この調査の要約数値(引用しやすい5点)
- 対象244社の平均年間給与は、平均947万円・中央値884万円(いちばん低い会社が518万円、いちばん高い会社が2,178万円)
- 就職偏差値と平均年間給与の相関は0.50。偏差値が1上がるごとに平均年間給与は約65万円ずつ上がる計算になりました
- 偏差値67以上の17社は平均1,471万円、60〜62の112社は883万円。その差は約588万円です
- 業界別のトップは商社(15社・平均1,479万円)、いちばん低いのはスタートアップ(7社・平均676万円)でした
- 平均年齢と平均年間給与の相関は0.01、平均勤続年数とも0.01。「社員の年齢が高い会社ほど平均年収も高い」は、この244社では成り立ちませんでした
年間給与は金融庁EDINETの有価証券報告書から機械で取り出した実数です。就職偏差値のほうは公開情報をもとにした当サイトの目安で、各社の公式データではありません。出典明記で引用歓迎です。
調査データの図表(2点・出典明記のうえ引用歓迎)
上記2点の図表画像も、出典(techstudywork.jp「2026年 有価証券報告書×就職偏差値調査」)を明記のうえメディア・ブログ・SNSでの転載・引用を歓迎します(事前連絡不要)。
調査の背景:「就職偏差値が高い会社は、本当に給料も高いのか」を実数で確かめる
就職偏差値は、入りにくさの目安です。年収の目安も一緒に並んでいますが、それは求人情報や口コミをもとにした推定値で、会社が自分で公表した数字ではありません。そこで今回は、上場企業が毎年必ず出している有価証券報告書の「平均年間給与」を持ってきて、当サイトの就職偏差値と1社ずつ突き合わせてみました。有価証券報告書は金融庁のEDINETで誰でも無料で読めます。会社が法律にもとづいて出している書類なので、数字の出どころとしてはかなり強いほうです。
結論から書くと、偏差値と平均年間給与はたしかに一緒に上がります。ただし、思ったよりゆるやかです。同じ偏差値68に2,178万円の会社と605万円の会社が並んでいました。その差がどこから来るのかまで、この記事で見ていきます。
調査の方法:301社から57社を外して、244社で集計しました
使ったデータと手順は次のとおりです。
- データ1(年収):金融庁EDINETの有価証券報告書301社分。書類の種類は「有価証券報告書」(コード120)で、2026年9月20日に機械で取得しました。使ったのは「従業員の状況」に載る平均年間給与・平均年齢・平均勤続年数・提出会社の従業員数です。
- データ2(難易度):当サイトの就職偏差値データベース511社。このうち有価証券報告書を取れた301社が重なります。
- 結合:企業IDで1対1に突き合わせました。片方にしか無い会社は集計に入れていません。
ここから、次の3つの理由で57社を外しました。残った244社が集計対象です。
- 同じ有価証券報告書を指す重複:1社。当サイトに「ソニーグループ」と「ソニーグループ(ソニーGS)」の2件があり、提出会社はどちらもソニーグループ株式会社でした。同じ書類を二重に数えないよう、片方を外しています。
- 持株会社・本社機能だけの提出会社:54社。ここがいちばん大事な処理です。理由はこのあとすぐ説明します。
- 数字が載っていない会社:2社(日本経済新聞社、かんぽ生命保険)。平均年間給与・平均年齢・平均勤続年数のどれかが取れませんでした。今回は平均年間給与300万円未満/3,000万円超、平均年齢25歳未満/55歳超、平均勤続年数0年未満/35年超も外す設定にしましたが、この範囲に引っかかった会社は1社もありませんでした。
持株会社を外した理由:本社の数十人だけを数えた数字になってしまうから
有価証券報告書の平均年間給与は、提出会社(単体)の従業員だけを対象にしています。グループ全体ではありません。ここが落とし穴で、持株会社が書類を出している場合、数えられるのは事業会社の社員ではなく、本社に残った少人数の社員だけになります。
たとえばヤマトホールディングスの提出会社の従業員数は18人で、平均年間給与は1,248万円。JFEホールディングスは60人で1,228万円です。これは「ヤマト運輸の平均年収」でも「JFEスチールの平均年収」でもありません。そのまま帯別の平均に混ぜると、上のほうだけが持ち上がってしまいます。
そこで、社名に「ホールディングス」「HD」「グループ本社」「持株」が入る会社と、提出会社の従業員数が300人未満の会社を、まとめて集計から外しました。合わせて54社です。全社の一覧は次の折りたたみで確認できます。
集計から外した54社の一覧(持株会社・本社機能だけの提出会社)
「単体従業員数」は有価証券報告書に載る提出会社の従業員数です。平均年間給与はその人たちの平均なので、グループ全体の平均ではありません。
| 企業 | 提出会社 | 単体従業員数 | 平均年間給与 | 判定理由 |
|---|---|---|---|---|
| りそなHD | 株式会社りそなホールディングス | 2,105人 | 907万円 | 社名 |
| Visional | ビジョナル株式会社 | 116人 | 861万円 | 単体従業員数 |
| GMOインターネットグループ | GMOインターネットグループ株式会社 | 197人 | 841万円 | 単体従業員数 |
| パナソニック ホールディングス | パナソニックホールディングス株式会社 | 1,431人 | 988万円 | 社名 |
| 電通 | 株式会社電通グループ | 135人 | 1,596万円 | 単体従業員数 |
| 東急不動産ホールディングス | 東急不動産ホールディングス株式会社 | 105人 | 1,320万円 | 社名+単体従業員数 |
| ANA(全日本空輸) | ANAホールディングス株式会社 | 286人 | 771万円 | 社名+単体従業員数 |
| 東京電力HD | 東京電力ホールディングス株式会社 | 7,157人 | 883万円 | 社名 |
| サントリーホールディングス | サントリーホールディングス株式会社 | 1,557人 | 1,176万円 | 社名 |
| アサヒグループホールディングス | アサヒグループホールディングス株式会社 | 328人 | 1,335万円 | 社名 |
| キリンホールディングス | キリンホールディングス株式会社 | 1,124人 | 999万円 | 社名 |
| 日清食品ホールディングス | 日清食品ホールディングス株式会社 | 980人 | 843万円 | 社名 |
| 明治ホールディングス | 明治ホールディングス株式会社 | 298人 | 938万円 | 社名+単体従業員数 |
| ニトリホールディングス | 株式会社ニトリホールディングス | 884人 | 746万円 | 社名 |
| セブン&アイ・ホールディングス | 株式会社セブン&アイ・ホールディングス | 866人 | 855万円 | 社名 |
| コーセー | 株式会社コーセーホールディングス | 1,073人 | 747万円 | 社名 |
| BASE | BASE株式会社 | 247人 | 800万円 | 単体従業員数 |
| ヤプリ | 株式会社ヤプリ | 290人 | 705万円 | 単体従業員数 |
| Appier | Appier Group株式会社 | ― | ― | 単体従業員数 |
| SCREENホールディングス | 株式会社SCREENホールディングス | 653人 | 1,080万円 | 社名 |
| JFEホールディングス | JFEホールディングス株式会社 | 60人 | 1,228万円 | 社名+単体従業員数 |
| 三菱ケミカルグループ | 三菱ケミカルグループ株式会社 | 27人 | 1,189万円 | 単体従業員数 |
| SBIホールディングス | SBIホールディングス株式会社 | 389人 | 1,007万円 | 社名 |
| ヤマトホールディングス | ヤマトホールディングス株式会社 | 18人 | 1,248万円 | 社名+単体従業員数 |
| SGホールディングス(佐川急便) | SGホールディングス株式会社 | 242人 | 786万円 | 社名+単体従業員数 |
| エイベックス | エイベックス株式会社 | 85人 | 710万円 | 単体従業員数 |
| アミューズ | 株式会社アミューズ | 253人 | 752万円 | 単体従業員数 |
| サッポロビール | サッポロホールディングス株式会社 | 144人 | 1,014万円 | 社名+単体従業員数 |
| 阪急阪神ホールディングス | 阪急阪神ホールディングス株式会社 | 241人 | 920万円 | 社名+単体従業員数 |
| ドリームインキュベータ | 株式会社ドリームインキュベータ | 198人 | 1,221万円 | 単体従業員数 |
| シグマクシス | 株式会社シグマクシス・ホールディングス | 92人 | 1,033万円 | 社名+単体従業員数 |
| シンプレクス・ホールディングス | シンプレクス・ホールディングス株式会社 | 146人 | 939万円 | 社名+単体従業員数 |
| 船井総合研究所 | 株式会社船井総研ホールディングス | 146人 | 739万円 | 社名+単体従業員数 |
| 日本M&Aセンターホールディングス | 株式会社日本M&Aセンターホールディングス | ― | ― | 社名+単体従業員数 |
| M&Aキャピタルパートナーズ | M&Aキャピタルパートナーズ株式会社 | 296人 | 2,266万円 | 単体従業員数 |
| 静岡銀行 | 株式会社しずおかフィナンシャルグループ | 32人 | 1,112万円 | 単体従業員数 |
| 日本取引所グループ | 株式会社日本取引所グループ | 223人 | 1,113万円 | 単体従業員数 |
| ジャフコ グループ(JAFCO) | ジャフコ グループ株式会社 | 133人 | 1,366万円 | 単体従業員数 |
| グリー | グリーホールディングス株式会社 | 123人 | 865万円 | 社名+単体従業員数 |
| コーエーテクモホールディングス | 株式会社コーエーテクモホールディングス | 121人 | 904万円 | 社名+単体従業員数 |
| セプテーニ・ホールディングス | 株式会社セプテーニ・ホールディングス | 97人 | 655万円 | 社名+単体従業員数 |
| レノバ | 株式会社レノバ | 220人 | 1,086万円 | 単体従業員数 |
| 近鉄グループホールディングス | 近鉄グループホールディングス株式会社 | 264人 | 823万円 | 社名+単体従業員数 |
| ヒューリック | ヒューリック株式会社 | 234人 | 2,295万円 | 単体従業員数 |
| ミスミグループ本社 | 株式会社ミスミグループ本社 | 327人 | 914万円 | 社名 |
| コカ・コーラ ボトラーズジャパン | コカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングス株式会社 | ― | ― | 社名+単体従業員数 |
| ハウス食品 | ハウス食品グループ本社株式会社 | 470人 | 840万円 | 社名 |
| レゾナック | 株式会社レゾナック・ホールディングス | 346人 | 1,132万円 | 社名 |
| 三越伊勢丹 | 株式会社三越伊勢丹ホールディングス | 386人 | 896万円 | 社名 |
| 日本通運 | NIPPON EXPRESSホールディングス株式会社 | 296人 | 833万円 | 社名+単体従業員数 |
| 日揮ホールディングス | 日揮ホールディングス株式会社 | 245人 | 975万円 | 社名+単体従業員数 |
| ニチレイ | 株式会社ニチレイ | 234人 | 773万円 | 単体従業員数 |
| 日清製粉グループ | 株式会社日清製粉グループ本社 | 364人 | 898万円 | 社名 |
| ワコール | 株式会社ワコールホールディングス | 103人 | 620万円 | 社名+単体従業員数 |
なお、この2つの条件をすり抜けた会社も残っています。たとえばソニーグループ(提出会社2,166人)や楽天グループ(同9,989人)は、社名は「グループ」ですが従業員数が多いので集計に入れました。こうした会社の数字も本社寄りになりがちだという点は、頭に置いて読んでください。
決算期はそろっていません(2026年3月期が7割)
有価証券報告書は各社の決算期に合わせて出るので、年度はきれいにそろいません。取得した301社の内訳は次のとおりです。
| 決算期(有価証券報告書の対象年度の末日) | 社数 |
|---|---|
| 2026/03/31 | 216社 |
| 2025/12/31 | 53社 |
| 2026/02/28 | 7社 |
| 2025/09/30 | 6社 |
| 2025/06/30 | 3社 |
| 2025/08/31 | 3社 |
| 2026/05/31 | 3社 |
| 2025/07/31 | 2社 |
| 2025/11/30 | 2社 |
| 2025/03/31 | 1社 |
| 2025/10/31 | 1社 |
| 2026/01/31 | 1社 |
| 2026/03/20 | 1社 |
| 2026/04/30 | 1社 |
| 2026/06/30 | 1社 |
| 合計 | 301社 |
集計対象244社に限ると、2026年3月31日が180社、2025年12月31日が36社、2026年2月28日が6社、2025年9月30日が5社、残り17社がそれ以外でした。約7割が2026年3月期なので、記事中では「2026年前後の水準」として読んでいただくのが近いと思います。
もうひとつ、いちばん大事な注意です。平均年間給与は全従業員の平均であって、新卒1年目の年収ではありません。賞与も基準内賃金も含んだ額で、平均年齢が40歳前後の会社なら「40歳前後の人まで含めた平均」になります。就活生が最初にもらう額とは別物です。
結果1:偏差値の帯ごとの平均年間給与
244社を偏差値の帯で分けると、次のようになりました。帯の幅がそろっていないのは、収載企業が60台前半に集まっているからです。5きざみ(60〜64、65〜69)で切ると1つの帯に約8割が入ってしまい、比べる意味が薄くなります。そこで社数がなるべく散らばるように区切りました。
| 偏差値帯 | 社数 | 平均年間給与(平均) | 同(中央値) | 平均年齢 | 平均勤続年数 |
|---|---|---|---|---|---|
| 59以下 | 4社 | 822万円 | 827万円 | 41.1歳 | 14.0年 |
| 60〜62 | 112社 | 883万円 | 856万円 | 41.2歳 | 14.9年 |
| 63〜64 | 82社 | 898万円 | 868万円 | 41.3歳 | 14.9年 |
| 65〜66 | 29社 | 1,040万円 | 934万円 | 41.1歳 | 14.2年 |
| 67以上 | 17社 | 1,471万円 | 1,380万円 | 41.1歳 | 14.8年 |
| 合計 | 244社 | 947万円 | 884万円 | 41.2歳 | 14.8年 |
読みどころは3つあります。
1つめは、上がり方が一定ではないこと。59以下から63〜64までは822万円→883万円→898万円と、76万円しか動きません。ところが65〜66で1,040万円、67以上で1,471万円と、ここから急に伸びます。差がはっきり出るのは、偏差値65をまたいだあたりからでした。
2つめは、平均より中央値のほうが低いこと。67以上の帯は平均1,471万円に対して中央値1,380万円、65〜66は平均1,040万円に対して中央値934万円です。高いほうに数社が飛び抜けていて、平均を引っぱり上げています。「その帯のふつうの会社」を知りたいときは、中央値のほうを見てください。
3つめは、平均年齢と平均勤続年数がどの帯でもほとんど同じこと。平均年齢は41.1〜41.3歳、平均勤続年数は14.0〜14.9年の範囲に収まっています。つまり帯どうしの年収差は「社員が年をとっているから」では説明できません。同じくらいの年齢構成で、もらっている額だけが違う、という状態です。
結果2:偏差値と平均年間給与の相関は0.50
244社について、就職偏差値と平均年間給与のピアソン相関係数を計算すると0.50でした。1に近いほどぴったり連動、0なら無関係という指標です。0.50は「そこそこ関係はあるけれど、それだけでは決まらない」くらいの強さになります。
最小二乗法で直線を引くと、偏差値が1上がるごとに平均年間給与は約65万円上がる計算でした。偏差値5の差なら約325万円です。ただし、図2の点の散らばり方を見てもらうとわかるとおり、同じ偏差値のところに上下2倍以上の開きがあります。直線はあくまで真ん中を通る線で、個々の会社を当てるものではありません。
ほかの組み合わせも計算しました。平均年齢と平均年間給与の相関は0.01、平均勤続年数とも0.01で、どちらもほぼ無関係です。「平均年齢が高い会社は平均年収も高いはず」という感覚は、この244社では当たりませんでした。偏差値と平均年齢の相関も-0.02、偏差値と平均勤続年数も-0.02で、難しい会社ほど若い/長く勤めるといった傾向も見つかりませんでした。
ついでに、当サイトが載せている年収の目安(レンジの真ん中の値)とも比べてみました。244社の平均は、サイトの目安が793万円、有価証券報告書の実数が947万円で、目安のほうが154万円低く出ています。2つの相関は0.74なので、順番はかなり合っているけれど水準は控えめ、ということになります。当サイトの年収目安は30代を想定して書いているものが多いので、全社員の平均より低く出るのは自然です。
結果3:偏差値のわりに平均年間給与が高い10社
ここからが、この調査でいちばん面白いところです。さきほどの直線(偏差値から予想される平均年間給与)より、実際がどれだけ上に外れているかで並べました。「差」の欄が、直線からの離れ具合です。
| 企業 | 業界 | 就職偏差値 | 平均年間給与 | 平均年齢 | 直線から予想される額 | 差 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| キーエンス | メーカー・重工 | 68 | 2,178万円 | 35.0歳 | 1,278万円 | +900万円 |
| 三井物産 | 商社 | 68 | 2,059万円 | 42.0歳 | 1,278万円 | +781万円 |
| 三菱商事 | 商社 | 70 | 2,113万円 | 42.3歳 | 1,409万円 | +704万円 |
| ディスコ | メーカー・重工 | 67 | 1,880万円 | 37.2歳 | 1,213万円 | +666万円 |
| 伊藤忠商事 | 商社 | 69 | 1,991万円 | 42.0歳 | 1,343万円 | +648万円 |
| 三井不動産 | 不動産・建設 | 67 | 1,856万円 | 42.1歳 | 1,213万円 | +642万円 |
| 商船三井 | 商社 | 64 | 1,660万円 | 38.4歳 | 1,018万円 | +642万円 |
| 丸紅 | 商社 | 66 | 1,784万円 | 42.5歳 | 1,148万円 | +636万円 |
| 住友商事 | 商社 | 67 | 1,840万円 | 43.3歳 | 1,213万円 | +627万円 |
| 川崎汽船 | 商社 | 62 | 1,450万円 | 38.0歳 | 887万円 | +563万円 |
10社のうち7社が、当サイトの分類で商社に入る会社でした。三井物産・三菱商事・伊藤忠商事・丸紅・住友商事の5社に、海運の商船三井と川崎汽船が加わります。海運2社が入ったのは、2021年からの運賃高騰で利益が大きく伸びた時期の賞与が乗っているためだと考えられます。商船三井は偏差値64ですが平均年間給与は1,660万円で、偏差値68の会社の水準を超えています。
残りはキーエンス、ディスコ、三井不動産です。キーエンスの平均年間給与2,178万円は244社の最高で、平均年齢35.0歳・平均勤続11.3年でこの額というのが目を引きます(2026年3月期 有価証券報告書)。三菱商事は平均年齢42.3歳・勤続17.6年で2,113万円(同)ですから、キーエンスは7歳ほど若い集団で同じ水準に届いていることになります。
結果4:偏差値のわりに平均年間給与が低い10社
| 企業 | 業界 | 就職偏差値 | 平均年間給与 | 平均年齢 | 直線から予想される額 | 差 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| オリエンタルランド | インフラ・公共 | 68 | 605万円 | 39.8歳 | 1,278万円 | -673万円 |
| 帝国ホテル | インフラ・公共 | 65 | 582万円 | 38.1歳 | 1,083万円 | -501万円 |
| 三井住友信託銀行 | 金融・証券 | 67 | 766万円 | 42.3歳 | 1,213万円 | -448万円 |
| エス・エム・エス | スタートアップ | 63 | 518万円 | 32.8歳 | 953万円 | -435万円 |
| SMC | メーカー・重工 | 66 | 780万円 | 41.1歳 | 1,148万円 | -368万円 |
| エイチ・アイ・エス(HIS) | インフラ・公共 | 62 | 549万円 | 37.0歳 | 887万円 | -338万円 |
| JR九州 | インフラ・公共 | 63 | 640万円 | 42.5歳 | 953万円 | -313万円 |
| サイボウズ | IT・テック | 64 | 719万円 | 36.4歳 | 1,018万円 | -299万円 |
| 名古屋鉄道 | インフラ・公共 | 63 | 661万円 | 44.4歳 | 953万円 | -291万円 |
| 住友金属鉱山 | メーカー・重工 | 65 | 805万円 | 40.8歳 | 1,083万円 | -277万円 |
顔ぶれの傾向がはっきり出ました。10社のうち5社が当サイトでインフラ・公共に分類している会社(オリエンタルランド・帝国ホテル・エイチ・アイ・エス・JR九州・名古屋鉄道)です。テーマパーク、ホテル、旅行、鉄道——どれも現場で働く人がとても多い業態という共通点があります。提出会社の社員に現場職が厚く含まれるぶん、平均が下がります。
オリエンタルランドは偏差値68で、人気の高さでいえば最上位クラスです。それでも平均年間給与は605万円でした(2026年3月期 有価証券報告書)。入りにくさと給与水準が、まったく別々に動いている例です。「人気だから給料も高い」は成り立ちません。人気の理由が仕事の中身やブランドへの憧れなら、そのぶん応募が増えて入りにくくなり、会社は給与で人を集める必要が薄くなります。
もう1つの型が、若い会社です。エス・エム・エスは平均年齢32.8歳・平均勤続4.3年で518万円(244社の最低)、サイボウズは平均年齢36.4歳・勤続6.7年で719万円でした。この2社は「給与水準が低い」というより「若い人の割合が高いので平均が下がっている」と読むほうが合っています。上の表は、平均年齢とセットで見てください。
結果5:業界別の平均年間給与(11業界)
集計対象244社を当サイトの業界分類で分けました。社数が3社に満たない業界はありませんでしたので、11業界すべてを載せています。
| 順位 | 業界 | 社数 | 平均年間給与(平均) | 同(中央値) | 平均就職偏差値 | 平均年齢 | 平均勤続年数 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 商社 | 15社 | 1,479万円 | 1,450万円 | 64.1 | 40.3歳 | 15.1年 |
| 2 | 不動産・建設 | 15社 | 1,137万円 | 1,043万円 | 63.3 | 41.7歳 | 14.2年 |
| 3 | コンサル | 6社 | 1,036万円 | 1,029万円 | 62.0 | 36.4歳 | 8.1年 |
| 4 | 医薬品・ヘルスケア | 14社 | 1,018万円 | 1,009万円 | 62.0 | 43.0歳 | 16.5年 |
| 5 | IT・テック | 25社 | 958万円 | 936万円 | 62.4 | 39.5歳 | 11.0年 |
| 6 | メーカー・重工 | 77社 | 915万円 | 871万円 | 63.3 | 42.1歳 | 16.5年 |
| 7 | 金融・証券 | 23社 | 895万円 | 906万円 | 63.7 | 42.0歳 | 15.0年 |
| 8 | メディア・広告 | 7社 | 866万円 | 863万円 | 62.9 | 40.8歳 | 12.4年 |
| 9 | 食品・消費財 | 26社 | 836万円 | 828万円 | 62.3 | 42.1歳 | 15.4年 |
| 10 | インフラ・公共 | 29社 | 820万円 | 831万円 | 62.6 | 41.3歳 | 16.6年 |
| 11 | スタートアップ | 7社 | 676万円 | 688万円 | 61.1 | 34.1歳 | 4.1年 |
1位の商社(15社・平均1,479万円)は2位以下を大きく引き離しています。2位の不動産・建設が1,137万円ですから、342万円の差です。商社の平均偏差値は64.1で、金融・証券の63.7とほとんど変わりません。入りにくさは同じくらいなのに、平均年間給与は584万円ちがう——ここが業界選びで効いてくる部分です。
年齢の欄も見てください。コンサル(平均年齢36.4歳・勤続8.1年)は3位の1,036万円で、年齢の若さを考えると水準はかなり高いほうです。逆にスタートアップ(平均年齢34.1歳・勤続4.1年)は676万円で最下位ですが、これも若さの影響が大きい数字です。どちらの業界も人の入れ替わりが早く、平均年齢が上がりにくい構造になっています。
インフラ・公共は29社で820万円と下から2番目でした。ただしこの区分には鉄道・電力・テーマパークなど、現場の社員が多い会社がまとまって入っています。業界の平均が低いことと、総合職の待遇が低いことは、同じではありません。業界ごとの顔ぶれは就職偏差値ランキングの業界別ページで確認できます。
就活生・転職者が、この数字をどう使えばいいか
ここまでの結果から、平均年間給与を見るときに気をつけたい点を4つにまとめます。企業研究で年収の数字に出会ったら、この順番で確かめてみてください。
1. 平均年齢とセットで見る
平均年間給与だけを並べても、比べたことになりません。244社の平均年齢は41.2歳でしたが、キーエンスは35.0歳、エス・エム・エスは32.8歳、名古屋鉄道は44.4歳とばらばらです。平均年齢が5歳違えば、同じ待遇の会社でも平均年収は数百万円ずれます。若い会社の低めの数字を「給料が安い会社」と決めつけないでください。逆に、平均年齢が若いのに高い会社(キーエンス・ディスコ・コンサル各社)は、本当に待遇が高いと言えます。
2. 「提出会社だけの数字」かどうかを確かめる
有価証券報告書の平均年間給与は、グループ全体ではなく提出会社(単体)の社員だけの平均です。持株会社が出している書類なら、数えられているのは本社の数十人〜数百人だけということもあります。今回54社を外したのはこのためでした。気になる会社の数字を見るときは、まず「従業員の状況」の従業員数を確認してください。グループの社員数より極端に少なければ、その数字はあなたが入る職場の平均ではありません。
3. 現場職が多い業態かどうかを考える
鉄道・小売・外食・ホテル・テーマパークのように、現場で働く人が多い会社は、提出会社の平均が総合職の実感より低く出ます。オリエンタルランドの605万円がわかりやすい例です。この場合に見るべきは平均年間給与ではなく、職種別の待遇や、その会社の総合職の給与テーブルです。説明会やOB・OG訪問で聞くならここを聞いてください。
4. 偏差値と給与は別の物差しだと割り切る
相関0.50は、半分は連動していて半分は関係がない、ということです。偏差値68にキーエンス2,178万円とオリエンタルランド605万円が並ぶのが実態でした。「難しい会社を目指せば給料もついてくる」とは限りません。年収を重く見るなら、偏差値の高さではなく「偏差値のわりに払っている会社」を探すほうが近道です。今回の上位10社のように、同じ入りにくさで待遇が大きく違う組み合わせは、実際に見つかります。
就職偏差値という指標そのものの成り立ちは就職偏差値とは?の解説記事で、511社全体の分布は2026年就職偏差値調査(511社分析)で説明しています。年収がこの先どう動くかの考え方は年収10年アウトルックの解説記事をどうぞ。
この調査の限界
- 244社は主要企業のかたまりで、日本の全企業を代表していません。絶対値よりも、会社どうし・業界どうしの比べ方に使ってください。
- 決算期がそろっていません。約7割が2026年3月期ですが、2025年12月期なども混ざっています。
- 就職偏差値は公開情報をもとにした当サイトの目安で、各社が公表した難易度ではありません。
- 未上場の会社・外資系の日本法人・官公庁は入っていません。有価証券報告書を出していないためです。コンサルや外資金融の上位は、この集計では見えません。
本調査データの引用について(出典明記で引用歓迎)
本調査の数値・表・図表は、出典を明記いただければ、メディア・ブログ・SNS等で自由に引用いただけます(事前連絡不要)。引用時は次のようなクレジット表記をお願いします。
表記例:出典:techstudywork.jp「2026年 有価証券報告書×就職偏差値調査(244社分析)」
Webサイトに掲載する場合の埋め込みリンク例:
出典: <a href='https://techstudywork.jp/articles/shushoku-hensachi-yuho-nenshu-301-chosa-2026'>techstudywork.jp「2026年 有価証券報告書×就職偏差値調査」</a>
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<p style='font-size:12px'>出典: <a href='https://techstudywork.jp/ranking/all'>就職偏差値ランキング全511社一覧(techstudywork.jp)</a></p>
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なお、平均年間給与そのものは金融庁EDINETで公開されている有価証券報告書の記載値です。一次資料を直接当たりたい場合はEDINETで会社名を検索してください(例:三井物産 2026年3月期、サイボウズ 2025年12月期)。
まとめ
244社を並べてわかったのは、次の4点でした。①就職偏差値と平均年間給与の相関は0.50で、連動はするけれど半分は別の要因で決まる。②差がはっきり出るのは偏差値65から上で、それ以下の帯は822万円〜898万円とほぼ横ばい。③偏差値のわりに高いのは商社と海運、低いのは現場の社員が多い業態と、平均年齢の若い会社。④平均年齢・平均勤続年数と平均年間給与はほぼ無関係(相関0.01)。
企業研究で年収の数字に出会ったら、金額の大小より先に「誰の平均か」(提出会社か、グループ全体か)と「何歳の平均か」を確かめる——それだけで、見え方がかなり変わるはずです。志望企業の現在地は就職偏差値ランキング全511社一覧で、年収軸での並べ替えは30代想定年収ランキングで確認できます。

