「情報系じゃないけど、ITエンジニアになれるのかな」。文系の学部だったり、卒業してから別の仕事をしていたり。未経験からエンジニアを目指そうとすると、最初に迷うのは勉強の中身より「どういう入り方があるのか」だと思います。求人を眺めても、自社開発・SIer・SESと言葉がいくつも並んでいて、どれを選べばいいのか分かりにくいんですよね。
この記事では、未経験から新卒・既卒でITエンジニアとして就職するまでを「ルートの選び方」「就職前の学習の目安」「選考で見られること」「応募手段の使い分け」「既卒・第二新卒の場合」の順に整理します。資格の情報はIPA(情報処理推進機構)の公式ページで確認した内容です(情報確認日: 2026年9月26日)。求人倍率や年収などの数字は、根拠を示せるものがないので載せていません。
未経験で入れるルートは大きく3つ
ITエンジニアの勤め先は、ざっくり3つに分かれます。どれが良い悪いではなく、未経験者の入り方と、入ったあとに身につくものが違うんです。
| ルート | どんな働き方か | 未経験での入りやすさ | 入る前に確かめたいこと |
|---|---|---|---|
| 自社開発 | 自社のサービスやアプリを自分たちでつくる | 新卒の総合職採用なら可能性あり。既卒・中途は経験者が中心になりやすい | 未経験の採用枠があるか、研修があるか |
| SIer(受託開発) | 取引先のシステムを請け負ってつくる | 新卒では文系・未経験を採る会社もあり、研修を用意している会社も多い | 最初の数年は上流の管理か、実装か |
| SES(客先常駐) | エンジニアが取引先の会社に常駐して働く | 既卒・第二新卒でも応募できる求人が見つかりやすい | 配属先で何をするか、配属はいつ決まるか |
じつは、ここでいちばん大事なのは会社の分類より「最初の配属で何をするか」です。同じSESでも、開発の現場に入る人とシステムの監視を続ける人では、2〜3年後に話せる経験がまったく違ってきます。SIerの業界構造と大手の選び方はSIer業界の就活ガイドに、SESから自社開発へ移る道筋はSESから自社開発への転職戦略にまとめています。ここでは「未経験の今、どこから入るか」だけに絞って考えていきましょう。
新卒なら「入社後に育てる前提」の枠を狙える
新卒の採用は、入社してからの研修で育てることを前提にしている会社が多いです。なので未経験の学生でも、自社開発やSIerの総合職・技術職に正面から応募できます。ここが既卒との大きな違いですね。
ただ、「未経験でもOK」は「何もしていなくてもOK」とは違います。面接では「なぜエンジニアなのか」と「そのために何をしてきたか」をセットで聞かれやすいです。学部で情報系を学んでいなくても、自分で書いたコードや取った資格があると、この2つの質問に同じ話で答えられるようになります。新卒エンジニア就活の時期ごとの動き方はエンジニア新卒就活戦略が詳しいので、あわせて見てみてください。
就職前にやっておく学習の目安
「何時間勉強すれば足りるか」は、公的な基準があるわけではありません。なので時間ではなく、面接で話せる形になっているかを目安にするのがおすすめです。私なら次の3つを順に見ます。
- 言語を1つに決めて、小さなものを1つ完成させる:言語をいくつも少しずつ触るより、1つで最後まで動くものをつくるほうが面接で話しやすいです。どこで詰まって、どう解決したかまで話せると強いです
- ITの基礎知識を資格で確かめる:IPAはITパスポート試験の対象者を「職業人及びこれから職業人となる者が備えておくべき、ITに関する共通的な基礎知識をもち」と説明しています。基本情報技術者試験は「ITを活用したサービス、製品、システム及びソフトウェアを作る人材に必要な基本的知識・技能」を持つ人が対象です
- 学んだことを文章に残す:勉強の記録や、つまずいた点のメモ。量より「自分で考えた跡」が見えることが大事です
資格の受け方も少しだけ。IPAの公式ページによると、基本情報技術者試験はCBT方式(パソコンで受ける方式)で「随時実施される通年試験」です。科目Aが90分・60問、科目Bが100分・20問という構成です。ITパスポート試験もCBT方式で随時実施、120分・100問と案内されています。年に1回の一発勝負ではないので、就活の予定に合わせて受ける時期を選べます。ここ、意外と知られていないところなんです。
では、就職前にどこまでやればいいのか。私は2つの試験の「対象者像」を線引きに使うのがいいと思っています。ITパスポート試験は「これから職業人となる者」も対象に含めた、ITの共通の基礎知識を確かめる試験です。なので、職種を問わずITの仕事に就くなら、就職前に合格しておきたい最初の線になります。一方、基本情報技術者試験は「ソフトウェアを作る人材」に必要な知識と技能が対象です。開発職を目指すなら、こちらを就職前の目標にするのが自然です。
ただ、基本情報技術者は科目Aが60問、科目Bが20問と、2つの科目に分かれています。応募までに合格が間に合わないこともありますよね。その場合も焦らなくて大丈夫です。「科目Aの過去問を一通り解いた」「受験日を決めて科目Bの対策をしている」と、どこまで進んでいるかを具体的に言えれば、学び続けている証拠として十分に伝わります。線引きをまとめると、ITパスポートは合格まで、基本情報技術者は受験日を決めて勉強を始めているところまで。これが就職前の現実的な目安だと思います。
文系からAIエンジニアまで見すえた長めの学習計画は文系からAIエンジニアのロードマップにまとめています。この記事では、まず就職するまでの最低限に絞っています。
選考で見られやすい3つのこと
未経験の選考では、今のスキルの高さより「入社後に伸びそうか」が見られやすいです。具体的には次の3つです。
- なぜエンジニアなのか:「手に職をつけたい」だけだと、ほかの職種でもいいのでは、と返されがちです。IT職のどの仕事に興味があるのかまで言えると伝わりやすくなります
- 自分で学び続けられるか:学習の中身そのものより、つまずいたときにどう調べて進めたかが見られます
- 人と一緒に仕事を進められるか:エンジニアの仕事は、仕様を聞いたり進み具合を伝えたりと、会話がかなり多いです
学習の証拠は、見せ方で伝わり方が変わります。作ったものがあるなら、GitHub(コードを公開・保存できるサービス)に置いて、履歴書やエントリーシートにURLを載せておくのがおすすめです。そのときは、何を作ったのか・使った言語・工夫したところ・まだできていないことを短く書いた説明文を添えてください。面接官がコードを全部読む時間はないので、説明文があるかどうかで印象がかなり違ってきます。資格は合格したものを書くのはもちろん、勉強中なら「受験予定」として受ける日まで書いておけば、話のきっかけになります。
「なぜITなのか」は、きっかけ・行動・これからの3つの順で組み立てると答えやすくなります。まず、ITに興味を持ったきっかけを一つだけ具体的に話します。次に、そのあと自分で何をしたか(学んだ言語、作ったもの、受けた試験)を続けます。最後に、入社後にどんな仕事をしたいかで締めます。大事なのは、真ん中の「行動」が一番長くなるようにすることです。きっかけだけが長いと「憧れ」に聞こえてしまいますが、行動が具体的なら本気度はそこから伝わります。
3つとも、学習の記録が一つあれば同じ話で答えられるんです。履歴書や職務経歴書への書き方はエンジニアの職務経歴書の書き方、面接の組み立ては面接対策の完全ガイドが参考になります。
エージェント・逆求人・直接応募の使い分け
応募の手段は大きく3つあります。それぞれ得意なことが違うので、組み合わせて使うのがおすすめです。
- 就職エージェント:担当者が求人を紹介し、書類や面接の準備を手伝ってくれます。未経験者を受け入れる会社を知っているのが強みです。ただ、紹介される求人は提携している会社の中から選ばれます
- 逆求人(スカウト型):プロフィールを見た企業から声がかかります。つくったものや学習の記録を載せられると、未経験でも反応をもらいやすくなります。プロフィールが薄いと、ほとんど動かないのが難点です
- 直接応募:行きたい会社が決まっているときに向いています。自社開発の会社は採用ページからの応募が中心のこともあります
私のおすすめは、エージェントで「未経験を受け入れる会社」の相場感をつかみながら、行きたい会社には直接応募も並行する形です。エージェントの使い方そのものは就活エージェントの使い方で整理しています。未経験からIT職に特化したサービスの一例として、ウズウズITの公開情報まとめも書きました。
既卒・第二新卒の場合はここが違う
既卒・第二新卒になると、新卒のような「入社後に一から育てる」大きな採用枠は少なくなります。そのぶん、未経験で応募できる求人はSESの会社や、若手を育てる前提の会社に寄りやすいです。だからこそ、求人を1社ずつ見るときの物差しが大事になってきます。
見ておきたいのは次の3つです。
- 入社後の研修があるか。あるなら何週間で、何を学ぶか
- 最初の配属で何を担当するか。開発に進む道があるか
- 前職(または空白期間)の話を、エンジニアを選んだ理由とつなげて説明できるか
3つ目は、面接でほぼ必ず聞かれるところです。辞めた理由を隠す必要はありません。ただ、「だからエンジニアを選んだ」という一本の流れで話せると、印象がかなり変わります。第二新卒の転職の進め方は第二新卒の転職ガイドで詳しく書いています。
空白期間がある場合は、その説明も準備しておきたいところです。組み立ては「事実を短く」「その間にしたこと」「今は働ける状態であること」の3つが基本です。まず、空白が生まれた理由を一言で、言い訳にならない長さで伝えます。次に、その期間に取り組んだことを話します。ここにITの学習や資格の勉強が入ると、空白期間を「エンジニアを目指して準備した時間」として説明できるんです。最後に、今はすぐに働ける状態で、入社後も学び続けるつもりだと添えて締めます。空白の長さそのものより、その時間をどう使ったかと、これからどうするかのほうが見られやすいです。
応募前のチェックリスト
- 自社開発・SIer・SESのどれを最初の入り口にするか、仮で決めた
- 言語を1つに決めて、小さな完成品を1つつくった(またはつくっている途中)
- ITパスポートか基本情報技術者のどちらかを、受ける時期まで決めた
- 「なぜエンジニアか」「何をしてきたか」を同じ話で答えられるようにした
- エージェントと直接応募を並行する予定を立てた
まとめ:判断の目安
未経験からのIT就職で大事なのは、会社の分類よりも「最初の配属で何をするか」と「面接で話せる学習の跡があるか」の2つです。新卒は育てる前提の枠を狙える分、自社開発やSIerにも正面から応募できます。既卒・第二新卒は、SESの求人も含めて配属と研修の中身を1社ずつ確かめることが欠かせません。
順番としては、まず言語を1つ決めて小さなものをつくる、そのうえでエージェントと直接応募を並行して、配属の中身で求人を比べるのがおすすめです。完璧に準備が整うのを待つより、学びながら応募を始めたほうが、何が足りないのかも早く見えてきます。会社ごとの就職難易度は就職偏差値ランキングで確かめられます。
掲載内容は公開情報を整理したものです。試験の内容や各サービスの条件は変わることがあるので、最新の情報は必ず公式サイトでご確認ください。

