障害のある学生や若手の方が就職・転職を考え始めると、「就活エージェント」「転職エージェント」「就労移行支援PR」と、似た名前の窓口がいくつも出てきます。どれも無料で相談できそうに見えるし、どれも障害に理解がありそうに見える。いったい何が違うのか、最初はとても分かりにくいですよね。
じつはこの3つ、仕組みそのものが違うんです。就活エージェントと転職エージェントは求人を紹介してくれる窓口で、就労移行支援は就職に向けて通いながら準備をする福祉サービスです。この記事では、atGPPR就活エージェント・atGP転職(atGPエージェント)・dodaチャレンジPR・Neuro Diveの4つを、各社の公式サイトと厚生労働省の公開ページで確認できたことだけで比べます(情報確認日: 2026年9月26日)。口コミや体験談は載せていませんし、順位もつけていません。「自分の状況ならどこから相談するか」を決める材料として、一緒に見ていきましょう。
選び方の軸①:いまの立場(在学中・卒業直後・社会人経験あり)
最初に見たいのは、自分がどの立場にいるかです。サービスごとに、想定している人がはっきり分かれています。
atGP就活エージェントは、よくある質問で「新卒学生、もしくは卒業後2~3年で就職経験が無い方」が対象と案内されています。一方でatGPエージェント(転職向け)は、年齢について「制限はございません」と書かれています。dodaチャレンジは「障害内容・年齢に制限は設けておりません」としたうえで、新卒・第二新卒の方への支援も案内しています。
ここから言えるのは、在学中や卒業直後で就職経験がない方は、新卒専門の窓口と、新卒も受け付けている転職向けの窓口の両方が候補になるということです。反対に、一度でも就職した経験がある方は、新卒専門の窓口では応募できない求人が出てくる可能性があります。atGP就活エージェントのよくある質問にも、就業経験がある方は「求人の都合上、応募ができないケースもございます」と書かれています。
選び方の軸②:障害者手帳と受給者証、どちらが必要か
次に大事なのが、利用に必要な書類です。ここはサービスの仕組みの違いがそのまま表れます。
エージェント型の3つは、求人への応募に障害者手帳が必要という案内です。atGP就活エージェントは手帳の「取得のご予定によってはご利用いただける可能性がございます」、atGPエージェントは申請中も対象になる可能性がある、dodaチャレンジは求人によっては申請中の方も対象、と書かれています。
就労移行支援のNeuro Diveは、少し違います。必要なのは「障害福祉サービス受給者証」で、よくある質問では、障害者手帳がなくても市区町村がサービスの必要性を認めれば受給者証を取得できる場合がある、と案内されています。受給者証は市区町村の障害福祉の窓口で申請するもので、Neuro Diveの案内では、申請に障害者手帳または診断書などが必要とされています。
手帳を取るかどうかは、就活の都合だけで決めることではありません。主治医やご家族と相談して決めていいことです。そのうえで、手帳がまだない方は、就労移行支援という入口もあると知っておくと、選べる道が少し広がると思います。
選び方の軸③:すぐ応募したいか、準備の期間がほしいか
3つ目の軸は、時間の使い方です。エージェント型は、登録して面談を受けたら、条件に合う求人の紹介を受けて応募に進む流れです。就労移行支援は、事業所に通いながら働くための力をつけ、そのうえで就職活動をする流れになります。
厚生労働省の説明では、就労移行支援は一般の企業での就労を希望する65歳未満の方を対象に、生産活動や職場体験などの機会の提供、就労に必要な知識や能力を高める訓練、求職活動の支援、就職後の職場定着の支援を行うサービスとされています。厚生労働省の資料では、利用期間は利用者ごとに標準期間(24か月)内で設定するとされています。Neuro Diveの案内でも、利用期間は原則として最長2年間です。
体調の波があって、いきなり週5日のフルタイムで働くのが不安な方もいると思います。そういうときは、通う日数を少しずつ増やしながら生活のリズムを整える期間があること自体に意味があります。Neuro Diveのよくある質問でも、週5日通う方がほとんどとしつつ、最初は週3日から始めて週5日を目指す方も一部いると案内されています。逆に、すでに生活のリズムが整っていて、すぐに応募したい方には、エージェント型のほうが早く動けます。
選び方の軸④:お金がかかるかどうか
エージェント型の3つは、いずれも公式サイトで無料と案内されています。dodaチャレンジは、相談・求人応募・転職の成否にかかわらず無料と書かれています。
就労移行支援は、障害福祉サービスなので利用者負担の仕組みがあります。厚生労働省の案内では、利用者負担には所得に応じた4つの区分があり、1か月の負担上限額が決まっています。
| 区分 | 世帯の収入状況 | 負担上限月額 |
|---|---|---|
| 生活保護 | 生活保護受給世帯 | 0円 |
| 低所得 | 市町村民税非課税世帯 | 0円 |
| 一般1 | 市町村民税課税世帯(所得割16万円未満) | 9,300円 |
| 一般2 | 上記以外 | 37,200円 |
ここで見落としやすいのが「世帯」の範囲です。厚生労働省の案内では、18歳以上の障害のある方の場合、所得を判断する世帯は本人と配偶者とされています。親と同居していても、親の収入で判断されるわけではないんですね。ただし通所の交通費は、Neuro Diveのよくある質問では自己負担と案内されています(自治体によっては助成がある場合あり)。
4サービスの比較表
公式サイトで確認できたことだけを並べました。確認できなかったところは、そのまま「公開情報では確認できず」としています。
| サービス | 運営会社 | 対象 | 料金 | 形式 | 公式で確認できた特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| atGP就活エージェント | 株式会社ゼネラルパートナーズ | 新卒学生、または卒業後2~3年で就職経験のない方。応募には原則として障害者手帳が必要(取得予定なら利用できる可能性あり) | 無料 | キャリアプランナーとの面談(オンライン・電話も可)。相談は約1~2時間 | 非公開求人を含む紹介、履歴書・ES添削、面接対策、障害内容を事前に企業へ伝えられる、入社後も一定期間の連絡 |
| atGP転職(atGPエージェント) | 株式会社ゼネラルパートナーズ | 障害者手帳(身体・精神・療育)の交付を受けている方。申請中も対象の可能性あり。年齢の制限なし | 無料 | オンライン・電話・対面から選べる。対面は本社(新橋)・関西支社(大阪梅田)・名古屋支社(久屋大通) | キャリアプランナーとの個別の転職相談、非公開求人の紹介、面接対策、入社後のフォロー。求人検索・スカウトの機能もある |
| dodaチャレンジ | パーソルダイバース株式会社 | 身体・精神・発達・知的障害のある方。障害者手帳が必要(求人によっては申請中も対象)。障害内容・年齢の制限なし。新卒・第二新卒の支援もあり | 無料 | オンラインカウンセリング、電話、メールなど | 専任キャリアアドバイザーのカウンセリング、非公開求人の紹介、応募書類・面接の支援、セミナー。障害の種類ごとに専任のアドバイザー |
| Neuro Dive | パーソルダイバース株式会社 | 18~64歳で、受給者証を取得済みまたは取得できる方。離職中の方、条件を満たす卒業見込みの最終学年の学生 | 前年の収入に応じて月0円/9,300円/37,200円が上限 | 通所型(秋葉原・渋谷・横浜・大阪・福岡)。プログラムは平日10:00~16:00 | AI・機械学習、データ分析、RPA(業務の自動化)を学ぶ就労移行支援。利用期間は原則最長2年 |
運営会社について補足すると、株式会社ゼネラルパートナーズは会社概要で有料職業紹介事業の許可番号(13-ユ-030101)を公開しています。パーソルダイバース株式会社の許可番号は、今回確認した公式ページの範囲では確認できませんでした。
サービスごとのまとめ
atGP就活エージェントは、障害のある新卒学生に対象を絞った窓口です。よくある質問では「障害内容を事前に企業にお伝えすることが可能ですので、面接時に障害の説明で時間を多く取られることが避けられます」と案内されています。一方で、利用者が自分で求人を検索することはできず、紹介はキャリアプランナーからだけです。詳しくはatGP就活エージェントの記事で整理しています。
atGP転職(atGPエージェント)は、同じゼネラルパートナーズが運営する転職向けの窓口です。年齢の制限はないと書かれていて、面談の方法をオンライン・電話・対面から選べます。エージェントの紹介を待つだけでなく、自分で求人を検索したり、企業からのスカウトを受けたりする入口もあるのが新卒向けとの違いです。詳しくはatGP転職の記事へ。
dodaチャレンジは、パーソルグループのパーソルダイバースが運営する障害者向けの転職・就職支援サービスです。運営会社の案内では、障害者の転職ご支援数No.1(2025年度 厚生労働省「人材サービス総合サイト」)、定着率95%(2025年度の6か月就業継続率)とされています。精神障害・発達障害の方の支援に特化したキャリアアドバイザーが在籍していると案内されている点も、見ておきたいところです。詳しくはdodaチャレンジの記事で整理しています。
Neuro Diveは、同じパーソルダイバースが運営する就労移行支援の事業所です。AI(機械学習)やデータ分析、RPA(業務の自動化)といったIT分野に絞っていて、Microsoft Officeの使い方やWebデザインを学ぶ事業所とは異なると案内されています。運営会社の案内では、IT職種就職率76%(2025年9月時点・自社調べ)、就職後6か月間の職場定着率96.2%(2026年2月1日時点・自社調べ)とされています。IT職を目指したいけれど、まず準備の期間がほしい方の選択肢です。詳しくはNeuro Diveの記事へ。
どこから相談するか:状況別の分かれ道
在学中・卒業直後で就職経験がなく、手帳がある(または取得予定)方:atGP就活エージェントのような新卒専門の窓口から相談し、比べたい方は新卒・第二新卒も対象にしているdodaチャレンジも並行して使う、という形が考えやすいです。
社会人経験があって、手帳がある方:atGP転職(atGPエージェント)やdodaチャレンジのような転職向けの窓口が中心になります。どちらもオンラインや電話での相談を案内しているので、通院や体調に合わせて相談しやすい形を選べます。
体調や生活リズムを整えながら、時間をかけて準備したい方:就労移行支援が候補になります。IT分野を学びたいならNeuro Diveのような分野を絞った事業所、そうでなければ住まいから通いやすい事業所を探すのが現実的です。
手帳を持たずに、一般の採用枠で就活したい方:障害者向けの窓口ではなく、一般の就活エージェントや大学のキャリアセンターが中心になります。新卒向け就活エージェントの比較や、働き方の工夫をまとめた障害のある人の就労支援の全体像も参考にしてみてください。
申し込む前のチェックリスト
- 自分の立場(在学中・卒業後で就職経験なし・社会人経験あり)と、障害者手帳・受給者証の状況を書き出す
- 配慮してほしいこと(通院・勤務時間・環境・コミュニケーション)を箇条書きにしておく
- エージェントの面談で聞くことを就活エージェント面談の準備と質問で確認しておく
- 就労移行支援を考えるなら、市区町村の障害福祉の窓口で受給者証の手続きと、自分の負担上限月額を確かめる
- 複数の窓口を使うときは、同じ企業に別ルートから応募しないよう応募先の一覧を自分で管理する
まとめ:判断の目安
4つのサービスは、どれが上ということではなく、入口が違います。就活エージェントと転職エージェントは、手帳があってすぐ応募したい方のための窓口。就労移行支援は、受給者証を使って通いながら準備する福祉サービスです。対象になる立場・必要な書類・料金の考え方がそれぞれ違うので、まず自分がどこに当てはまるかを見るのがいちばんの近道です。
順番としては、まず自分の立場と手帳・受給者証の状況を整理する、そのうえで当てはまる窓口に1~2か所相談してみるのがおすすめです。相談してみて「まだ準備の期間がほしい」と感じたら、就労移行支援に切り替えるのも立派な選択です。焦らなくて大丈夫なので、自分のペースで進められる窓口を選んでいきましょう。
掲載内容は公開情報を整理したものです。サービス内容・対象条件は変わることがあるので、最新の条件は必ず公式サイトでご確認ください。

