています。一方で、公式サイトの退職代行のページでは即日対応についての記載は確認できませんでした。受付時間は平日10:00〜18:00で、LINEとメールは24時間受け付けていると案内されています。
「明日から行かなくていいのか」はいちばん気になるところですよね。ただ、最短即日というのは条件がそろった場合の話なので、夜や週末に申し込んだときにいつ会社へ連絡してもらえるのかは、相談で具体的に聞いておくのが安全です。手続きのあいだの出勤の扱いも、あわせて確かめておきましょう。
民間業者・労働組合型との違い
申込用ページには、弁護士法人・労働組合・民間業者の3つを比べた表が載っています(運営側の案内です)。有給消化の交渉は、労働組合が「団体交渉で対応」、民間業者が「不可」。未払い残業代の請求は、労働組合が「交渉のみ」、民間業者が「不可」。訴訟・裁判への対応は、弁護士法人だけが対応できると書かれています。
とはいえ、弁護士法人が必ずいちばん良いという話ではありません。会社と揉める要素がなく、退職の意思を伝えてもらうだけで済むなら、費用の安い形でも足りることがあります。3つのタイプの違いと選び方は退職代行サービスの選び方(弁護士・労働組合・民間の違い)で整理しているので、並べて見てみてください。
向いている人・向いていない人
向いている人:引き止めや「損害賠償を請求する」といった言葉で話が進まなくなっている方/有給の消化や未払いの残業代・退職金についても会社と話し合いたい方/公務員・業務委託・会社役員など、一般的な退職代行では対応しにくい立場の方。
向いていない人:会社と揉める要素がなく、自分で伝えられそうな方(この場合は円満退職の伝え方を先に読んでみてください)/費用をできるだけ抑えて、退職の意思を伝えるだけで十分な方。
無料相談で確認したい質問リスト
相談の時点で、次のことを聞いておくと後から慌てずに済みます。
- 自分の状況だと、どのプランになるか。総額(税込)はいくらか
- 公式サイトの費用ページと申込用ページ、どちらの料金で契約するのか
- 未払いの残業代を請求した場合、回収額の25%+税のほかにかかる費用はあるか
- 申し込んだ日から、会社への連絡はいつになるか(夜間・土日に申し込んだ場合も)
- 支払い方法と支払いのタイミング。退職できなかった場合の返金の扱い
- 会社に貸与品や私物があるとき、返却や受け取りはどう進めるか
- 裁判になった場合の費用の目安
この中でとくに大事なのは2つ目です。料金の見せ方が入口によって違うので、契約書にどの金額が書かれるのかを最初に確かめておきましょう。
申し込む前のチェックリスト
- 雇用契約書・就業規則・給与明細・タイムカードの記録など、手元に残せるものを確保しておく
- 有給の残り日数と、請求したい残業代のおおよその額をメモしておく
- 引き止めへの返し方を知っておきたいなら引き止めの断り方を読んでおく
- 弁護士・労働組合・民間のどれが合うかを退職代行サービスの選び方で確かめる
- 見積もりは文字で残る形でもらい、総額と追加費用の条件を確認してから依頼する
まとめ:判断の目安
公開情報で分かるのは、弁護士法人が運営していること、申込用ページに税込27,500円〜77,000円の3プランがあること、有給・残業代・退職金の交渉まで同じ窓口で頼めること、そして交渉が入るのは上の2プランで、回収額の25%+税の追加費用があることです。支払い方法や返金の条件、夜間に申し込んだときの動きは、聞くまで分かりません。
なので順番はこうなります。まず無料相談で「自分がどのプランで、総額がいくらか」を確かめる。そのうえで、揉める要素が少ないなら労働組合型や民間業者とも比べる。つらい状況のときほど早く決めたくなりますが、見積もりを文字でもらうひと手間だけは省かないでくださいね。
掲載内容は公開情報を整理したものです。サービス内容・対象条件は変わることがあるので、最新の条件は必ず公式サイトでご確認ください。

