障害があって、それでもITの仕事に就きたい。そう考えたとき、「どこで学べばいいのか」「学んだあと、どう就職につなげるのか」で手が止まってしまう方は多いと思います。民間のスクールは費用が重いですし、転職エージェントは経験がないと紹介につながりにくい。その間に入る選択肢として名前が挙がるのが Neuro Dive(ニューロダイブ) です。
Neuro Diveは、パーソルダイバース株式会社が運営する就労移行支援PRの事業所です。AI・機械学習、データ分析、業務の効率化(RPA)といった分野に絞っているところが目を引きます。この記事では、公式サイトと運営会社の会社概要、それと就労移行支援の制度について厚生労働省の公開ページ・資料を読んで整理しました(情報確認日: 2026年9月26日)。口コミや体験談は載せていません。「就労移行支援って、そもそも何をしてくれるところ?」というところから、一緒に見ていきましょう。
Neuro Diveの基本情報(公開情報で分かる範囲)
- 運営会社:パーソルダイバース株式会社(東京都港区港南1-7-18 A-PLACE品川東 6F)。会社概要には、2008年11月に特例子会社の認定を受けたこと、事業内容に「就労移行支援事業」と「障害者雇用に関わる有料職業紹介事業」が並んでいることが書かれています(有料職業紹介事業許可番号 13-ユ-040608)
- サービスの種類:障害福祉サービスの「就労移行支援」です。転職エージェントや民間のスクールとは仕組みが違います
- 対象:公式サイトの案内では「18歳から64歳までの障害のある方」「就労移行支援事業所へ通所が可能な方」「障害福祉サービス受給者証を取得済み もしくは取得可能な方」「離職中の方もしくは卒業見込みがある方」
- 学べる内容:AI・機械学習、データ分析、業務効率化(RPA)、生成AIの活用、Webスキル、ビジネススキル(公式サイトの記載)
- 利用料:自己負担は国が定める仕組みで、前年の収入によって月の上限額が決まります(詳しくは注意点②で)
- 事業所:秋葉原・渋谷・横浜・大阪・福岡の5か所。基本のプログラム提供時間は平日10:00〜16:00
- 申し込みの入口:無料のWEB説明会。そのあと見学・体験を経て、契約・利用開始という流れです
- 取得元:公式サイトのトップ・「Neuro Diveとは」・よくある質問・説明会の案内ページ、運営会社の会社概要、厚生労働省「障害者の利用者負担」「障害福祉サービスの内容」「サービスの利用手続き」のページと就労移行支援の説明資料(確認日 2026年9月26日)
特徴①:学ぶ分野を「AI・データ・効率化」に絞っている
就労移行支援の事業所は全国にたくさんあります。ただ、訓練の中身は事業所ごとにかなり違うんです。生活リズムを整えるところから始める事業所もあれば、事務作業やパソコンの基礎を中心にする事業所もあります。Neuro Diveはそこから一歩踏み込んで、AI・機械学習、データ分析、RPAといった分野を正面に置いています。
学び方については、よくある質問に「利用者様ごと個別にカスタマイズされたカリキュラムに沿って、動画視聴によるeラーニング形式で学習」と書かれています。そのうえで「インプットを実践的なアウトプットにつなげる機会を多く提供」しているとのことです。IT未経験の人についても、「IT経験がない方でもNeuro Diveで学び、それを活かす分野に就職された方は多数いらっしゃいます」という回答が載っています。
読者にとって何が変わるかというと、「障害者雇用=事務職」という選択肢の狭さから、一段外に出る道が見えるところだと思います。とはいえ、動画中心の学習は自分のペースで進められる反面、手を動かす時間を自分でつくる必要があります。一人で黙々と進めるのが得意か、人と一緒のほうが続くか。見学のときに、実際の学習の様子を見ておくと判断しやすいです。
特徴②:就職の数字に「時点」と「自社調べ」が付いている
ここ、ちょっと面白いところなんです。公式サイトに載っている数字には、どれも時点と「自社調べ」の注記が付いています。運営会社の案内をそのまま並べると、次のとおりです。
| 項目 | 数字 | 注記(公式サイトの表記) |
|---|---|---|
| IT職種就職率 | 76% | 2025年9月時点/自社調べ |
| 職場定着率(就職後6カ月間) | 96.2% | 2026年2月1日時点/自社調べ |
| 就職者のリモート勤務率(ハイブリッド含む) | 67% | 2024年9月時点/自社調べ |
| 卒業までの期間(平均) | 14.7ヶ月 | 説明会の案内ページの記載 |
「Neuro Diveとは」のページには、卒業生が就いた職種の内訳も載っています。データ分析22%、システム開発19%、事務×効率化・データ分析13%、研究開発(AI関連)11%、業務効率化8%、その他ITエンジニア3%です。働き方については、よくある質問で「約4割が在宅勤務と出社勤務の組み合わせであるハイブリッド勤務、約3割が完全在宅勤務」と案内されています。
数字の読み方として気をつけたいのは、どれも運営会社自身の集計で、何人中の割合なのかはページからは分からないことです。数字が高い・低いで決めるより、「自分に近い人がどの職種に進んでいるか」を知る材料として使うのがおすすめです。職種の内訳を見ると、データ分析だけでなく事務と効率化を組み合わせた仕事も一定の割合を占めています。いきなりAIエンジニアを目指すのではなく、今の強みにデータ分析を足す道もある、ということですね。
注意点①:就労移行支援は「転職エージェント」ではない
いちばん最初に押さえておきたいのがここです。厚生労働省は就労移行支援を、就労を希望する障害者に対して「就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練、求職活動に関する支援、その適性に応じた職場の開拓、就職後における職場への定着のために必要な相談その他の必要な支援を行います」と説明しています。つまり、求人を紹介してすぐ応募する場所ではなく、訓練を積んでから就職をめざす場所です。
利用には自治体の手続きが要ります。厚生労働省の「サービスの利用手続き」のページでは、市町村が支給を決めたあとに受給者証が交付され、そのうえで事業者と契約して利用を始める流れが説明されています。Neuro Diveのよくある質問では、「受給者証は障害者手帳の有無にかかわらず、自治体よりサービスが必要と認められた方は取得可能です」と案内されています。手帳がなくても入口がある、というのは知っておいて損のない話だと思います。
それと、働いている人は使いにくい制度です。よくある質問には「原則として、就業中の方は就労移行支援を利用できません」とあります。休職中の人は、自治体によっては利用できる場合があるそうです。学生は、大学の卒業年度で卒業に必要な単位の取得が見込まれている、といった条件を満たす場合に使えると書かれています。在職中のまま転職先を探したい方は、転職エージェントのほうが合っています。同じパーソルダイバースが運営するdodaチャレンジのような障害者向けの転職支援を先に見てみてください。
注意点②:通所が前提で、期間と費用は制度で決まる
対象の条件に「就労移行支援事業所へ通所が可能な方」とあるように、Neuro Diveは事業所に通うことが前提です。事業所は秋葉原・渋谷・横浜・大阪・福岡の5か所。在宅で訓練を受けられるかどうかは、公式サイトでは確認できませんでした。厚生労働省の資料でも、就労移行支援は「通所によるサービスを原則」としています。通う日数については、よくある質問に「週5日通われている方がほとんどですが、最初のうちは環境に慣れるために週3日からスタート」する人もいると書かれています。
期間にも上限があります。厚生労働省の資料では、利用者ごとに「標準期間(24ヶ月)内で利用期間を設定」し、市町村審査会の個別審査で必要性が認められた場合に限り「最大1年間の更新可能」とされています。Neuro Diveの案内でも「最長2年間」で就職をめざす形です。
費用は、障害福祉サービスの共通ルールで決まります。厚生労働省のページによると、利用者負担は原則1割で、月ごとの上限額が決められています。
| 区分 | 世帯の収入の状況 | 月の負担上限額 |
|---|---|---|
| 生活保護 | 生活保護を受けている世帯 | 0円 |
| 低所得 | 市町村民税が非課税の世帯 | 0円 |
| 一般1 | 市町村民税が課税の世帯(所得割16万円未満) | 9,300円 |
| 一般2 | 上記以外 | 37,200円 |
18歳以上の人の場合、ここでいう「世帯」は本人と配偶者の範囲で判断されます。Neuro Diveの説明会ページでも「多くの方は無料で利用可能ですが、例えば前年度の収入がおよそ600万円を越えていると上限月37,200円の自己負担が発生する可能性がございます」と案内されています。見落としやすいのは交通費で、よくある質問では「交通費は自己負担」とされています(自治体によっては独自の助成がある場合も、とのこと)。週5日通うなら、定期代はけっこう効いてきます。
向いている人・向いていない人
向いている人:いまは働いていなくて、1〜2年かけてITの力をつけてから就職したい方/データ分析や業務の効率化に興味があって、障害者雇用でも専門職をめざしたい方/5か所のどこかに通える場所に住んでいる方。
向いていない人:在職中のまま転職したい方/すでに実務経験があって、すぐに求人を紹介してほしい方/通所がむずかしい地域に住んでいる方。在職中の方やすぐ求人を見たい方は、求人サイトとエージェントがそろったatGP転職のような転職向けのサービスを先に見てみてください。
説明会・見学で確認したい質問リスト
就労移行支援は、通い始めてから合わないと気づくと時間の損が大きいです。説明会と見学のうちに、次のことを聞いておくのがおすすめです。
- 自分の住んでいる自治体で受給者証を取るまでの手順と、見学から利用開始までにかかる期間の目安
- 自分の障害や体調の場合、最初は週何日・何時間から始める人が多いか
- 在宅で訓練を受けられる日はあるか(公式サイトでは確認できなかった点)
- IT職種就職率76%・職場定着率96.2%は、何人中の数字か
- AIやデータ分析以外(事務と効率化の組み合わせなど)に進む人は、どんな準備をしているか
- 就職活動のとき、求人はどこから探すのか(事業所からの紹介・ハローワーク・転職エージェントとの併用など)
- 交通費の助成が自分の自治体にあるか、訓練以外にかかるお金はあるか
この中で見落としやすいのは6つ目です。就労移行支援は訓練の場なので、就職活動の進め方は事業所によって違います。「訓練が終わったら、誰とどうやって求人を探すのか」まで聞いておくと、1〜2年後の見通しがぐっと立ちやすくなります。
申し込む前のチェックリスト
- 自治体の障害福祉の窓口で、受給者証の手続きと自己負担の区分を確認する
- 障害者雇用でエンジニアとして働くときの配慮や働き方を、エンジニアの障害者就労支援で先に読んでおく
- データ分析やAIの仕事にどう近づくかを、文系からAIエンジニアをめざすロードマップで確かめる
- 就労移行支援とエージェント・求人サイトの違いを、障害者の就職・転職サービス比較で並べて見る
- 見学は1か所で決めず、ほかの就労移行支援とも比べてから決める
まとめ:判断の目安
公開情報から分かるのは、Neuro DiveがAI・データ分析・効率化に絞った就労移行支援で、18〜64歳の障害のある方が、受給者証を得て通所する形で使うサービスだということです。数字には時点と自社調べの注記が付いていて、何人中の数字かまでは公開されていません。
判断の順番としては、まず自治体の窓口で受給者証と自己負担の見通しを確かめる、そのうえで説明会と見学で通い方と就職活動の進め方を聞くのがおすすめです。在職中の方や、すでに経験があってすぐ求人を見たい方は、就労移行支援ではなく転職エージェントのほうが早いと思います。自分がいま「学ぶ段階」なのか「探す段階」なのか。そこを先に決めると、選ぶサービスは自然に絞れてきます。
公式サイトはこちらです:公式サイト
掲載内容は公開情報を整理したものです。サービス内容・対象条件は変わることがあるので、最新の条件は必ず公式サイトでご確認ください。

